2012年6月9日土曜日

フォントに翻弄されまくっている多言語学習生活

前回の記事から派生した話題でお送り致します。

 何について?-フォントについて!
 リトアニア語を綺麗に表示できるかどうか、それも確かにフォント選択の際に吟味の必要性を感じることではあったんだけど、こんなのショボイショボイ。
 ベトナム語の声調記号を付記した母音を真っ当に表示させるフォントの方が少ないことに気づきました。
 ふとまたベトナム語を勉強したくなって、昨日今日とやってたんですが、タイプの練習も改めてやろうと打ってみたら・・・セリフ系はTimes New RomanPalatino Linotype以外全滅だった気がする。以前ここでベトナム語の学習成果を記していた頃はTimes New Romanを使っていました。昔からフォントに対する拘りはあったんですけど、最近目覚めたようにネット上で自分の気に入るフリーフォントを収集するという発想は以前はまったくなかったので、ラテン文字が格好良く表記するためにはTimes New Romanを、と機械的に利用していました。Times New Romanに似た見た目のGeorgiaも好きなんですが、Times New Romanに比べてかなり幅を食う仕様になっていて、その為に使い辛い場面がよくあったりするので、結局Times New Romanを選択することの方が多いです。Georgiaは一応最近も使用例がありまして、アイヌ語学習成果3日目で「第○課: ○○」という見出しにあったラテン文字の表記がこれで為されています(だったはず・・・)。幅が太いことによるTimes New Romanとの見映えの違いが利用できた好例です。迫力出ますからね(上がTNR、下がG、サイズは24、イタリック体&ボールド):

Labai malonu susipažinti su Jumis!

Labai malonu susipažinti su Jumis!

Очень приятно с вами познакомиться!

Очень приятно с вами познакомиться!

 さて、ベトナム語をデジタルで綺麗に表示させる方法なんですが、別にTimes New Roman、Palatino Linotypeでも悪いことはないです。
 ただ、前回お見せした通り、StonehengeFeather・・・なんとかのような、OSに最初から組み込まれているフォントにはない魅力を持った字体が、どこかの誰かからの手を借りて表現可能であると知れば、ベトナム語にもそういうものがないかなと探してみたくなりまして。
 で、見つけたんですけど、何故だかその後で、「ラテン文字限定でいいから、どんな言語のどんな表記であっても綺麗に表示できるフォントというのはないのか?」と考え始めちゃいまして、ベトナム語の表示に特化したフォントのことはほぼどうでもよくなりました。
 色々試してみたんですが、TITUS Cyberbit Basicってのが万能に近くて、凄いフォントです。俺のOSはXPなんですが、このフォントは最初からあったものなのか、どこかから調達してきたものなのかは覚えてません。ただ、ベトナム語表記に適しているとはちょっと言い難いです。ベトナム語向けなら、これと比べるとTimes New Romanの方がいいですね。記事の最後に使用例を示してますんでどうぞ。
 ある表記の見た目に対してあるフォントが使用に向いているかどうかの判断は、メモ帳を開き、適当に文章を書き、あとはひたすらフォントを選択しまくって逐一表示の変化を見ていくという手順を以ってしています。言わずもがなですが、滅茶苦茶面倒臭いです。でもこれ以外に良い方法が思い当たらない。フォントファイルを開いて直接字体を見るという方法は意外に使えなくて、たとえばAndalusというアラビア文字向けのフォント(السلام عليكم)がありますが、フォントファイルを見ても記載されているのはラテン文字だけであり、実際こうして使ってみないとどんな文字の表示に変化を齎すのかわからないことが多いです。メモ帳での確認で言えば、フォント設定画面の「文字セット」の項目を参考にすればフォントの変更を決定するまでもなかったりするんですが、できれば文章単位で見た目の確認をしたいし、それからだとわからない表記の不具合が潜んでいる可能性があります。「文字セット」だと多くても10文字程度しか確認できません(ちなみにAndalusのアラビア文字表記は「文字セット」で確認可能)。
 で、このTITUS Cyberbit Basicですが、メモ帳の「文字セット」からは、その項目に準拠した呼称で言うと、「欧米」、「ヘブライ語」、「アラビア語」、「ギリシャ語」、「トルコ語」、「バルト言語」(リトアニア語とか)、「中央ヨーロッパ言語」(ハンガリー語とか)、「キリル言語」、「ベトナム語」のサンプルが確認できます。ラテン文字の表記に事足りるだけで満足だというのは先に言った通りですが、ここに含まれているように、ヘブライ文字の表記がセリフの体裁で適うことも特筆すべき点です(אני רוצה לנסוע לירושלײם)。
 ところでこの内「アラビア語」の表記は「السلام عليكم」、こんなんで最低最悪の・・・って、あれ!?字の結合が解除されてるじゃん!どゆこと?メモ帳だとこんなことはなくて、ちゃんと結合されていて、尚且つTahomaっぽい見た目になります(つまりこんな感じ: السلام علیکم)。
 まぁなんにせよ、使えないってことがわかりますね。個人的にアラビア文字でサンセリフ系は有り得ないです。
 OSにデフォで入っているフォントだと、Traditional Arabicが好きです。Andalusも捨て難いけどね。Traditional Arabicでは、一部の文字が筆記体の如く表記されるところが評価点です。どういうことかと言うと(上: TNR、下: TA):

نًيِ مُحَمَّ سَمَة

ني محم سمة

 上と下とでは使われている文字に違いがあるように見えますが、同じ綴りです(ちなみに意味のある言葉ではありません。両者の間で見た目の違いが出ることのみを条件にしてテキトーに綴りました)。こういう処理をして表示するアラビア文字用フォントで今のところ知っているのは、このTraditional Arabicだけです。すごいですよね。「筆記体の如く」というのは、ネイティブはこういう書き方をすることが多く見受けられるからです。俺はしません。最初にアラビア文字を書き始めた際こういう風に書くとは習わなかったし、何よりこれ見れば分かると思いますが、こういう字体だとなんの文字が結合しているのか判断できない可能性があるんですよ。なのに好きなのかって?うん・・・まったくの機械的な表示じゃないところに、作成者のアラビア文字に対する敬意を感じるというか・・・これが使われることによって誤読される可能性を孕んでいても、他のフォントとは異なる魅力、それも替えのきかないものであるということが素晴らしいと俺は思うんだ。
 あと実用的に重要なこととして、母音記号が文字とくっ付かないで表記できるという点が挙げられます。上のTMRの方を見れば判りますが、「ني」についている母音記号がアラビア文字と融合しちゃってます。TAの方に付けていないのは、筆記体風の表示が解除されるからです。こんな具合に: نَيِ مُحَمَّ سَمَة
 ・・・ただ、すんごい細いところが難点。Times New Romanと比べると、二回りくらい幅が狭いよね。かなりサイズをでかくしないと字体の結合云々以前に読み辛くてしょうがないです。
 とまあ、こんな感じで、フォントに翻弄されまくっている多言語学習生活を送っています。
 結局は自分で作った方がいいって話になるんだろうなあ、フォントって・・・。
 それでは最後に、ベトナム語用フォントの使用例を筆頭に、表示に不具合のある例も交えつつ、5つのフォント(すべてセリフ系)で書き表されたベトナム語文章と共にお別れです。

(ニューエクスプレス ベトナム語 第4課 より)

Type I. フォント: VU Tha Huong

- Bác ơi, đây có phải là xe máy của bác không?
- Không, đây là xe của con trai tôi. Tôi không có xe máy.
- Còn cái xe mới đó là của ai?
- Cái đó là của con gái tôi.
- Có phải cả hai cái đều là xe Nhật không?
- Đúng thế. Người Việt Nam thích xe Nhật lắm.
- Chàu cũng muốn một cái bác ạ.

Type II. フォント: Palatino Linotype

- Bác ơi, đây có phải là xe máy của bác không?
- Không, đây là xe của con trai tôi. Tôi không có xe máy.
- Còn cái xe mới đó là của ai?
- Cái đó là của con gái tôi.
- Có phải cả hai cái đều là xe Nhật không?
- Đúng thế. Người Việt Nam thích xe Nhật lắm.
- Chàu cũng muốn một cái bác ạ.

Type III. フォント: TITUS Cyberbit Basic

- Bác ơi, đây có phải là xe máy của bác không?
- Không, đây là xe của con trai tôi. Tôi không có xe máy.
- Còn cái xe mới đó là của ai?
- Cái đó là của con gái tôi.
- Có phải cả hai cái đều là xe Nhật không?
- Đúng thế. Người Việt Nam thích xe Nhật lắm.
- Chàu cũng muốn một cái bác ạ.

Type IV. フォント: Times New Roman

- Bác ơi, đây có phải là xe máy của bác không?
- Không, đây là xe của con trai tôi. Tôi không có xe máy.
- Còn cái xe mới đó là của ai?
- Cái đó là của con gái tôi.
- Có phải cả hai cái đều là xe Nhật không?
- Đúng thế. Người Việt Nam thích xe Nhật lắm.
- Chàu cũng muốn một cái bác ạ.

Type V. フォント: Feathergraphy Decoration

- Bác ơi, đây có phải là xe máy của bác không?
- Không, đây là xe của con trai tôi. Tôi không có xe máy.
- Còn cái xe mới đó là của ai?
- Cái đó là của con gái tôi.
- Có phải cả hai cái đều là xe Nhật không?
- Đúng thế. Người Việt Nam thích xe Nhật lắm.
- Chàu cũng muốn một cái bác ạ.

2012年6月7日木曜日

未だ帰宅の適わない3冊・・・

未だ帰宅の適わない3冊・・・。

hausa

 まずはハウサ語の本。
 今日、業務がすべて終了した後で、帰る前に店の倉庫でパラパラっと見てみたんですが・・・いや~、なんかもう色々とすごい複雑そうでした。今からワクワクもんです。
 あと、ハウサ語で使われていることによって初めて目にするラテン文字があった!これはすごく意外だった。ネットでハウサ語についての情報をチョコチョコっと見たといっても、ホントに僅かも僅かだったんで、まさか正書法で驚かされるとは思わなかった・・・。
 ただひとつ・・・「r+~」って表記があったんだよ~!リトアニア語のアクセントと違って常に明確に書き表すのが正しいみたいだったから、これについては今からもう憂鬱だぁ・・・。
 ちなみに、アラビア文字は、目にした範囲では一切登場してませんでした。

gaeilge

 次にアイルランド語。
 もうホント、この本は見る度手に持つ度に著者は偉大であると思い返される。音声教材(なぜかCD-ROM。CD-DAではない)も同梱で言うことナシ!ハウサ語の方はCDなしです。声調言語であるとのことで、且つ、俺が見たページのひとつではイントネーションに図を用いて説明されていたくらい発音の習得が容易でなさそうな言語なんだから、付属でCDは必須だったと思うんだが・・・。
 アイルランド語の母音と子音は、性質によってそれぞれ2つのタイプに区別できる点が、ロシア語など、「硬音」「軟音」が厳然と分たれていている言語に似ています。a、o、u(とそれぞれの長音)を後ろに従えると「広音」に、e、i(とそれぞれの長音)を従えると「狭音」になります: 広音: daoine /iːnʲə/(人々) | dia /iːə/(神)。

filipino

 最後にフィリピノ語。
 語れることはまーったくありません。パラパラと見てすらいないなw この中では最初に注文した本なのに・・・。
 まぁ、「とりあえず」だよ!気になったら確保しとく!
 日本は言語学習者に優しくない国だからね。そもそも日本国唯一の国語である日本語を政府レベルで学術的に研究、保護する機関がない時点で・・・。国語なんとか会?だかなんだかあったと思いますが、たとえばl'Académie françaiseの実質的な役割、権威、強大な存在感に比べればゴミ程の価値もない。
 買って持って帰れたところでその学習は後回しになる可能性が多分にあるわけですが、そんなことはどうでもいいんですよ。当分パラパラ暇潰しに見るだけにせよ家になかったらそれすら適わないんだから。
 注文はしていないがまだまだ欲しい本はいっぱいあるし・・・利用してるサイトの「お気に入り」の本の登録上限数が100なんだけど、埋まったまんまだからね。
 そこで本を注文するようになった当初目をつけていたのが、以前読んだことのある良書、次が基本的なラテン文字しか正書法に採用していない言語、そんでその次、つまり今関心があるのは、「読本」です。本によって解説の詳しさの差はあれど、基本的な文法説明は内包されているはずなんで、ある程度規則を覚えてあとはひたすら文を読むことで頭に染み込ませる・・・ってのができないかなぁと思ってるんだけど、どう?文法規則を知らない、もしくは理解できてなくても暗記はできちゃう人間なんで、ひとつの勉強法として取り入れられないか考える価値があるんじゃないかと。
 さて上の3冊とそれに関係する話はここまでにして、学習成果を話題にしたいところ・・・なんですが、新たなことを学んだある3言語は、それぞれの最新の課の本文を覚えただけで文法についての説明をまだちゃんと読んでないので、和訳書いて終わりってことになりかねないのでまだやっちゃあいけないんですよね。
 それでもとりあえず文は書きたいんで、暗記の確認も兼ねて本文だけ書き逃げしとくことにしましょうか。

エテケヘ・カ・エケマハ・カ・トィトィ・ウㇱ・ペ・ネ・ナ. マカナㇰ・エイキ・ルウェ・アン
- etekehe ka ekemaha ka toytoy us pe ne na. makanak eiki ruwe an?

キナカㇻ・クス・ペッ・クㇱ・タ・カㇻパ・ルウェ・ネ
- kinakar kusu pet kus ta karpa ruwe ne.

エコㇿ・セタ・エトゥラ・ワ・エアㇻパ・ルウェ
- ekor seta etura wa earpa ruwe?

ルウェ・ウン. クコㇿ・セタ・カ, クマチㇼペ・カ・クトゥラ・ワ・カㇻパ・ルウェ・ネ
- ruwe un. kukor seta ka, kumacirpe ka kutura wa karpa ruwe ne.

クコㇿ・マキリ・エトゥラ・ワ・エアㇻパ・ソモ・キ・ヤ
- kukor makiri etura wa earpa somo ki ya?

エカシ・コㇿ・マキリ・クユピ・エィワンケ・シリ・クヌカㇻ
- ekasi kor makiri kuyupi eywanke siri kunukar.

 まずはアイヌ語ですね。
 なんと言っても名詞の「概念形」と「所属形」の登場が大きい。上の文章中で言えば、etekehe(きみの手)、ekemaha(きみの足)、kumacirpe(私(兄)の妹)、kuyupi(私(弟)の兄)の太字部分が「所属形」の名詞、ekor / kukor seta(きみ / 私の犬)、kukor / ekasi kor makiri(私の / おじいさんの小刀)の太字で示した語が「概念形」です。具体的に、どういう表現に関与しているものであるかは・・・また後日、ね。アイヌ語の特異性がまたしてもまざまざと感じられる要素です。
 これは本当にエライもんですよ。絶対にそれぞれの形は眺めてるだけで暗記できる自信はない。今のところは文の中に組み込んであったら文や文法規則と共に併せて覚えるということ以上に身につけるための努力はしない予定だけど、例文の中の一単語として用いられたことのないものでも、CDエクスプレスは練習問題を読み解いたりそれに答えたりするための語彙として登場させるからなぁ・・・。昔はCDエクスプレスの練習問題、頑張って解いてたんですけど、最近は飛ばすことが多くなってきました。パッと見てサッと答えられなければそれは、真に理解できていない、見に染みていない証拠だと思ってるんで、とりあえず先々と進んでいくことが常態化してます。
 あ、ちなみに和訳は後日また改めて。以下の文章群もすべて同じく。

チュテティ・イム・アシュタ・イ・ブクル
I. Qyteti im është i bukur.

モトラ・イメ・アシュタ・ストゥデンテ・ナ・ウニヴェルスィテト
II. Motra ime është studente në universitet.

プリンダリト・エ・ミ・バノィナ・ナ・フシャト
III. Prindërit e mi banojnë në fshat.

ショク・ユト・アシュタ・メカニク
IV. Shoku yt është mekanik.

ナナ・ヨテ・アシュタ・ミェケ・エ・ミラ
V. Nëna jote është mjeke e mirë.

ヴァレザル・エ・トゥ・シュコィナ・プナ・マ・カンバ
VI. Vëllezër e tu shkojnë në punë më këmbë.

ビチクレタ・エ・ティィ・アシュタ・エ・レ
VII. Biçikleta e tij është e re.

アルブミ・イ・サィ・アシュタ・プロト・メ・フォトグラフィ
VIII. Albumi i saj është plot me fotografi.

ポプリ・ユナ・ルフトン・クンダル・シュテュピェス・ポリティケ
IX. Populli ynë lufton kundër shtypjes politike.

タ・ティラ・トリマ・リンディン・ララ
X. Të tillë trima lindin rrallë.

 それからアルバニア語です。
 ・・・って、なんだか微妙にすんなり読まさせてくれないこのフォントはなんだ!
 「Stonehenge」ってフォントなんです。上の「アイルランド語文法」で、アイルランド語を表記するための伝統的な字体として紹介されているのを見たのが、このフォントの出会いでした。この字体で書くと、たとえば「oíche mhaith(イー・ワー; =おやすみなさい)」は「oíce mait」となり、消えた「h」はそれぞれに先行する子音の上にドットとして書かれます(デジタルだと手間なくしてはċしか表現できない・・・。このċはマルタ語キーボードで打ちました。この言語で用いるċとġが古英語の表記に必要なので使ってます。マルタ語もやりたいけど入門書がねぇなぁ)。俺はこの字体がものすごく気に入って、あの本でアイルランド語の勉強をしているときは常に筆記に用いていました。ただ、上のd, i, r, sは本で示されていたものとは違う形になってます。また、アイルランド語ではj , k, q, v, w, x, y, zは用いられません(方言によるかもしれんが。少なくともコシュ・アーリゲ方言とコナマーラ方言では使わない)。本が買えた暁には件の字体が見られるページを一部撮影して載せようかな。
 さて、この課の存在意義は、学習者に「所有形容詞」を教えてくれることです。とりあえず最も目立っているものはそれなんですが・・・実はページの大半は形容詞の「男性形」「女性形」の形成の仕方とその他諸々についての解説に割かれています。だからこんなもん単語毎を例に述べられても頭入ってこないんだって・・・!文章中では、i bukur(美しい), e mirë(良い), e re(新しい), plot((me+対格)でいっぱいの), politike(政治的な)が形容詞です。「i」と「e」は「前置定冠詞」です。前者が男性名詞を、後者が女性名詞(いずれも主格単数)を修飾していることを示しています。これが付くものと付かないものの見分け方についても書かれています。

クルー・イーラ・パーシュタス
I. Kur yra paštas?

クルー・イーラ・テレフォナス
II. Kur yra telefonas?

クルー・イーラ・ストティス
III. Kur yra stotis?

イー・デーシネー. イー・カイーレー
IV. Į dešinę. Į kairę.

アントラメ・アウクシュテ
V. Antrame aukšte.

カイープ・マーン・ヌヴァジオーティ・イー・ストーティー
VI. Kaip man nuvažiuoti į stotį?

プラシャウー・カルベーティ・パマジュ
VII. Prašau kalbėti pamažu.

 で、3つ目はリトアニア語。
 ・・・って、このやたらと読み辛いフォントはなんだ!
 「Stonehenge」と同じくネットで拾ってきた「Feathergraphy Decoration」ってフォントです。いやこのフォントすごいんですよ。過度な装飾もすごいんですが、それ以上に、リトアニア語の字母をすべて問題なく綺麗に表示させることができる点が素晴らしすぎます。セリフ系のフォントでは大抵「ę」とか「į」はアウトなんですよ。
 上の「Stonehenge」とこれ併せて、タミル文字、シンハラ文字、デーヴァナーガリー、アルメニア文字のイケてるフォントを拾った後に、すっかり忘れてたラテン文字用のやつを探し始めて色々見つかったものの内の一部なんですよ・・・探す順番おかしいよなw 余談ですが、最近文字をデカいサイズで書く際に愛用していて、そして今回もアイヌ語の文章に使ったのは「Palatino Linotype」ってフォントです。古典ギリシャ語を一切の不具合なく表示させるために必要不可欠なフォントの内のひとつで、リトアニア語の特殊な字母などにもバッチリ。そもそも見た目もシャープでカッコイイし、すごく利用しやすいフォントです。これはデフォでOSに入ってるはずです。古典ギリシャ語を始めたのは3年くらい前なんで勿論このフォントの有用性についてはよく知っていたのですが、古典ギリシャ語以外にラテン文字を表記する際にも是非利用すべきものであると気づいたのはここ最近です。
 さて前2つと同じように内容に少し触れようかなと思うんですが、そもそもこれで文すべてじゃなかった気が。
 会話文なら、それを構成する個々の文はハイフンで導いて、全体がひとまとまりを成していることを俺は示すようにしています。これは見ての通り互いが互いに関係のある問答ではありません(一部それっぽいものもあるんだけど)。そんな文なのにむしろこんだけよく覚えてる自分を褒めたいくらいだ。とか言ってるのに同じようなつくりのアルバニア語文は覚えられたのかと自分に突っ込みたいところですが、あれもあれで文の登場順が違ってるような気がしてます。
 この課では「文法格」が登場します。I.からIII.までの、-asを語末に持つ名詞は「主格」で、dešinę, kairę, aukšte, stotįは・・・なんだっけ?w ちゃんと見てないからね、仕方ないね。「antrame aukšte」は「2階に」って意味だからaukšteは「処格」ってことは確かで、他はたぶん対格だったとは思うんだけど・・・。というか、印欧祖語に近いと言われる他の言語を参考にするまでもなく、ラテン語を知ってれば「なんとなく」で対格かなと思えるんだよね。
 「į」がかつてiの鼻母音を、「ę」がeの鼻母音を示していたことと、前置詞「į」が「...に」を意味することを念頭に置いて、ラテン語でこれらにあたるものは何かと考えると、「į」と同じ意味を持つ前置詞「in」と、「単数対格語尾「-m」」という鼻音を含む要素なんだよね。ラテン語の全名詞の単数対格形が-mで終わるわけではないけど、これを特徴にしている一分類があるのも確かで、たとえば「島に」(移動先の到達点として)は「in īnsulam(< īnsula; f.)」と言う。サンスクリットの単数対格指標のひとつが-म्(m)という語尾であることを考えると、リトアニア語の鼻母音は、元は「母音+m」という結合であったのではないかと俺は思う。
 まぁ、これで上の対格であると思われる名詞群が別の格として曲用されていたらアホ過ぎだけどw
 ところでこいつらそれぞれ主格がdešinės, kairės, aukštės, stotis(III.にある通り)なんだけど、それぞれ音が「デシネース」、「カイレース」、「アウクシュテース」、「ストティス」で、aukštės以外の前置詞「į」に導かれている方は、上に書いてある通り、「デーシネー」、「カイーレー」、「ストーティー」なんだよ。伸ばすところが格によって変わるんだよ・・・。アクセントの位置による問題だから、「デー」、「カイー」、「ストー」のそれぞれの部分は見た目は短母音のままなんだ。ちなみにこの伸びている部分はすべて上昇アクセントを有しています。主格形で長音である部分も同じくそのアクセントは上昇です。あ、stotisのアクセントは「stòtis」として示され語幹にあり、短アクセントです。
 ・・・どこが「本文だけ書き逃げ」なんだw
 何か述べないと気が済まないってわけなんだな。
 これだけでも大分疲れた・・・。「慣れないことすると・・・」と言うが、俺にとってこういう解説もまさしく「慣れないこと」にあたってるもんな~。

2012年6月4日月曜日

=「мой отец—учитель」 ~リトアニア語第3課

カイープ・ギーヴーオヤテ
Kaip gyvuojate?
お元気ですか。

 俺?俺は元気じゃないです(´・ω・`)

クラーセーィエ
第三課: KLASĖJE
教室で

 今回もひとつのまとまった会話文にはなっておらず、色んな表現の寄せ集めで構成されているので、全文書き出しは省きます。

プラシャウー・スカイティーティ
Prašau skaityti.
読んでください。

※skaitýti: 読む(不定形)

 というわけで、今回から本格的に動詞が登場します。この課に出てくるものはほぼ全てが不定詞で用いられています。

スカイティーキテ
Skaitykite!
読みなさい。

※skaitýkite: skaityti命令形2人称複数

 「命令形」が出てきましたね。「命令」はないんでしょうか?

プラシャウー・イシュヴェルースティ
Prašau išversti.
翻訳してください。

※išver̃sti: 翻訳する(不定形)

 「skaityti」、「išversti」と、-tiを語尾に持つ動詞が続きましたが、これは当然のことで、リトアニア語の不定詞は-tiを語尾に持つのが特徴です。第2課で書いたbūti、gyventiの語末も、勿論この特徴が表れたものです。

プラシャウー・ラシーティ
Prašau rašyti.
書いてください。

※rašýti: 書く(不定形)

 不定形末尾の-tiの直前にyを持つ動詞は、そこに必ずアクセント(下降アクセント)があるのでしょうか?少なくとも今までに見てきたものはみんなそうです。

プラシャウー・デーメシオ
Prašau dėmesio!
聞いてください。

※dė̃mesio < dėmesỹs(デーメスィース; m.) s.gen.: 注目、注意

 和訳だと「Écoutez bien!(エクテ・ビヤン」と書かれているかの如しですが、dėmesysは注釈の通り、「注目」という意味を持つ言葉なので、直訳だと「どうか注目(してください)」ですね。言わずもがな、「聞いてください」とは本に従ったものです。和訳通りの「聞く」という動詞を用いなかったのは、「教室に於いては」こう言う方が自然ってことなんでしょうか?
 ところで、主格・dėmesysと属格・dėmesioとでは、アクセントの位置に違いがありますね。地獄の扉が開く音がするぜ・・・。

プラシャウー・パカルトーティ
Prašau pakartoti.
繰り返してください。

※pakartóti: 繰り返す(不定形)

 -tiの直前に、これまでとは別の字母が来ましたね。X-ytiという不定形に於いてyがアクセントを持つというより、-tiの直前の母音がアクセントを持つのではないかと推測する方が適切みたいですね。išverstiに於ける-tiの直前の母音字はeですが、子音字であるrと二重母音を形成してますんでrに付いていてもおかしくない。

ダール・カルーター
Dár kar̃tą.
もう一度。

 これの表現について、単語毎の意味が記載されていないので、このまま覚えよってことなんでしょうね。
 字母「ą」は初めて登場しましたね。かつてはaの鼻母音を示していたものが、現代ではaの長音になっているというものです。ę、į、ųも同じ変遷を辿った字母です。なんで鼻母音は廃れちゃったんでしょうね。ある音がなくなったのなら、それを示していた字も共に廃止するとか他の字に置き換えればいいのに、なんの働きがあってこういうのって残存するんだろうね(英語の母音の表記とかね!)。このせいでįとy, ųとūで同じ音を共有するようになっちゃったんだから。ęとėは、カナで音写するとどちらも「エー」ですが、正確には前者は広いe、後者は狭いeです。ちなみにąとęはポーランド語にもあり、これらは鼻母音です。
 それにしてもまたもやの現象だが、「r+アクセント」の表記がヒドいことになってんなぁ・・・。
 「母音字+子音字」という結合でのアクセントは、母音に付く方は下降アクセント、子音に付く方は上昇アクセントと必ず決まっているのなら、ある「VC」という二重母音に於いて、Vの方に上昇アクセントを付記することによって直後のCのアクセントを示すってやり方をしても、無理はない・・・よな?カナによる読みは必ず付けるし、たとえば上の「kartą」なら、

 カルーター
 kãrtą

 と書くわけだから、「カールター」と誤読される可能性はなくなる。
 ただ、俺個人が自由に書いている場所限定であるとはいえ、勝手にそういうことをしていいものかどうか・・・。誰に責められるわけではなくとも、最終的に最も説得に心を砕く相手って、自分自身なんだよね。いわゆる葛藤ってやつか?この言葉人生で初めて使ったかも。
 ベトナム語キーボードを使ってアクセントを付けると頭で決めてそれを実践する前からこうなることはこれまでの経験上わかってたんだよ。アクセント付きの「jūs」がキレイに表示できる例を示したけど、このフォントあのサイズで偶然うまくいっただけであって、デカくしてフォントをPalatino Linotypeにしたら第2課で見た通りの有様だよ。
 文章の後に「※」で導かれる注釈で単語毎の意味をアクセントの位置と共に見る際に、字母に直接アクセント記号を乗せないで、「rに上昇アクセント」とか書こうかなとも思ったんだけど、いまだ自分を納得させられる方式を決めかねています。

ヴィスィ・カルトゥ
Visi kartu.
みんな一緒に。

※visì: みんな、kartù: 一緒に

 kartąは注釈がないのにkartuにはあるっていう。いや、kartąとkartuが同一の語である証拠が第3課のどこかにあるわけじゃないんですけど、・・・まぁ、十中八九同じ言葉でしょ。「dar」が「更に」、「kartą」が「一度」であると仮定できんこともないし、となると「kartu」は「一度」から類推して「一纏め」のような意味があるんじゃないかと。

タイー・ヴィスカス
Tai viskas.
それだけです。

※taĩ: それ、vìskas: すべて

 フランス語で言う「c'est tout(セ・トゥ)」に完全に対応する表現でしょうね。この「viskas」と上の「visi」は、それぞれの意味や語形上から察するに、互いに関係の深い言葉であることがわかります。
 これが成句であるとして、ならば文法的にあまり細かいことが気にされず用いられている可能性もありますが、「それが」+「すべて」という表現にbūtiが伴われていないことには説明がつきます。リトアニア語では、「...は...である」という表現に於いて、繁辞の省略が許されるのです。

マノ・テーヴァス・(イーラ・)モーキートヤス
Mano tėvas (yra) mokytojas.
私の父は教師です。

※màno: 私の、tė́vas: 父、mókytojas: 教師

 また、名詞と名詞の間をハイフン(よりも長い線、が正しいのかな?ダッシュ?)で繋ぐこともあります。昨日の「labai malonu susipažinti su Jumis=очень приятно с вами познакомиться」に続き、これもロシア語的です。となると想像がつくでしょうが、上記リトアニア語文と同じ構文、時制に於いては繁辞が不要であるという点も共通です。というより、ロシア語の場合はリトアニア語と違い、「繁辞がなくてもいい」のではなく、「使わないのが正しい」のです。たとえば上の「Mano tėvas...」をそっくりロシア語に訳すると、

mój oťéc učíťeľ / モーィ・アチェーツ・ウチーチャリ
Мой отец—учитель.

 となります。リトアニア語・būtiにあたるロシア語はбыть(býť / ビーチ)、そしてその直説法現在3人称単数はбудет(búďet / ブーヂャト)ですが、「мой отец будет учитель」とは決して言いません。

カス・ノーリ・スカイティーティ
Kas nori skaityti?
誰が読みたいですか。

※kàs: 誰(が)、nóri < norė́ti(ノレーティ)直説法現在3人称単数: 望む

 色んな言語で見てきましたからね、完全に注釈抜きで“「望む」を示す動詞と不定詞を組み合わせて「不定詞が表現する動作を行うことを欲する」という意味になる”と即座に理解できますね。
 さてでは最後に、本が言うところの動詞の3種の分類とやらを見てみましょう。

第一種
例: eĩti(エイーティ)=行く

s. / pl.
aš einù(エイヌ) / mes eĩname(エイーナメ)
tu einì(エイニ) / jūs eĩnate(エイーナテ)
jis eĩna(エイーナ) / jie eĩna(エイーナ)

 このように、単数が-u, -i, -a、複数が-ame, -ate, -aに終わるのが特徴です。「3人称単数と複数の活用は同じ」でしたね。また、3人称単数と複数すべてに於けるアクセントは、人称と数を示す部分には付かないそうです。1人称と2人称の単数の場合は、付いたり付かなかったりです。eitiの場合は上で見られるように、前者ですね。
 そしてこの第一種には「亜種」があります。ここで示した人称の指標に+αで・・・

第一種・亜種
例: ruõšti(ルオーシュティ)=準備する

s. / pl.
aš ruoš(ルオシウ) / mes ruõšiame(ルオーシェメ)
tu ruõši(ルオーシ) / jūs ruõšiate(ルオーシェテ)
jis ruõšia(ルオーシェ) / jie ruõšia(ルオーシェ)

 と、このように、動詞語幹と第一種の人称語尾の間に-i-が挿入されるのです。おそらくですが、第一種・亜種に属する動詞は、-tiの直前の子音になんらかの共通点があるのではないかと思っています。歯擦音、若しくはこれと同類の音とか、ね・・・。狭い前舌母音と相性の良い子音、とも言えます。

第二種
例: mylė́ti(ミーレーティ)=好む

s. / pl.
aš mýliu(ミーリウ) / mes mýlime(ミーリメ)
tu mýli(ミーリ) / јūs mýlite(ミーリテ)
jis mýli(ミーリ) / jie mýli(ミーリ)

 さてこちらは動詞語幹にプラスiです。また、すべての人称と数に於いて語幹にアクセントがあること、加えて、3人称の単数形がその複数形のみならず、2人称単数との間とでも同一の語形を持っていることが特徴ですね。
 mylėtiを見るに、-tiの直前に狭い前舌母音、即ち/i/か/e/かこれらの類音のある動詞が属するのかなと思ったんですが、そう単純なものではないっぽいですね。というのも・・・

第三種
例: skaitýti=読む

aš skait(スカイタウー) / mes skaĩtome(スカイートメ)
tu skait(スカイタイー) / jūs skaĩtote(スカイートテ)
jis skaĩto(スカイート) / jie skaĩto(スカイート)

 この第三種があるからなんですね。動詞語幹の直後に硬母音(ここではaとo)が続いているのが特徴で、第一種に似ていますね。
 と、いうわけで、動詞の活用が示された第3課ですが、本文にはnorėti > noriしか直説法現在形として活用されている動詞が出てこないっていう・・・スペースもったいねぇ。
 うーん、そろそろタミル語についてまた書きたいんだけどなあ・・・。これまでのリトアニア語以上に例文が場面を同一にしてひとまとまりの体を成しているわけじゃないから、複数のページに亘って相互に関連のない文章を暗記しておかないと書けないっていう・・・骨折れるよこれは。
 まあ、頑張ります。

 イキ・パスィマーティーモ
 Iki pasimatymo!

2012年6月3日日曜日

=「очень приятно с вами познакомиться」 ~リトアニア語第2課

ナーン・ナーレッキ・エンガユン・ポーガ・ヴェーンダーン
நான் நாளைக்கு எங்கேயும் போக​ வேண்டாம்.
明日どこにも行きたくないです(´;ω;`)

 なんかもう最近疲れてます。接客態度も日に日に悪くなっていっている始末。そりゃハラタツわいな・・・色々やらにゃならんことあって、その日の内になんとか終わらせようと頑張ってるところにおもくそ「神たるお客様が来ましたよ?」と言わんばかりに澄ましたツラでノコノコやってくる連中。
 俺は接客やるためにバイトやってんじゃねんだよ!
 接客業だけどさ!
 新人はゆとりど真ん中で信じられないくらい頭も覚えも悪くてむぁったく使えねーし無茶苦茶なシフトがなんのフォローもなしに組まれることが多くなってきて俺は黙って従事、問題起きないようにこれ以上細かくならないよ~ってくらい心砕いて相方の行動を確認して・・・ほぼ常にそいつの傍らにいるハメになるから自分の仕事ができねーんだよ!
 なんで俺時給780円のバイトでこんな苦労してんの?
 家から50mもないコンビニでは23時から朝7時までボケーッとしてるだけで時給970円ってなんなの?
 割引で買物する特権がなかったら勝手にヤメてるとこだ。
 それにしてもゆとり世代の頭の悪さはすごいな!実際接して初めてわかる。ネット越しだとネタとしてしか捉えられないけど、同じ人間とは思えないくらい視野が狭い。常識がわからない。自分で判断できない。返事もろくにできない。気は利かない。何度言っても同じ失敗をする。わからないならそう言えばいいのにひたすら黙る。お洒落だけは毎度バッチリキメてくる。極めつけに、多く入れると言ったから採用してもらえたのに半月に5回程度しか出勤してこないというオチ。口で言って解らないバカなんだから身体で覚えてもらうしかないのにこれじゃ身につくもんも身につかん。
 こいつがいる方が仕事はかどらないってなんなの?
 塵<ゴミ>め・・・。
 でも俺はまだ当分はやめられないんだな~・・・本も溜まってっしよ。
 ヘブライ語の本、チベット語の本、フィリピノ語の本・・・そんで新たに「アイルランド語文法 コシュ・アーリゲ方言」(ミホール・オシール 著)が来ちゃいましたよ。
 これはホント、少しパラパラっと目を通しただけでもその内容の濃さに目を見張ってしまう、正真正銘の語学書の名著ですよね。というかまず大抵の人はそのデカい見た目に気圧されることでしょう。大学いた頃、ある日新刊として棚に置かれていたこの本を手に取って、当然の如くその日の内に借りましたよ。
 日本に於ける高等な言語学の本って、俺は本当はこういうのが理想だと思う。すなわち、ある言語の語学書は、その言語を母語にしていて、尚且つ学術的に研究もしている人が著したものを、日本人が日本語に訳して出版するって方が絶対にイイんだよ。
 日本人が書くのを待ってたらいつになったら語学書が登場するんだかわからない言語が、かなり多くの人が話しているものであってもまだまだたくさんあるからね。大抵はインドの言語だけど。すごい局所的に話者が固まってるから国際的な需要がなく、注目もされにくく、日本での研究も進んでないんだろうとか、そんくらいは想像つくんだけどさ。
 俺が将来書けるようになれば一番いいんだけど・・・。
 本まだ残ってんのに(ついでにCDも)なんでまた新しいの頼んだのか?っていうとですねぇ、いつも通りの理由なんですけど、利用しているネット通販のサイトで品切れになったからなんですよ。
 特にこの本のデキの素晴らしさはよく知ってましたからね、もうソッコーで発注ですよ。
 で、実はもう1冊ございまして、明日4日に到着予定なんですが、「ハウサ語基礎文法」(塩田勝彦 著)ってのも頼んだんですよ。
 これは何故欲しがったかっていうと、単純に、どんな言語だかほっとんど知らないから。ja.wikipedia.orgとかでちょこちょこ情報は仕入れましたけどね。
 自分が知らないってだけで、みんなは既に知ってる、よく知ってるってものに出会うことは人生に於いてそう珍しいことでないと思いますが、「ハウサ語」は確実に「俺だけが疎い」ものじゃないはずです。でも語学書があったっていう。
 そりゃ興味引かれんでしょ!どういう言語なんだか、語学書があるならそれを通して詳しく知ってみたくなるってもんでしょ!
 ラテン文字とアラビア文字を正書法に持つ言語だそうです。この本ではたぶんどっちででも学べるようになってるんじゃないかな。両者の間の転写には複雑さはないし、どちらが本に於ける主たる正書法として据えられていてもまったく問題ないでしょう。始める前からそれだけは言えます。
 アラビア文字といえば、日本人の間でもある程度知名度のある言語の中ではもっとも「読めそうにない」印象が容易に持たれがちな言語だと思いますが、はっきり言って3日(それも根詰めずに)もあればスラスラ読めるようになれるし自由に書けるようになります。人によっては1日、いや半日くらいでしょうね。
 ・・・ところでさ、冒頭のタミル語のフォント、すげーかっこよくない?
 何が切欠だったんだか忘れたんだけど、「かっこいいタミル語フォントを探そう!」と思い立って、見つけたのがコレ。他にも吟味の上色々ダウソしたけどこれが一番お気に入り。
 このフォントを使ってタミル語で何か書きたいが為に、何も見ずに己の言葉で言えるもので且つなんらかの話題の導入になりそうな文章を書いた結果、バイトについての愚痴でこの記事が始まることになったわけです。
 また意見がまとまったら書こうと思っとるんですが、俺今、「カタカナ」で示す発音にとてつもない重要性を見出し初めていまして、そんなわけで、いつもはカタカナとラテン文字でタミル語文章の読み方は示しているのに、上ではカタカナしか併記しなかったんですよ。
 まぁちなみにってことで書いときますが、「nāṉ nāḷaikku eṅgēyum pōga vēṇḍām」です。単語毎に訳すると、「私は(人称代名詞主格)+明日に(名詞与格)+どこにも(副詞; எங்கே=どこ+உம்(um)、ēとuの間のய்(y)は緩衝音)+行く(動詞不定形)+欲さない」。
 最後の「வேண்டாம்」は「வேண்டும்(vēṇḍum / ヴェーヌン)」の否定形で、これは「நான்=私は」に対応する活用ではなく、3人称単数形です。「வேண்டும்」を使う希望の表現に於いて、意味上の主語は、この文章で見られるように主格、或いは与格で表されます(「私は」ならその与格は「எனக்கு(eṉakku)」)。スペイン語の「gustar」を用いての「...が好き」という表現を引き合いに出すと、わかる人には感覚的に理解できるんじゃないでしょうか。尚、「不定詞+வேண்டும்」だと意味上の主語は主格でも与格でも表せますが、「名詞+வேண்டும்」だと与格でしか表せません。「不定詞+」の方も、本来は与格のみが使えた(=文法的に正しい)んじゃないかなと思ってるんですが、どーなんでしょ。文法的要素にウルサイ俺としては与格で「私は」を表したかったところなんですが、本だと主格で表してる例文の方が多かったので、それに倣ってみました。習ってる身として。
 とまあ、タミル語のプチ講座も終わったところで、今回書きたい言語のついての話、いきますか。

第二課: PRAŠAU SUSIPAŽINTI

 ハイ、リトアニア語なんですね。
 この第2課の本文もひとまとまりの会話文では構成されていないので、いきなり文章を個別に見ていこうかと思います。

プラシャウー・ススィパジーンティ
Prašau susipažinti.
ご紹介します。

※prašaũ: どうか、susipažìnti: 知り合う(不定詞)

 「どうか」と「知り合う」で「ご紹介します」になるの?と、俺も最初は思ったんですが、人同士を引き合わせてる場面であると考えればおかしくはないですね。というわけで「どうか知り合ってください」が直訳なんですが、そうなると「リトアニア語は不定詞を使って命令を表現するのか?」という疑問が次に湧いてきますよね。これに関しては2課には答えはありません。
 第1課にあった「どういたしまして=prašau」はそのアクセントが明示されていませんでしたが、それはこの「どうか=prašaũ」と用法が違っているからなんでしょうか?
 リトアニア語では、「母音+子音」の結合が「二重母音」を形成することがあります。一例としてsusipažintiの持つ-in-がそれにあたり、この結合ではiの方(=母音)にアクセントが付いていますが、nの方(=子音)にアクセントが付く場合もあります。この他の「母音+子音」で「二重母音を」構成している例、「母音+n」という二重母音でnの方にアクセントがある例も今回実際出てきますのでお楽しみに。

チェ・ポーナス
Čia ponas ...
こちらは...さんです。

※čià: ここ、põnas: ...氏

 本当は「...」には「Sato(佐藤)」が入ってるんですが、俺の感性に照らし合わせて場違いなので省きました。というか普通にリトアニア人の名前でいいだろーが。ホント理解できない、なんの脈絡もなく日本人名を入れてくる語学書。
 リトアニア語は大抵見た通り読める言語ですが、「ia」という二重母音は「エ」を示していることに注意。

アルー・ユース・エーサテ・ポーナス・リマス
Ar jūs esate ponas Rimas?
あなたはリマスさんですか?

※Ar̃: ...か?、ẽsate: あなたは...である(bū́ti直説法現在2人称複数)、Rìmas: リトアニア人姓

 リトアニア語にもあるんですねー、疑問指標の助詞。「も」ってのは勿論、アルバニア語(a)やバスク語(al)があっての言葉です。
 さて出てきましたね、「V+C」でCの方にアクセントが付いている例が。発音は「アルー」としましたが、これは本に沿った表現です。実際どういう音なんでしょうね。いまだにCD聴いてないっていう。言わずもがなですが、「arū」となるわけではなく、有音である「r」を発した時の音の響きを持続させるのです。まあ、机上の解釈を以ってしてみると、確かにその音は「アルー」しか表現しようがないですね。最初は「アルル」や「アッル」と書こうかなと思ったんですが、本に従ってりゃ楽なので今のところは深く考えずにおこうかなと。
 「V+C二重母音」のCに入るものには、これまでに出てきたn、rの他に、m、lがあります。まだなんかあったかも。これらの子音が母音に近しい性質を持っているがために、母音と結合した際に二重母音を形成するというわけです。サンスクリットにも、rとlに転写される短母音と長母音がありますんで、俺はすんなりと納得できました。

aputrasya ghaṃ śūnyam / アプトラスィヤ・グハン・シューニヤム
अपुत्रस्य गृहं शून्यम्॥
息子のいない人の家は空虚である。

※ग​の下についているもの、ラテン文字で「ṛ」と転写とされているが、れっきとした母音である。・・・らしいよ、サンスクリット語初等文法(J. Gonda 著)って本によると。
※अपुत्रस्य​: अपुत्र​-(aputra; adj.; =息子のいない)男性単数属格; 名詞として用いられている。
 cf. ラテン語・bonus(adj.; 良い)=良い=vir bonus、bona(bonus f.s.)=良い=femina bona、bonum(bonus n.s.)=良いもの=res(f.) bona
 गृहं: गृहम-(gṛha; n.; =家)単数主格; 本来の語末は-म्(m)で、直後のश​に影響を受けている
 शून्यम्: शून्य​-(śūnya; adj.; =空虚な)中性単数主格; गृहंを修飾している
※繋辞(フランス語・être、ドイツ語・sein)がないが、サンスクリットでは名詞の並置で文章が成り立つ。

 「esate」は、※で注釈を入れたように、その原形はbūtiです。ラテン語のesse(エッセ)系よりも古い形の名残がありますね。サンスクリットではभू(bhū / ブー)というので、さすが、誰が言ったか、「印欧祖語に最も近い形を残している言語」と指摘されるだけはあります。

būti直説法現在形

s. / pl.
àš esù(アシュ・エス) / mẽs ẽsame(メース・エーサメ)
esì(トゥ・エスィ) / jū̃s ẽsate(ユース・エーサテ)
jìs (jì) yrà(ィス(ィ)・イーラ) / jiẽ (jõs) yrà(ィエー(ヨース)・イーラ)

※ji、josは女性。

 と、活用します。3人称の単数と複数が同じ活用を見せていますが、これはこの動詞に限ったことではなく、リトアニア語の動詞での同人称に於ける活用は単複常に同形なんだそうです。
 ところで・・・ああ、jūsの表記が醜いことに・・・なんとかならんかなあ、これ・・・。

タイープ、アシュ・エス・アンターナス・リマス
- Taip, aš esu Antanas Rimas.
はい、私はアンタナス・リマスです。

※taĩp: はい、Antãnas: リトアニア男性名

ネ、アシュ・エス・ヴァライーティス、ペートラス・ヴァライーティス
- Ne, aš esu Valaitis, Petras Valaitis.
いいえ、私はヴァライティス、ペトラス・ヴァライティスです。

※nè: いいえ、Valaĩtis: リトアニア人姓、Pẽtras: リトアニア男性名

 まず、音写では「アンターナス」、「ペートラス」、「ヴァライーティス」なのに、和訳では長音がすべて短音になっていることについてですが、これは本がそうしているので、ってだけです。リトアニア語の字母としての長音が含まれて初めてカナによる音写に長音が反映されるんでしょうかね。
 次は本来は「Kaip gyvuojate?」なんですが、第1課にあったので省きます。あ、ちなみに第1課で「gyvuojate」と「iki pasimatymo=またね」の「pasimatymo」の原形をちゃんと確認してなかったと書いてましたが、それぞれ「gyvénti(ギーヴェンティ)」と「pasimãtymas(パスィマーティーマス)」です。「pasimatymo」は単数属格形でした。ついでに「gyvuoji」はやはりgyventiの2人称単数形でした。

ラバイー・マロヌ・ススィパジーンティ・ス・ユミス
Labai malonu susipažinti su Jumis.
あなたと知りあえてとても嬉しいです。

※malonù: 嬉しい(malonùs中性形)、sù(+具格): ...と、Jumìs: jūs具格; 元の形はjumìsで、語頭が大文字だと敬称形となる

 第1課で言及した、「prašauからprzepraszam」は、ただ互いの語感がたまたま似ているだけ(しかも意味が違う)というだけでしたが、ここにきてかなり強くスラヴ語的な印象をリトアニア語から受けました。・・・とは言っても、今回も、「リトアニア語にスラヴ諸語が与えた影響」をまともに語ることにできる人から見れば噴飯ものの感想なんでしょうけどね。
 そもそも「スラヴ語的」というか、「ロシア語的」です。
 というのもこの言い回し、「очень приятно с вами познакомиться(óčeň pr'ijátno s vám'i poznakóm'iťs'a / オーチャニ・プリヤートナ・ス・ヴァーミ・パズナコーミツァ)」にそっくりなんですよね。上の文と照らし合わせると、「labai=очень」、「malonu=приятно(両者共に中性形; < приятный(pr'ijátnyj / プリヤートニィ))」、「su Jumis=с вами」、「susipažinti=познакомиться(どちらも動詞不定形で、且つ再帰動詞である)」。ロシア語表現に於けるそれぞれの言葉の和訳も、上記「Labai...」のそれとまったく同じです(俺が学習に使っていた本が間違ってなければ)。

ユース・エーサテ・ストゥデンータス
- Jūs esate studentas?
あなたは学生ですか?

※studeñtas: (男子)学生

タイープ、アシュ・エス・ストゥデンータス
- Taip, aš esu studentas.
はい、私は学生です。

 「ar」はあってもなくてもいいみたいです。
 さてこの「studentas」に含まれている「-en-」が、「susipažinti」の「-in-」とは逆に、子音にアクセントが含まれている例です。
 「V+C」の二重母音は、母音の方にアクセントがあれば下降アクセント(見た目は短アクセント)、子音の方であれば上昇アクセントを有します。どちらも長音を示しますが、声の調子は真逆だということですね。
 尚、studentasは、本に書いてあったのでついでに覚えてしまいましたが、主格女性単数形で-tė(テー)、主格男性複数形で-tai、同女性複数形で-tės(テース)となります。なんかギリシャ語とラテン語が混ざった感じですね。
 さて今回はこんなところです。
 実は3課まで終わってるんですけど、目の痛さが限界なのでもうギブ。主に動詞ばかりで成り立っている本文を持つ課であり、当然の如く活用の分類も交えての解説があったのでまた一段と難しく&楽しく語ることのできる機会なんですが・・・焦らず、後日いっときましょうか。

 それではSudie!(スディエー)

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