2011年12月13日火曜日

The Agonist Wrestled a Bear Once

初めてチベット語を勉強しなかった日。

 ま、仕方ないね。朝5時まで起きてて、今日の14時まで寝てたし
 ちなみにバイトは非番。
 で、起きてしばらくしてから更に20時まで寝て、ちょっとギター弾いて、・・・あと何してたっけ?
 そんなわけで本日はチベット語について何も書けないわけですが、今日ふと観たくなったつべのある動画を切欠に、久々にコレ、してみましたので載せます。

...and Their Eulogies Sang Me to Sleep.”(Lullabies for the Dormant Mind収録)撮影ラインナップ

Alissa White-Gluz - Vo.
アリサ・ワイト=グラズ
Chris Adolph - Gt.
クリス・エイダルフ ※C
Danny Marino - Gt.
ダニー・マリーノウ
Chris Kells - Ba.
クリス・ケルズ
Simon McKay - Ds.
サイマン・マケイ

 ※C: ビデオには参加したが、音源は残さず脱退。後任はPascal Jobin(パスカル・ジャビン)。

 ハイ、カナダのThe Agonistですね。
 この...and Their Eulogies Sang Me to Sleep.を聴いた時の衝撃たるや、・・・いやもう正直覚えてないけど、とにもかくにもこのAlissa White-Gluz嬢には一撃KOされましたよ。
 この人を知ってからですね、「メタルバンドでも女ヴォーカリストはアリ」と思えるようになったのは。Arch EnemyAngela Gossowは別になんとも思わなかった。
 これ以前からTarja Turunenは別格でしたが。
 グロウルする女性連中も今は結構いるみたいですけど、発掘してるわけじゃないので、iwrestledabearonceKrysta Cameronしか、A. White-Gluzを知って以降はお気に入りのエクストリームメタル“♀”ヴォーカリストにはお目にかかってませんが、でも個人的にはこの2名でハラ一杯って感じです。すごすぎなので。
 The Agonist、最近何やってんだろと思ったら、新EP出してたんですネェ。
 ただ、収録曲が2曲って・・・シングルじゃダメだったの?
 iwrestledabearonceも、そのリリースカタログが更新されていることに、現時点最新作・Runnin' It for Everybodyの発売後大分してから気づきましたよ。
 このアルバムからは1曲のPVがつくられてますけど、相変わらずアホなことしてますね。
 そうだこのままだ。アホ路線で突っ走り続けるんだ。頼んだぞ。
 あとは、曲調と雰囲気、演出だけに寄り掛からないカオスっぷりが演奏面からも出せるようになれば完璧なんですけどね。
 テクニカルではありますが面白くはありませんからね。
 エクストリームパートでも「音楽」が感じられるようになれば、継ぎ接ぎ感が薄まるでしょう。
 今のところは1曲内に詰め込まれたパート毎の温度差に楽しさのあるバンドですが、これ一辺倒だと、さすがにね。
 こんなことやってるバンド、IWABO以外そういないだろうから、ある意味マンネリとは価値の異なる、IWABOというジャンルが形成されつつあると見なせんこともないけど。
 絶対もっと、もっともっと面白いことができるバンドだと思うのです。
 勿論、稀代のスーパーヴォーカリスト・Alissa White-Gluz擁するThe Agonistの今後にも、期待しておりますよ。

2011年12月12日月曜日

チベット語学習日記 12頁目

 寝てた。
 11時まで。
 なんでかな、昨日床に入ったのが日付変わってからの1時半くらいで、相変わらず寒過ぎでしばらくもぞもぞはしてたけど1時間も経たない間に寝ついたはずなのに。
 まぁそんなわけで、わずかしかチベットの勉強はできませんでした。
 しかしそのちょっとの間に驚愕の事実が判明しました。
 なんと、読めない単語ばかりです!
 どーなってんだコレ。
 では実例を挙げてみましょう・・・と言いたいところなんですが、やっぱ他人が著した本の文章は丸写ししちゃダメでしょうね。
 以前Live Spacesにいた頃は、それはもうやりたい放題してました。
 あそこで記事を更新していた頃主に力を入れていたのがヘブライ語とペルシャ語だったんですが、どちらの言語も、記事にする際は勉強に使っていたCDエクスプレスからの本文丸写しでした。
 暗記できてる課のものだけ、っていう制約は自分に課してましたけどね。
 第一には、記事として見映えするように書くためには、なるべく多くの文章があるべきと思っていたからですが、見ながらの模写でなければちょっと罪の重さが減るかな、なーんて考えてたんすよね。
 今思うとスゴイな・・・なんで俺あんなに沢山の文、それも外国語のものを暗記できたんだか。
 登場した単語を挙げるだけなら著作権もへったくれもないでしょうが・・・単語だけ挙げてどうやって記事にすりゃいいんじゃい。
 ま、今回に限って言えば、俺の思う読み方と、ラテン文字に音写された実際の読みの違いを記せられたらいいから、この次のことはいざって時に考えるか。
 以下転写は「ワイリー方式 / CDエクスプレス準拠」。
 ちなみに今更ですが、「ワイリー方式」について、私は本やネットで見た諸要素から独自に理解しつつあるつもりでいるだけで、ちゃんと学んだわけではありません。厳密に言うと、ワイリー方式にまともに則っていない転写もあると思います。

ཁོང་ khong / `khon
もしもし

 ངが後置字であっても声調には影響がありませんが、これは私、パラパラと流し読みした先のページのひとつで偶然、何故この語の声調が下降調であるか学ばされたんですよね。曰く、「呼びかけは下降調」だそうです。あと、ཁོང་は知らない人を相手にする際に言うとのこと。

འདི་ ’di / ´di
これ

 前置字འの影響で、ད​(th)がdになっていることに注意しないとね。

ཁྱེད་རང་ khyed rang / "kyheran
あなた

 はい、早くもこっから読めません。
 後置字ད​は直前の母音を長音化する筈なんですが・・・ཁྱེの母音は短いeですね。
 二音節語の第一音節末にあっては母音の長さに影響を与えない、なんて書いてなかったのにな。

གི་ gi / ki
...の; ...のもの

 これは転写で見る通り、CDエクスプレスにはその読みがkiとあるんですが、何故帯気音でないのか?
 たぶんですが、khyed-rangと接続されてひとつの語の如く扱われているから・・・なんですかねぇ?帯気音は、語中にあっては無気音になりますので。
 ただ、チベット文字は分かち書きされませんが、CDエクスプレスでは、チベット語による文章の下部に書かれているラテン文字による転写は、単語毎にスペースが設けられているのです。
 kyheran-kiとでもすべきなのでは?
 もっと簡単な解決法は、何故帯気音として扱われていないのかについて注釈を書いておくことですがね。
 また、声調の指示がありません。無声調の語があるなんて、声調の項に一言も書いてませんでしたが・・・。

མིན་པས་ min pas / ^mänpää
...ではないか

 これも読めないですね。
 後置字ནは直前の母音を長音化するらしいのですが・・・しかもこの語では、iが変質してäになってます。ནにこんな機能があるなんてどっかに書いてましたっけ?

ཨ་ཙི་ a tsi / "a・tsi
あらっ

 これは見たまんま。ただ、転写の「・」については説明がない。
 実は後置字の項で、形容詞など特定の品詞の語幹末に付く接字(པོやབ等)の直前にある後置字によって、その接字の音が変化するということの説明に於いて、本では何度か中黒が使われていました。たとえば、確か後置字ལの項なんかにあったと思います。-ལ་བ་でCä・ra、みたいに。
 なんなんでしょうね。
 音節を分けてるってのは確かでしょうが、では他の語の転写には何故ないのか?って話ですし。
 後々出てくるのかもしれませんが・・・。

ངའི་ nga’i / ´ŋgää
私の(もの)

 これは勉強した通り読めます。

ཡིན་ yin / yin
...である

 これも見たまんま。ただ声調指定はなし。ཡは´yaで、後置字ནは声調に影響がないので、´yinと読んだんですが・・・。

ཐུགས་ཆེ་ thugs che / "tho・chi
ありがとう

 これが一番ヒドい。絶対読めん。
 また出てきた意味不明の中黒、まぁこれはこの際忘れましょう。
 uがoで、eがiってのは一体?
 後置字の後、且つ本文に入る前のページに、「母音は並びによって互いにその音に影響を与え合う」という旨の説明と、その並びと変化前・変化後の母音の例がありましたが、こういうのは載ってなかったですね・・・。
 ちなみに初見でCoCiと読める母音符号は、CོCིです。
 uとo、eとi、それぞれが互いに近似性を持つ母音だってのはわかるんですが・・・本が疑問に答えてくれてるわけではないですね。
 結局、下接字やら後置字やらによる声調の変化だのなんだの学んだのはなんだったのか?と思わざるを得ません。
 まともに読み始めたチベット語による文章がまだ1課の、それも最初の部分だけだから、この先こういった謎の解明に寄与する記述がどこかにある可能性は望めますが、間違いなく、日本人にとってのみならず、世界中の人々にとって取り分け馴染みの浅い字のひとつであるチベット文字、円滑な読みを実現させるために割いたページ数はCDエクスプレスでは他に例を見ないほどこのチベット語では多いですが、これでも足りなかったようですね。
 まだまだ地獄は続く・・・。

2011年12月11日日曜日

チベット語学習日記 11頁目

 とりあえずはまとめてみた後置字。
 しかし今回はかなり不格好だと自分でも思う。
 それに、ここ3日をかけてまとめてきた後置字以外のものは、よりコンパクトな説明を試みる前に、一度は記事に書いていたということも、今回初めて記事の主たる話題にする後置字(一度、他の字のことを前面にして書いた際に、ちょっとだけ言及したことがあったと思う)とは異なる点だ。
 故に、記事向けに見映えのする体裁を、初めて書くものとして、また、ノートに書いた通りでなく、その内容をここで編集する過程で更に小さくまとめるべく、大分苦心する羽目になりそうだ。
 せめて、Web上入力システムに頼らずしてチベット文字が打てたら大分楽になるだろうなあ・・・。

I - ག
①+ག་ / གས་(A / Bいずれも^~`): 黙字; 直前の母音を長音化; iかeの後では稀に有音
Caa, Cii / Cik, Cee / Cek
※直上の説明に完全に沿うものは、凡例としてのCaaを除きラテン文字で表現しない。ここではCuu, Cooを省略。以下同。

②二音節語に於いて: 第一音節末で有音; 第二音節末で直前の母音を長音化
第一音節´~"Caa / Cak + 第二音節^~`Caa

③+後置字+接字
3-1. [形容詞 / 名詞語幹-ག་ / གས་]+接字པོ་: 接字の子音及びこれに含まれる母音が変化する
´~"Cako, Ciku, Cuku, Cekpo
※この項では、①と違い、直上の説明に沿うものをラテン文字で表現し、更に変化部分を下線で強調。ここで省略されているのはCoko。
また、後置字が有音となっているわけではなく、あくまでも接字の音がpからkになっているものであるとのこと。
Cekpoについてはこの表記以上の説明がなかったが、後置字と接字の子音自体が共に有音化しているものと思われる。
3-2. [形容詞比較級 / 動名詞語幹-ག་ / གས་]+接字པ
´~"Caka, Cekpa

II - ང
①+ང་(´~") / ངས་(^~`): 黙字; 直前の母音を鼻音化; iの後ではŋ
Can, Ciŋ

②二音節語に於いて: 第一音節末で直前の母音を鼻音化或いは有音; 第二音節末で直前の母音を鼻音化
Can / Caŋ + Can

③+後置字+接字
3-1. [形容詞 / 名詞語幹-ང་ / ངས་]+接字པོ་
´~"Caŋko, Ciŋku, Cuŋku, Coŋko / Coŋpo
3-2. [名詞語幹-ང་]+接字བ
´~"Caŋa
3-3. [形容詞比較級 / 動名詞語幹-ང་ / ངས་]+接字བ་
=3-2.

III - བ
①+བ་ / བས་(A / Bいずれも^~`): 有音; 一音節の動詞語幹末で直前の母音を長音化
Cap; Caa

②二音節語に於いて: いずれの音節でも有音だが、両者共に有している場合は、第二音節末で黙字且つ直前の母音を長音化
´~"Cap + ^~`Cap (Caa)

③+後置字+接字
3-1. [形容詞 / 名詞語幹-བ་ / བས་]+接字པོ་
´~"Capu, Cipu, Cupu
3-2. [形容詞比較級 / 動名詞語幹-བ་ / བས་]+接字པ
´~"Capa

IV - མ
+མ་(´~") / མས་(^~`): 有音
Cam

②二音節語に於いて: =①

V - འ
①+འ་: 黙字; 直前の文字が基字であることを示す
※この働きが具体的にどういう効果をもたらすのかは、この説明だけでは不明。

VI - ར
①+ར་(´~"): 黙字; 直前の母音を長音化; 語によって有音
Caa; Car

②ར་が助詞である場合: 直前の母音を変え、且つ長音化
Caa, Cii > Cää, Cuu > Coo

③+後置字+接字
[形容詞比較級 / 動名詞語幹+ར་]+接字བ
Cara

VII - ད + VIII - ས
①+ད་またはས་(^~`): 黙字; 直前の母音を変え、且つ長音化
Cää, Cüü, Cöö
※iとeは長くなるだけで変質はしない。

②二音節語に於いて: =①

IX - ན
①+ན་(´~"): 有音で、且つ=VII(声調の下降化と黙字であること以外)
Cään

X - ལ
①+ལ་(´~"): =VII(声調の下降化以外)

+後置字+接字
[形容詞比較級 / 動名詞語幹-ལ་]+接字བ་
Cära, Cira, Cüra, Cera, Cöra

XI - འི
①+助詞འི: =X

 こんなところです。
 いやー長くなりましたね。書き始めてからそろそろ1時間半経ちます。
 幾つかの後置字に「二音節語に於いて」の説明がありませんが、これは本にもなく、俺は「=一音節語に於いて」だと解釈してます。
 「これらの後置字を含む語が二音節語を形成することはない」とも解釈できますが、それだとそう書いてるんじゃないかな・・・。
 ノートに書いたものよりはすっきりしました。
 その数故に仕方ないのかもしれませんが、それでももうちょっとコンパクトにならんかなと思いますね。
 たとえば再後置字ས་は付くものが限られており、また、上にある通り、一音節語に含まれ、特定の語幹末にཔོだのབだのといった接字を従えない限りは声調を必ず下降調にするので、これを先んじて説明しておいて、実際に後置字を示して説明する段では省いておく、とかね。

2011年12月10日土曜日

チベット語学習日記 10頁目

 バイトの帰りしに、カメラを空に向けてじっとしているオッサンを2人見た。
 見かけたのがひとりだけだったら、その行動にはその人特有の理由があるのだろうと思っていたかもしれないが、2人だったし、偶然じゃないなと思った。
 さっきネットでフラフラしてて知ったんだけど、今日、日本全国で皆既月食が見られるんだってね。それでかー。
 寒い中ご苦労なこってす。
 そう!昨日の夜から突然、寒さの度合いが猛烈に増した。
 日付変わって1時頃に布団に入ったんだけど、一向に中が温まんないの。
 いつになったら眠れるんだと恐怖すら覚えたね。
 とまあ、久々にそんな与太話。
 今は後置字まとめてます。
 前置字が一応まとまったので、今日はそれについて書くよ。

前置字གおよびབ
+第三列=無気化
+第四列=声調①

前置字ད​
+第三列བ、བྱ、བྲ="wa(または"o)、"ya、"ra、+第三列これら以外=無気化
+第四列=声調①
 
前置字མおよびའ
+第三列( ླとの有足字以外)=g, dr, j, d, b, dz
+第四列=声調①

 どーでしょ。
 なんか「+P段=C段」みたいなスターがいないからか、地味すぎていまいち成功した実感がないんだけど、コンパクトっちゃあコンパクトだし、これ以上に小さくはならない気がする。
 本でもམとའは同じ機能を持つものとしてひとまとめに紹介されてるんだけど、གとབの項は別々だね。
 何故って、それぞれ付加の対象になる字が違うから。
 しかしここではそんなものでもよくて、「要するに、どうなるんだ?」ってのがキモなんですね。
 たとえば「གとདとབに付いて云々・・・」って文字をいちいち挙げていくより、「第三列(の基字、或いは有頭字や有足字)」の一言で機能についての説明が遥かに簡潔に済む。
 そしてこんな説明が適うのは、相手が前置字だからこそなのだ。
 説明が簡素化できる条件が揃っているから、それを利用している。ただそれだけ。
 前置字という分類をされる字すべてに共通の特徴として、第一列と第二列になんの影響も及ぼさないというものがある。そして、第三列、第四列に影響を及ぼす。
 上接字は、第一列に影響を持たない。第二列にはそもそも付かない。そして前置字と同じく、第三列、第四列との結合に気をつけねばならない。
 文字毎という最小単位にではなく、「列」という大きな単位に対しての機能がわかっていると、影響を及ぼさない対象の暗記を文字毎にする必要がないということに気がつける。
 努力をすること自体は輝かしいが、ムダをムダと見抜けないのは哀しい。

2011年12月9日金曜日

チベット語学習日記 9頁目

 ちょっと下接字から覚え直してます。
 後置字相手にガムバってたんだけど、ふと、「前やったこと、知らん間に忘れそうだから、軽くででも改めて勉強し直してみるか」とページを遡った。
 するとアラ不思議、これまでの覚え方の何が悪かったのか更に効率のよい覚え方を編み出そうと思いついてしまい、下接字、上接字、前置字についての情報を、今日は一日中整理してました。
 また、こうやって「どうやったらうまく頭に収まってくれるかな~」と考えながら、ひたすらノートに方法論を綴ってると、良い結果を出す過程の副産物として、いつの間にか覚えたいものについての印象が濃くなっていくんですよね。
 まぁそんな「慣れ」の喜びについてはともかく、これ以上コンパクトになるかな?ってくらい折りたたまれた説明を見よ。

下接字 ྱ: +P段=C段; +その他=Cy
下接字 ྲ: +ཧ=hr; +ས=不変あるいはtr; +K段、P段、T段=tr
下接字 ླ: +ཟ=d; +その他="la

 どーでしょう。
 下接字が追加されることによる声調や気音への影響については、表記がなければ何もないということです。
 唯一、"laのみが声調の高さと母音を伴って書かれていますね。
 特に「+P段=C段」という説明が気に入っています。これ以上に簡潔な言い方もないでしょう、たぶん。
 P段以外への影響は、見ての通り「+その他=Cy」としか書かれておらず、これだとどの基字に付記されるものかはわかりませんが、別に気にしなくていいのです。「Cy」が意味することさえ理解していれば。
 基字をちゃんと示すと、「その他」に相当するものは、K段の鼻音以外と、ཧです。音はそれぞれ"kya、"kyha、’kyha、"hyaになります。ね、「Cy」でしょう?
 下接字 ྲの段にある、「=tr」も、ちょっとコンパクト過ぎているかもしれません。たとえばK~T段第二、第三列はすべて有気音ですが、「tr」としか書かれていなかったら、あたかも無気音に変わってしまうと意味しているかのように受け取られるかもしれない。
 しかし気音に対する影響について特記されていないので、影響はないということです。
 たとえばK段第一列のཀ("ka)がཀྲに変化することが、「=tr」の一言のみで示されていれば、有足字となる前の基字の段階での声調と、無気音であるか有気音であるかという特徴は不変であることを意味しているのです。
 K段第三列のག(’kha)は、声調は’で、有気音であるから、下接字がついてགྲになれば、特徴をそのまま受け継いでその音は’trhaに他ならないと。
 どーですかね?
 ・・・ま、こうやって結局このコンパクトな説明が誤解を招かないよう、「説明に対する説明」を入れなければならないのであれば努力の甲斐もあったのかなかったのかよくわかんなくなっちゃいますがね。
 少なくとも、基字が示す音はすべて暗記していることが、このコンパクトな説明を理解する上での前提にはなってますね。

上接字ར、ས: +第三列=無気化; +第四列=声調①
上接字ལ: +ཧ=hl; +第三列ག、བ=無気化、
+第三列ཇ、ད=j、d(語中に於いて直前の音を鼻音化); +第四列=声調①

 この上接字について説明がコンパクトになった点は、ར、སの機能が同一であることを理由に、この2つを同じ段で表していること。
 声調①ってのは俺の解釈の仕方で、以前書きましたが、チベット語ラサ方言の声調の数は4つで、本で紹介されている順に、"、`、’、^なのです。つまり、①="。
 敢えて説明不足である点を探すなら、「声調①」じゃなくて、「声調①」にすべきかな、ってことくらいですかね。
 上接字は第二列には付かず、三と四以外では第一列にも付きますが、影響が皆無なのでもう説明に含めるのはやめました。初めて上接字を記事にした際には、ちゃんと「第一列についても影響なし」みたいなことを書いてましたよね。
 つまりは、これらの字が付くことによって、音や声調等が変化する基字のみに言及しているわけなんですよ。
 じゃあ「 ྲ+སは?」という疑問も生じるでしょうが、これは「不変“または”tr」なので、必要なんじゃないかなと。
 あと、下接字は、上接字や前置字と違い、「 ྲ+ས=tr」になることも考慮すれば、付加の対象になる基字すべての音に影響を齎すと言えるので、コンパクトさを意識しつつも、「すべての基字になんらかの影響がある」点を強調するために、すべての変化を表記するのもアリかなと、こう思うわけです。
 上接字の説明でひとつ気になるのは、やっぱり「+第三列ཇ、ད=j、d(語中に於いて直前の音を鼻音化)」のくだりですね。普通なら特に長くもない説明ですが・・・この中にあっては長いです。
 下接字 ླと結びついたཟ、即ちཟླ(’da)や、前置字མ(’ma)(およびའ)が語中にある場合、直前の音を鼻音化するので、「軽い鼻音を含む字の語中の働き」を「基礎知識」として覚えなければいけないと考えれば、こういう説明は不要になるのですが・・・。つーか、下接字 ླのとこでཟླにはこの機能、書き忘れてるなw
 まぁ、とにかくこんな感じで、一旦学んだことに再度取り組んでいる最中です。
 「最良」がわかんないから、たのしーんだこれが。
 上でも言ったけど、「( ྱ)+P段=C段」はキマったね。美しい。
 ま、説明の仕方は、記号が追加されて変化する基字の音によりけりだから、上で挙げたものの中には、「+P段=C段」以外にも、既にこれ以上コンパクトにしようがないものがあるかもしれない。
 後置字がこんな感じで説明できるようになったら、いよいよ本編・・・別の言い方をすれば、この程度まで手玉に取れるようになれないと、単語を読む度、目にした付加記号の機能について頭を回転させて、音を再現するだけで精一杯ってことになりかねん・・・というか、もう第一課は読み始めたって言ったけど、実際そうなっちゃったんだよねw
 ありゃーストレスだぜ。うん。
 そういうわけで「記号説明コンパクト化」の旅は続く・・・。

2011年12月8日木曜日

チベット語学習日記 8頁目

 今日は、ノートに書いたことをここに転写してみます。
 いやー、別に今まででもそうすることで勉強の成果を記事にしてりゃよかったんだけど、その日勉強したことを思い返して、ソラでここに書いていく方が本当に頭の中に入ったかどうかの確認になっていいかなって。別に苦でもなかったしね。
 ただまあ、後置字が相変わらずちゃんと覚えられてないので、昨日と同じくちょっと書いて終わりになっちゃいそうなんでね。
 昨日言及した、いずれ確立させるべき日記の体裁を決定するに至るまでに、検討すべき試みのひとつってことで、今日はやってみましょうかね。

後置字10-1: ག་ / 再後置字を伴う: གས་
 1. 黙字だが、IかEの後にある場合は稀に有音。
 2. 直前の母音を長くし、声調を下降調にする。
 3. 二音節語に於いては、第一音節では時に有音、第二音節では無音で、且つ、2.の機能がある。
 4. 語幹がག་ / གས་で終わり、接字པོかཔ​を持つ一部の語は、その接辞の音が変化する:
  ○形容詞、名詞の場合
   -ག་པོ་: ´~"Cako; Ciku; Cuku; Cekpo; Coko
   ※後置字の直前の母音が何であるかによって、接辞が含んでいる母音が変化している。
   ※また、音にKを含むので、あたかもགが有音になっているかのようだが、あくまでもPの音が変質したものらしい。以下に出てくる他の接辞も同じく。
   ※ラテン文字の直前にある’や"などは声調を示しています。「~」は「または」という意味で本で用いられているものを踏襲しています。
    "はノートでは単なる小さな横線(「高く平ら」な声調を示す)ですが、文字抜きで上部に線を表示させる方法がないので、代替としてこれを使っています。
  ○形容詞比較級、動名詞の場合
   -ག་པ་: ’~"Caka; Cika; Cuka; Cekpa; Ceka

後置字10-2: ང་ / ངས་
 1. 黙字だが、直前の母音を鼻音化させる。また、Iのあとでは有音(=/iŋ/)。
 2. 声調には影響を及ぼさないが、再後置字が付くと下降調になる。
   -ང་: ´~"Can / -ངས་: ^~`Can
 3. 二音節語に於いては、第一音節では時に有音かそうでない場合は直前の母音を鼻音化、第二音節では無音で、且つ、1.と同じ機能を持つ。Iも鼻音化する。
 4. 語幹がང་ / ངས་で終わり、接字པོを持つ一部の語は、その接辞の音が変化する:
  ○形容詞の場合
    -ང་པོ་: ’~"Caŋko; Ciŋku; Cuŋko; -○ོང་པོ་: Coŋko / Coŋpo
    ※Eを含む例が本では挙げられていないが、そういう語はないということなのだろうか?なんの説明もない。
     また、「ŋ」は本では「ドットのついたn(=ṅ)」だけど、これをタイプできるキーボードを知らないので、サーミ語キーボードで打てる、同じ音を示すŋを代替として使ってます。
  ○名詞の場合
    -ང་བ་: ’~"Caŋa; 以下略
  ○形容詞比較級、動名詞の場合
    -ང་བ་: ’~"Caŋa; 以下略

 あああ!しんどい!!
 このやり方はしんどい。
 写すだけ、なのにタイヘンなんだな。
 厳密には写す「だけ」ではなく、記事向けに内容や体裁を読みやすいように整理しつつ、だから、神経遣う遣う。
 いやー、そういや古典ギリシャ語ここに写したときも挫けそうになったな~・・・。
 ホントはまだノートには書いてあるんだけど、ダメだ、やってらんね。
 このやり方はナシだな・・・。
 やっぱ当面はソラで勉強内容を綴ることになるかな・・・。

2011年12月7日水曜日

チベット語学習日記 7頁目

 これスゲェー!!めっちゃ欲しい
 ワコムって会社の、Inklingという製品。
 これはまさに今の俺に打ってつけ!
 っちゅーのも、言語学習日記やってるのはいいんだけど、この試みを「日記」と名付けているのにもかかわらず、書いてることは日毎の成果についてじゃないんだよね・・・。
 単に学習し終えたことを振り返っているだけ。
 たとえば昨日の6頁目の内容について言えば、「第1課読み始めました」んなら、読了しておらずともどこまで読んだかなどを、「日記」であるなら書くべきだったでしょうね。
 以前、日毎にノートに書いた古典ギリシャ語を新たな記事の中にそっくり写す(明らかな誤字は訂正していたし、ある文章が形をそのままに繰り返し登場していた場合は一番最初のものだけを選んでいたりしてはいたが)ということをしていたが、「日記」っちゅーんなら、ああいうものの方がそれらしいよね。
 でもネェ、古典ギリシャ語と違って、チベット語がタイプできるキーボードがない以上は、今やっているように、たとえばLexilogosのWeb上キーボードに頼ったりと、ノートの内容を再現するにはかなり入力が面倒臭いんだよね・・・。
 上接字や前置字やなんかについて書いたときは、主に概要をその記述の軸として扱っていましたが、実際、ノートには色々書いてますよ。チベット語も日本語も。
 しかしこのInklingがあれば・・・。
 価格は約15,000で、どうにも手出しできないレベルではない。
 俺は「電気で絵を描く」ことにどうしても抵抗があるので、紙で描いたままをPC上に再現できるのなら、夢のような、という形容がこれ以上に相応しい道具はない。
 ま、スキャナでもいいっちゃいいんだけどね。まだるっこしいじゃん、取り込みだのなんだの。紙面のゴミもスキャンしちゃうしさ。
 ケータイで画像を撮って、それを元に復習&理解力が身についてきているかどうかの確認のための解説をする、ってのもいいんだけどさ・・・PCのメールアドレスに送ると当たり前だけど転送料かかるしね・・・。
 日記は続けていく気マンマンなんだけど、体裁については早めになんとかしたいですね、ホント。
 で、今日のチベット語学習日記なんですが、まだ後置字をやっとる最中なのでまとめられず、故に書けません。
 昨日挙げた10個の後置字はやはり足りてなくて、あとひとつ、འを忘れておりました。まったくの黙字であるのみならず、直前の母音に与える影響も皆無な、空気のような後置字ですが、忘れていたことに違いはない。
 というわけで、後置字は、再後置字含めて12個(厳密には、འིは助詞だが、置かれる位置から後置字と同等に見なされる)。
 ちなみに俺は、K、T、P段それぞれの第三列の基字(ག、ད、བ)とそれぞれの段の鼻音(ང、ན、མ)、流音(རとལ)、あとはསとའとའིという風に覚えました。
 後置字を学んでいる最中だと上で書きましたが、中にはその機能を完全に暗記できたものもあります。
 たとえばར。
 「一音節語、二音節語のどちらに於いても黙字で、直前の母音を長くする。声調には影響なし。助詞として用いられる際には、直前の母音がiならääに、uならooに変える(表記としては、○ི་ར་と○ུ་ར་)」。
 これが、後置字としてのརの機能です。
 ゆっくり、且つ、複数の後置字間で共有している特徴を常に意識しながら覚えていくと、案外頭の中に留まってくれるものですね。
 ここにまとめを書くには、少なくともあと1回は後置字すべての復習が必要です。
 マァ、もしかしたら日記の新たな体裁が決まって、現行の方法で後置字について綴ることはもうない可能性もなきにしもあらずですが。
 うーん、「今回は学習日記書けません」と上記しましたが、「覚えたこともあるよ!」という小さなことでも一応、学習の記録としてはれっきとした価値があるかも?
 とりあえず、今回も「言語学習日記が書けた」ってことにしときますか。

2011年12月6日火曜日

チベット語学習日記 6頁目

 6頁目・・・なのですが、今回は名ばかり。
 というのも、後置字がなかなか覚えられない。
 マァ、その数が多いことと、各後置字間で共通の機能も少ない(=各字毎に初出の要素がある)ことなどが災いして、よし全部覚えてやろうと己を発奮させ取り組んでないことが原因なんですけどね。
 当分お目にかかることのない文法的事項に関連する発音の変化などは無視すれば、大分紙面をすっきりと見渡せることができるようになるのかもしれないが、実際目には入ってくるわけで。
 もういっそ、本編に入り、多数文章を読んでいる内に身につくことを期待して、説明をまともに読むのは諦めようかとも思った。実際既に第1課を読み始めた。
 が、後置字に関して知らないまま、後置字の影響によって変化したと思しき音を目にすると、「どうしてこうなっているんだろう?」と思わずにはいられないことに気づいた。
 なので、仕 方 な く 後置字についてのページに己の歩を戻すことにしました。
 後置字は全部で・・・えーっと・・・。
 K段のག​(g)、ང(ng); T段のད(d)、ན(n); P段のབ(b)、མ(m); あとར(r)、ལ(l)、ས(s)、འི('i)・・・は確実にあったはずなので、10個・・・かなぁ?まだなんかあったかも・・・。
 また、再後置字というものもあり、これはསの1個だけ。
 一応、完全に頭に入れられてないながらも、読まずして第1課へ進んだわけではなく、全文章に目は通したので、各後置字の機能について、断片的には覚えている。
 こうした情報を総合すると、

 ①後置字の直前にある母音に影響を与えることが多い
 ②後置字が持つ子音は発音されないことが多い
 ③後置字直前の声調に影響を与える
 ④ある語尾で終わる特定の品詞の、その語尾の音に影響を与える
 ⑤ある後置字が、一音節語に与える影響と二音節語に対するそれとでは、少々異なる点がある

 といった特徴が見受けられます。
 あとは、文字と実例を以ってこれらを解説することができるようになれば万々歳なのですが・・・そこへ至るにはまだまだ頁を必要とするみたいですね。

2011年12月5日月曜日

チベット語学習日記 5頁目

 今は後置字やってます。
 ・・・が、前置字に関する一切を覚えたからページを進めたというわけではないんです・・・。
  ྭと ྰを除くすべての下接字は、これが付いた基字すべての音を変えますが、上接字と前置字は、主に無気化と声調の変化を担うのです。
 そして、ལを除くすべての上接字とすべての前置字が影響を及ぼす基字は、そのどれもが第三列と第四列に属するものであり、その効果は、「第三列を無気化、第四列の鼻音の声調を高くする」です。
 そしてこれは前置字も有しているものなのです。
 第一列に付加されないというわけではないのですが、影響が何もないのです。
 たとえばལ(lá)と、K段第一列のཀ(kā)が結合すると、ལྐという字形が形成されますが、音は「kā」のままです。
 故に、基字の一覧を順序通りに暗記しておけば、初学者であっても、すべての付加記号と基字の結合パターンを覚えておかなくても読解に事足りるのです。
 CDエクスプレスでは、一覧表という形で、これら上接字などが結合する基字をすべて載せていますが、概要を説明すると、上述の通り、簡単に済んでしまうものなのです。
 俺は何が何でも楽をしたがる性格なので、一覧表なんて掲載されても、ハナからその内容を逐一頭の中に収める気にはなりません。謙虚に取り組むべき、初めて見たものであったとしてもです。
 なので、勉強をしながら、まだチベット「語」どころかその「文字」にすら慣れていない段階から、ひたすら覚えやすい方法を模索してました。
 何度基字の一覧表を書き、付加記号らと組み合わせ、概要を自身に説明するための記述を繰り返したことか・・・。
 しかしその甲斐はありました。
 「急いては事を仕損じる」、「急がば回れ」と言った言葉、私は非常に好きですし、人生の指針として、これらが示す物事に対する考え方は生涯人生の指針としたく思いますが、明らかに損はもたらさないとわかる近道を利用しない手もないとも思います。
 前置字は全部で5つありますが、初学者のである間、注意を払ってその解読に臨まなければならないものは、ད、མ、འです。
 残りの2つはགとབですが、両者はまったく同一の働きを持っています。
 且つ、མ、འの働きもまったく同じです。
 なので、特別視の対象となるのは、実質2つです。視覚的な分け方をすれば、「ད、མ=འ」となるでしょうか。

前置字5-1: ག(khá)
第三列を無気化、第四列の鼻音の声調を高くする。

前置字5-2: བ(phá)
同上。

前置字5-3: ད(thá)
同上。
加えて、བ​(phá)をwāに、བྱ(chá)をyāに、བྲ(trhá)をrāにする。

前置字5-4及び-5: མ(má)及びའ(á)
第三列を無気化、第四列の鼻音の声調を高くする。
加えて、གをgáに、ཇ(chá)をjáに、དをdáに、བをbáに、ཛ(tshá)をdzáにする。

 5-2: བが結合の対象にしている基字ならびに、有頭(上接字を頂く基字)・有足字(下接字に乗る基字)は特に多く、一見しただけで暗記する気が削がれるほどです。
 しかしなんのことはない、第一列についても影響は皆無、第二列にはつかない(これは上接字と前置字の特徴でもある)、第三列につけば無気化、第四列につけば鼻音の声調を高くする、効果についてこの概要さえ覚えておけば問題にならない。
 勿論、この理論を以って学習を進める初学者と、一覧表をしっかり丸暗記した初学者とでは、字を読む速度はおそらく後者の方が優れているでしょう。視認して即座に字の読みがわかる者相手では、頭の回転を要する理詰めの読解は分が悪い。
 しかしこれもひとつの方法ですし、俺なりに、「楽をしつつ理解を浅いままにしない勉強法」を模索したつもりです。
 ちなみに、冒頭の「 ྭと ྰを除くすべての下接字」というくだりで、実は下接字として「 ྰ」をチベット語学習日記に初めて登場させています。
 下接字について書いたときは、すっかりその存在を忘れていました。
 というのも、本曰く、専ら外来語の音写に用いられる下接字だそうで、説明も2行の文章のみで、これが付いた基字の視覚的な例なども未登場です。
 一度そんな存在感の薄い説明文を読んだだけじゃ、そりゃ記憶には残り難いよ・・・。
  ྭとは違って基字になんの影響ももたらさないわけではなく、「母音を長くする」働きがあるそうなので、本来的な現代チベット語の言葉にとってはほぼ不要であるとしても、一応言及はしておくべきだったでしょうね。
 そうそう、当サイトに於いて、ラテン文字に転写したチベット語の代表例のようになっている「bod skad」、これの表記に用いられている「ワイリー方式」ですが、LexilogosのWeb上キーボードに併記されているラテン文字は、どうもこの方式に則ったもののようですね。
 なので、記事を書く際チベット語の入力に利用している内に、徐々にではありますが、ワイリー方式で用いられるラテン文字を記憶し出しています。
 今は、何故「bod skad」が「^phöökää」なのかがわかるようになりました。
 まず、「^phöökää」の本来の綴りは、བོད་སྐད་です。
 「^phöökää」は音写、「bod skad」は転写なので、両者の見た目にこれだけ大きな違いがあるわけですね。
 བོད་སྐད་を「phöökää」の表記の根拠になっている方式で転写すると、「photh skath」になります。
 後置字དは直前の母音を変化させ、且つ長くする働きがあるので、oはö(/ø/)になります。
 སྐという結合字に於いて、上接字ས(sā)はなんら基字ཀの音に影響を及ぼさないので、音写「phöökää」に於いては「s」が影も形もないわけです。
 そして「skath」の「a」は、「photh」の「o」と同じく、後置字དに影響され、ä(/ɛ/)に変わっていると。
 特殊記号がまったく不要の、ごくごく基本的なラテン文字のみを以ってして、世にも奇妙な綴りを創りだす「ワイリー方式」、これを理解したくてたまりませんでした。
 しかし、こうして淡々と置換を繰り返してゆくと、方式の構造の単純さに気付かされます。
 というわけで、適当にチベット文字による言葉を拾ってきて、自力でワイリー方式を用いてラテン文字に置き換えてみた言葉をここに挙げます。これは記憶していないので、ノートを見ながら書きます。

འདི་ཁྱེད་རང་གི་མིན་པས།
 W: 'di khyedrang gi minpas
 C: ディ ケラン      キ メンベー
 ※W=ワイリー方式、C=CDエクスプレス準拠。
 Cはワイリー方式による転写と実際の音との乖離を強調する為、敢えて仮名表記を採用しています。
 また、Wの表記は、Cの表記の単語毎の分離に合わせています。本来は、たとえば「khyedrang」なら「khyed rang」になります。

དབུས་གཙང་སྐད་
 W: dbus gatsang skad
 C: ユー  カヅァン  ゲー

བསྒྲིགས
 W: bsgrikhs
 C: ティー

ཁྱེད་རང་ཕྱི་རྒྱལ་ནས་ཡིན་པས།
 W: khyedrang phyirgyal nas yinpas
 C: ケラン     チギェー    ネー インベー

རྫོང་ཁ་
 W: rdzongkha
 C: ツォンカ

 ・・・こんな具合です。すさまじいですね・・・特に「dbus=ユー(üü)」、そして「bsgrikhs=ティー(trii)」は、自分で書いたのに身震いするかのような奇妙さ!
 正直、ワイリー方式に面白さを感じるのは、チベット語の勉強の本質とはあまり関係がないような気もするんですが、「phöökää方式」とは違い、チベット語を基本的なラテン文字のみで記すことができるというのは非常に有用なので、これからはチベット語にラテン文字を併記するときは、ワイリー方式に則った表記法で綴っていきたいと思います。

2011年12月4日日曜日

チベット語学習日記 4頁目

 ハイ、では昨日の続きで上接字
 ・・・といきたいところなんですが、「暗記した」と言っても、実は暗記できたのは付加にあたってのその働きであって、どの基字に付くかってのはちゃんとは覚えてないんですよねぇ。
 というのも、基字に与える影響が、3つあるものすべてがどれもほぼ同じなんです。
 なので、上接字にはどんなものがあるか、上接字の最大の特徴は何か、を覚えておけば、ある3つの基字との組み合わせ以外については別段神経質になることはないんです。

上接字3-1: ར(rá)
概要-付加の対象となった、འ(á)とཤ(shā)を除く第三列の基字を無気化する。
また、第四列鼻音の声調を高くする。

上接字3-2: ལ(lá)
概要-付加の対象となった、འ(á)とཤ(shā)を除く第三列の基字を無気化し、
(chá)とལྗを形成し音をjáに、(thá)とལྡを形成し音をdáにする。
また、(hā)とལྷを形成し音をhlāにする。
また、第四列鼻音の声調を高くする。

上接字3-3: ས(sā)
概要-付加の対象となった、འ(á)とཤ(shā)を除く第三列の基字を無気化する。
また、第四列鼻音の声調を高くする。

 ・・・という具合です。
 見ての通り、རとསに関しては内容がまったく同じで、ལのそれは他2つと同一ではないものの、同じ特徴を含んではいます。
 上接字は第一列の基字にも付くんですが、その音にも声調にも一切影響を及ぼさず、上記の通り、第三、四列の基字が頂いていると認めたときにだけその読みに気を付ければ事足りるわけです。
 今は前置字をやっていますが、これも第三、四列の基字にばかり影響を与える要素ですね。

2011年12月3日土曜日

チベット語学習日記 3頁目

 基字+下接字 / 上接字の暗記が一旦完了。
 下接字は4つ、上接字は3つあります。
 ちゃんと覚え切れてるかな?
 まずは下接字のまとめ!

下接字4-1:  ྱ(下接字としてのཡ(ya))
概要-下接字 ྱは8つの基字に付き、これが付与された基字はすべてその音を変える。声調は不変。

K段第一、二、三列
ཀྱ ཁྱ གྱ
(k­­ā > kyā, khā > kyhā, khá > kyhá)
P段全列
པྱ ཕྱ བྱ མྱ 
(pā > cā, phā > chā, phá > chá, má > ñá)
第一列8段目
ཧྱ 
(hā > hyā)

下接字4-2:  ྲ(下接字としてのར(ra))
概要-下接字 ྲは9つの基字に付き、これが付与された基字はすべてその音を変える。声調は不変。

K段第一、二、三列
ཀྲ ཁྲ གྲ 
(kā > trā, khā > trhā, khá > trhá)
P段第一、二、三列
པྲ ཕྲ བྲ 
(pā > trā, phā > trhā, phá > trhá)
T段第三列
དྲ 
(thá > trhá)
第一列8段目
ཧྲ 
(hā > hrā)
第四列7段目
སྲ 
(sā > trā; もしくは不変)

下接字4-3:  ླ(下接字としてのལ(la))
概要-下接字 ླは6つの基字に付き、これが付与された基字はすべてその音を変える。ཟの声調のみ不変。

K段第一、三列
ཀླ གླ 
(kā > lā, khá > lā)
P段第三列
བླ 
(phá > lā)
第一列7段目
རླ 
(rá > lā)
第二列6段目
ཟླ
(sá > dá)
第四列7段目
སླ 
(sā > lā)

下接字4-4:  ྭ
概要-下接字 ྭは、これが付与されるいずれの基字の音になんの変化ももたらさない。声調も不変。
なのでなんの基字に付くのか、これだけは端からまともに覚えてない。
音に影響を及ぼさないので、どの基字がこの下接字として働いているのかもわからない。

2011年12月2日金曜日

チベット語学習日記 2頁目

 基字をすべて覚えました!
 基字ってのは、所謂アルファベットです。
 デーヴァナーガリーと同じく、発音の際の舌の位置と有気 / 無気を基準にその並びが決められており、サンスクリットを通してデーヴァナーガリーのシステムを既に学んでいた俺にとっては、とりあえずその順序に対する理解には苦労しませんでした。
 文字自体を覚えるのには結構手こずったけどね。

ཀ ཁ ག ང
ཅ ཆ ཇ ཉ
ཏ ཐ ད ན
པ ཕ བ མ
ཙ ཚ ཛ ཝ
ཞ ཟ འ ཡ
ར ལ ཤ ས
ཧ ཨ    

 以上、30字。ཨとའ(いずれも/a/)を除いてすべてが子音です。ただ、ཝは/wa/、ཡは/ya/なので、これら2つは半母音と言うべきか。
 文字の入力は結局Lexilogosの力を借りてやっちゃいましたね。文字をちゃんと覚えた後だと思ったよりもまだるっこしくなかったです。やっぱ転写してラテン文字で記すより、こっちの方が勉強の成果が表れてる感じがしていいやね。
 縦の列を左から第一~四と分類し、横の列は、ཞ ཟ འ ཡを境にこれ以上を、仮に、上から、K段、C段、T段、P段、TS段と呼びましょうか。但し、TS段右端は上記の通りཝ /wa/なので、/ts/という音とは無関係です。
 仮名にすると、ガ行、ジャ行、ダ行、バ行、ヅァ行です。無気、無破裂で口に若干緊張がこもるので、発音記号上は/k/だったり/t/だったりするのですが、実際は「ガ」「ダ」というように聞こえます。
 基字単体で示すことはできませんが/g/や/d/に相当するものもチベット語にはあり、弱い「ん」のような音が先に伴われるので、「ガ」「ダ」ではなく、仮名で表現するとすれば「ンガ」「ンダ」というように書くのが、CDエクスプレスに従っての一種のやり方です。
 ただし、 鼻音が並ぶ第四列のK段右端に位置するངも、仮名にするとすれば「ンガ」になります(kingの-ngの音)。
 CDエクスプレスだと、たとえば/g/の仮名転写は「ガ」の直前上方に小さな「ン」が記されています。少なくとも単にキーボードでタイプしてるだけじゃムリだ。印刷物ならではの羨ましい策だ。
 まだ/g/を示すチベット文字による表記の仕方は登場していないのですが、/d/ならひとつ、出てきました。
 ཟླと書くのですが・・・これ、基字ཟと、下接字としてのལの組み合わせです。
 それぞれの音は、/s/と/l/・・・。
 もうこれだけで、ワイリー方式による転写の一例、「bod skad」の音が実際は「^phöökää」である理不尽さの原因が窺えるというものですね。
 たとえば「sla」と書いてあれば読みは/da/である、と解釈してもいいんですよね、これ。デンマーク語なんてメじゃないぜ!
 というわけで、今はこういった下接字、上接字が基字に付与されることによって生じる音の変化を学んでいる最中です。
 これちゃんと習得しないと、文章どころか・・・単語どころか、一文字すら読めませんでしょうね。
 たとえば、ཀྲとཔྲの音はどちらも/trā/です。発音記号は知らないけど、サンスクリット・デーヴァナーガリーのट一字に当たると思います。ちなみに-aの上のマクロンは声調を示しています。
 また、ཁྲ、ཕྲ、གྲ、བྲ、དྲはすべて/trha/です。但し、声調は前2つ(/trh­­ā/)と後3つ(/trhá/)で異なるので、あんまりいい例の取り上げ方ではありませんが。-h-はこれらが有気音であることを示しています。
 そんなわけで、今は謂わば、「き」の右上部に点々がつけば「ぎ」になりますよ、みたいな程度のことを学んでいる最中です。
 他のCDエクスプレスと違い、文字に関する説明が、第1課入るまでに長いこと長いこと。
 第1課入りました!と書けるのは一体何頁目でのことになるやら、てんで想像がつきません。
 一昨日書いたことですが、デーヴァナーガリーと違い、付加記号がついても基字の元の音にまったく影響を及ぼさない場合と、s+lで=daになったりと理屈じゃよくわからない音の変化についてとにかく暗記が必要なものと色々あるので、まだしばらくはこのチベット語の文字システムには煩わされそうです。
 ただ、助かる点というか何と言うか、デーヴァナーガリーと違って、基字に別の文字が追加された際に生じるまったく新たな字形があったりするわけではないので、字を綴ること自体は楽です。
 たとえばデーヴァナーガリーだと、क(母音を含んでいない場合)とषでक्षです。まさに理不尽。しかも合字によっては、PCでタイプしたものと、書籍に掲載されているものとで字形が異なったりするもんだから、一体本当はどう綴ればいいのやらと、サンスクリットを勉強していた頃は混乱したものです・・・。
 今日は日中寝てたりしたので思うように学習が捗ってはいなかったのですが、それでも学習の成果を、チベット文字を以って、本などを再度確認しなおしたりせずすらすらと綴れたことは、ささやか乍ら嬉しいことです。
 チベット語には標準語がないし、この本に書かれていることが、音や綴りなどすべてひっくるめて100%正しいとも限りませんが(誤字とかあるかもしれないしね。ラテン文字転写に関しては、既にひとつ見つけました)、それでも今の私にとってはこの本がチベット語のすべてなので、焦らず、内容を丸暗記するつもりでゆっくりと学習の歩を進めて参りたいと思います。

2011年12月1日木曜日

チベット語学習日記 1頁目

 注文してから入荷されるまで待つこと3日、遂にチベット語の学習書を手に入れました!
 現在ガムバって勉強中です。
 デーヴァナーガリーが元になってるだけあって、文字形成のシステムに対する拒否感はありません。
 ただ、元となったそれとは形がかなり、というかわずかな名残が見られる程度でまったく異なるので、これまでに蓄積した知識は学習にあたってあまり活用できません。
 別に愚痴じゃねーっす。新鮮です。
 既知のことが活かせない際愚痴を言いたくなる条件は、たとえば「land」というデンマーク語、スウェーデン語、ノルウェー語で共通して見られる(意味も同一)言葉がそれぞれの言語で読み方が異なる、といったような場合に生じるもんです。ちなみにda: /lanˀ/、sv: /land/、no: /lan/。ま、この程度ならカワイイもんですが・・・。
 やっぱりというか、やる前からわかってたんですが、声調が俺にとっちゃ非常にやっかいです。
 とは言え、本に用意された順序通り勉強を進めていて、まだ声調と文字しか学んでいないので、声調の違いによって生じる言葉の区別について気をつける場面なんかはまだ出てきてないんデスガ、文章の中にある単語でなく、それのひとつひとつをゆっくりと、それぞれの音の区別をはっきり認識しつつ口にしてる段階でもうイヤんなってきてました。
 あ、ちなみに買った本は白水社のCDエクスプレス チベット語(9784560006368)です。
 チベット語の歴史は浅くないのに未だに標準語がないらしく、この本では「チベットの政治的、文化的中心地」で話されているラサ方言を扱っています。
 ラサ方言の声調は4つで、中国語普通話と同じ。
 相対的な高低の区別の仕方も同言語と同じだと思いますが、その普通話の声調が身につかなかった人間としては、これでも十分習熟には苦心しそうなんですよね・・・。
 なんかどっかのアジアの言語には声調が7つもあるとか?俺ゼッテーそれ話せねーだろな・・・。
 ベトナム語もやったことありますが、俺がやった、確か南部方言だったと思いますが、あれには声調が6つありましたね。文字だけ見て「面白そう」と始めたんで、あれやってるときは全然真面目に声調の習得には努めてませんでしたが・・・あんとき声調だけでも突き詰めて勉強してりゃ、今苦手意識はなかったのかもねぇ。
 あ、そうそう、一例として、チベット文字で「チベット語」を示す言葉が「bod skad」になるという、一見ではさっぱり理解不能な規則が働くチベット語転写方式のひとつ、「ワイリー方式」ですが、この本では採用されていません。残念。
 ま、この転写を目にしてチベット語を楽しむってのは、チベット語自体じゃなく、あくまでもラテン文字によって示される、綴りとそれの音の乖離に魅力を感じてるってことに他ならないんですけどね。
 この本では「bod skad」、もとい、「チベット語」は、ラテン文字では「^phöökää」と書かれています(ちなみに「bod skad」を話題にしたときは、その音はIPA準拠で「ペク・エ」と仮名で書き直しましたが、実際の音は、本に書かれている通り、「プーゲー」って感じです。また、「^phöö」=「チベット」だそうです)。
 ただ、チベット文字を学習している最中であり、ワイリー方式についての知識もまったくない私ですが、何故「^phöökää」が「bod skad」になるのかは、この時点でちょっとわかる気がしているんです、実は。
 このPCにはチベット文字入力キーボードがないってことを、チベット語をやろうと思ってから知ったので、「タイプの練習にもなるぜ」どころかチベット文字を入力することすら適わないわけなのでやや説明し辛いのですが。
 チベット文字は、デーヴァナーガリーと同じく、ある文字の上や下に記号を付与してその読み方を変えます。
 デーヴァナーガリーで表記する際は、ある文字は追加された記号に合わせて必ずその読みが変わりますが(少なくともサンスクリットに於いては。ヒンディー語とかは知りません)、チベット文字、というかチベット語?は、たとえば「ka」はある記号の追加によって「kya」とか「la」に音が変わるのですが、その他のある記号を追加されても「ka」のままである場合もあるのです。
 つまり、たとえば「skad」は、「ka」に変化を及ぼさない、「s」「d」にあたる記号が追加されたことにより、単なる「ka」とはいささかも音が変わらず、/köö/のままなんじゃないかと。
 基本となる文字と追加の記号すべてをラテン文字に転写することにより、綴りとそれの示す実際の音の乖離がひどくなっているんじゃないか?という憶測ですね。
 まぁ、その記号-前置字とか上接字などという名称があります-がそれぞれ「s」だとか「d」だとか解釈できるのかどうかは知りませんけどね。
 それよりも・・・転写の仕方だとか気にする前に、チベット語の主体であるチベット文字の学習自体がまだ始まったばかりですからね。
 まぁとにもかくにも、チベット語の勉強が始まりました。
 チベット文字は、Lexilogosなんかを利用すれば入力できんこともないんですが、まだるっこしさが半端じゃなさそうなので、ここで勉強の成果を記す際にはラテン文字での転写という形にするつもりです・・・今んとこは。
 前ほど毎日記事を長く書く意欲はこれからもしばらくは湧く気配がないのですが、更新が難しい日もこれから毎日勉強する(予定の)チベット語のことは書くつもりです!

 あっ、そういやこれ200番目の記事なのか・・・チベット語の勉強を始めたことを書くに相応しいですね。

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