2011年12月3日土曜日

チベット語学習日記 3頁目

 基字+下接字 / 上接字の暗記が一旦完了。
 下接字は4つ、上接字は3つあります。
 ちゃんと覚え切れてるかな?
 まずは下接字のまとめ!

下接字4-1:  ྱ(下接字としてのཡ(ya))
概要-下接字 ྱは8つの基字に付き、これが付与された基字はすべてその音を変える。声調は不変。

K段第一、二、三列
ཀྱ ཁྱ གྱ
(k­­ā > kyā, khā > kyhā, khá > kyhá)
P段全列
པྱ ཕྱ བྱ མྱ 
(pā > cā, phā > chā, phá > chá, má > ñá)
第一列8段目
ཧྱ 
(hā > hyā)

下接字4-2:  ྲ(下接字としてのར(ra))
概要-下接字 ྲは9つの基字に付き、これが付与された基字はすべてその音を変える。声調は不変。

K段第一、二、三列
ཀྲ ཁྲ གྲ 
(kā > trā, khā > trhā, khá > trhá)
P段第一、二、三列
པྲ ཕྲ བྲ 
(pā > trā, phā > trhā, phá > trhá)
T段第三列
དྲ 
(thá > trhá)
第一列8段目
ཧྲ 
(hā > hrā)
第四列7段目
སྲ 
(sā > trā; もしくは不変)

下接字4-3:  ླ(下接字としてのལ(la))
概要-下接字 ླは6つの基字に付き、これが付与された基字はすべてその音を変える。ཟの声調のみ不変。

K段第一、三列
ཀླ གླ 
(kā > lā, khá > lā)
P段第三列
བླ 
(phá > lā)
第一列7段目
རླ 
(rá > lā)
第二列6段目
ཟླ
(sá > dá)
第四列7段目
སླ 
(sā > lā)

下接字4-4:  ྭ
概要-下接字 ྭは、これが付与されるいずれの基字の音になんの変化ももたらさない。声調も不変。
なのでなんの基字に付くのか、これだけは端からまともに覚えてない。
音に影響を及ぼさないので、どの基字がこの下接字として働いているのかもわからない。

2011年12月2日金曜日

チベット語学習日記 2頁目

 基字をすべて覚えました!
 基字ってのは、所謂アルファベットです。
 デーヴァナーガリーと同じく、発音の際の舌の位置と有気 / 無気を基準にその並びが決められており、サンスクリットを通してデーヴァナーガリーのシステムを既に学んでいた俺にとっては、とりあえずその順序に対する理解には苦労しませんでした。
 文字自体を覚えるのには結構手こずったけどね。

ཀ ཁ ག ང
ཅ ཆ ཇ ཉ
ཏ ཐ ད ན
པ ཕ བ མ
ཙ ཚ ཛ ཝ
ཞ ཟ འ ཡ
ར ལ ཤ ས
ཧ ཨ    

 以上、30字。ཨとའ(いずれも/a/)を除いてすべてが子音です。ただ、ཝは/wa/、ཡは/ya/なので、これら2つは半母音と言うべきか。
 文字の入力は結局Lexilogosの力を借りてやっちゃいましたね。文字をちゃんと覚えた後だと思ったよりもまだるっこしくなかったです。やっぱ転写してラテン文字で記すより、こっちの方が勉強の成果が表れてる感じがしていいやね。
 縦の列を左から第一~四と分類し、横の列は、ཞ ཟ འ ཡを境にこれ以上を、仮に、上から、K段、C段、T段、P段、TS段と呼びましょうか。但し、TS段右端は上記の通りཝ /wa/なので、/ts/という音とは無関係です。
 仮名にすると、ガ行、ジャ行、ダ行、バ行、ヅァ行です。無気、無破裂で口に若干緊張がこもるので、発音記号上は/k/だったり/t/だったりするのですが、実際は「ガ」「ダ」というように聞こえます。
 基字単体で示すことはできませんが/g/や/d/に相当するものもチベット語にはあり、弱い「ん」のような音が先に伴われるので、「ガ」「ダ」ではなく、仮名で表現するとすれば「ンガ」「ンダ」というように書くのが、CDエクスプレスに従っての一種のやり方です。
 ただし、 鼻音が並ぶ第四列のK段右端に位置するངも、仮名にするとすれば「ンガ」になります(kingの-ngの音)。
 CDエクスプレスだと、たとえば/g/の仮名転写は「ガ」の直前上方に小さな「ン」が記されています。少なくとも単にキーボードでタイプしてるだけじゃムリだ。印刷物ならではの羨ましい策だ。
 まだ/g/を示すチベット文字による表記の仕方は登場していないのですが、/d/ならひとつ、出てきました。
 ཟླと書くのですが・・・これ、基字ཟと、下接字としてのལの組み合わせです。
 それぞれの音は、/s/と/l/・・・。
 もうこれだけで、ワイリー方式による転写の一例、「bod skad」の音が実際は「^phöökää」である理不尽さの原因が窺えるというものですね。
 たとえば「sla」と書いてあれば読みは/da/である、と解釈してもいいんですよね、これ。デンマーク語なんてメじゃないぜ!
 というわけで、今はこういった下接字、上接字が基字に付与されることによって生じる音の変化を学んでいる最中です。
 これちゃんと習得しないと、文章どころか・・・単語どころか、一文字すら読めませんでしょうね。
 たとえば、ཀྲとཔྲの音はどちらも/trā/です。発音記号は知らないけど、サンスクリット・デーヴァナーガリーのट一字に当たると思います。ちなみに-aの上のマクロンは声調を示しています。
 また、ཁྲ、ཕྲ、གྲ、བྲ、དྲはすべて/trha/です。但し、声調は前2つ(/trh­­ā/)と後3つ(/trhá/)で異なるので、あんまりいい例の取り上げ方ではありませんが。-h-はこれらが有気音であることを示しています。
 そんなわけで、今は謂わば、「き」の右上部に点々がつけば「ぎ」になりますよ、みたいな程度のことを学んでいる最中です。
 他のCDエクスプレスと違い、文字に関する説明が、第1課入るまでに長いこと長いこと。
 第1課入りました!と書けるのは一体何頁目でのことになるやら、てんで想像がつきません。
 一昨日書いたことですが、デーヴァナーガリーと違い、付加記号がついても基字の元の音にまったく影響を及ぼさない場合と、s+lで=daになったりと理屈じゃよくわからない音の変化についてとにかく暗記が必要なものと色々あるので、まだしばらくはこのチベット語の文字システムには煩わされそうです。
 ただ、助かる点というか何と言うか、デーヴァナーガリーと違って、基字に別の文字が追加された際に生じるまったく新たな字形があったりするわけではないので、字を綴ること自体は楽です。
 たとえばデーヴァナーガリーだと、क(母音を含んでいない場合)とषでक्षです。まさに理不尽。しかも合字によっては、PCでタイプしたものと、書籍に掲載されているものとで字形が異なったりするもんだから、一体本当はどう綴ればいいのやらと、サンスクリットを勉強していた頃は混乱したものです・・・。
 今日は日中寝てたりしたので思うように学習が捗ってはいなかったのですが、それでも学習の成果を、チベット文字を以って、本などを再度確認しなおしたりせずすらすらと綴れたことは、ささやか乍ら嬉しいことです。
 チベット語には標準語がないし、この本に書かれていることが、音や綴りなどすべてひっくるめて100%正しいとも限りませんが(誤字とかあるかもしれないしね。ラテン文字転写に関しては、既にひとつ見つけました)、それでも今の私にとってはこの本がチベット語のすべてなので、焦らず、内容を丸暗記するつもりでゆっくりと学習の歩を進めて参りたいと思います。

2011年12月1日木曜日

チベット語学習日記 1頁目

 注文してから入荷されるまで待つこと3日、遂にチベット語の学習書を手に入れました!
 現在ガムバって勉強中です。
 デーヴァナーガリーが元になってるだけあって、文字形成のシステムに対する拒否感はありません。
 ただ、元となったそれとは形がかなり、というかわずかな名残が見られる程度でまったく異なるので、これまでに蓄積した知識は学習にあたってあまり活用できません。
 別に愚痴じゃねーっす。新鮮です。
 既知のことが活かせない際愚痴を言いたくなる条件は、たとえば「land」というデンマーク語、スウェーデン語、ノルウェー語で共通して見られる(意味も同一)言葉がそれぞれの言語で読み方が異なる、といったような場合に生じるもんです。ちなみにda: /lanˀ/、sv: /land/、no: /lan/。ま、この程度ならカワイイもんですが・・・。
 やっぱりというか、やる前からわかってたんですが、声調が俺にとっちゃ非常にやっかいです。
 とは言え、本に用意された順序通り勉強を進めていて、まだ声調と文字しか学んでいないので、声調の違いによって生じる言葉の区別について気をつける場面なんかはまだ出てきてないんデスガ、文章の中にある単語でなく、それのひとつひとつをゆっくりと、それぞれの音の区別をはっきり認識しつつ口にしてる段階でもうイヤんなってきてました。
 あ、ちなみに買った本は白水社のCDエクスプレス チベット語(9784560006368)です。
 チベット語の歴史は浅くないのに未だに標準語がないらしく、この本では「チベットの政治的、文化的中心地」で話されているラサ方言を扱っています。
 ラサ方言の声調は4つで、中国語普通話と同じ。
 相対的な高低の区別の仕方も同言語と同じだと思いますが、その普通話の声調が身につかなかった人間としては、これでも十分習熟には苦心しそうなんですよね・・・。
 なんかどっかのアジアの言語には声調が7つもあるとか?俺ゼッテーそれ話せねーだろな・・・。
 ベトナム語もやったことありますが、俺がやった、確か南部方言だったと思いますが、あれには声調が6つありましたね。文字だけ見て「面白そう」と始めたんで、あれやってるときは全然真面目に声調の習得には努めてませんでしたが・・・あんとき声調だけでも突き詰めて勉強してりゃ、今苦手意識はなかったのかもねぇ。
 あ、そうそう、一例として、チベット文字で「チベット語」を示す言葉が「bod skad」になるという、一見ではさっぱり理解不能な規則が働くチベット語転写方式のひとつ、「ワイリー方式」ですが、この本では採用されていません。残念。
 ま、この転写を目にしてチベット語を楽しむってのは、チベット語自体じゃなく、あくまでもラテン文字によって示される、綴りとそれの音の乖離に魅力を感じてるってことに他ならないんですけどね。
 この本では「bod skad」、もとい、「チベット語」は、ラテン文字では「^phöökää」と書かれています(ちなみに「bod skad」を話題にしたときは、その音はIPA準拠で「ペク・エ」と仮名で書き直しましたが、実際の音は、本に書かれている通り、「プーゲー」って感じです。また、「^phöö」=「チベット」だそうです)。
 ただ、チベット文字を学習している最中であり、ワイリー方式についての知識もまったくない私ですが、何故「^phöökää」が「bod skad」になるのかは、この時点でちょっとわかる気がしているんです、実は。
 このPCにはチベット文字入力キーボードがないってことを、チベット語をやろうと思ってから知ったので、「タイプの練習にもなるぜ」どころかチベット文字を入力することすら適わないわけなのでやや説明し辛いのですが。
 チベット文字は、デーヴァナーガリーと同じく、ある文字の上や下に記号を付与してその読み方を変えます。
 デーヴァナーガリーで表記する際は、ある文字は追加された記号に合わせて必ずその読みが変わりますが(少なくともサンスクリットに於いては。ヒンディー語とかは知りません)、チベット文字、というかチベット語?は、たとえば「ka」はある記号の追加によって「kya」とか「la」に音が変わるのですが、その他のある記号を追加されても「ka」のままである場合もあるのです。
 つまり、たとえば「skad」は、「ka」に変化を及ぼさない、「s」「d」にあたる記号が追加されたことにより、単なる「ka」とはいささかも音が変わらず、/köö/のままなんじゃないかと。
 基本となる文字と追加の記号すべてをラテン文字に転写することにより、綴りとそれの示す実際の音の乖離がひどくなっているんじゃないか?という憶測ですね。
 まぁ、その記号-前置字とか上接字などという名称があります-がそれぞれ「s」だとか「d」だとか解釈できるのかどうかは知りませんけどね。
 それよりも・・・転写の仕方だとか気にする前に、チベット語の主体であるチベット文字の学習自体がまだ始まったばかりですからね。
 まぁとにもかくにも、チベット語の勉強が始まりました。
 チベット文字は、Lexilogosなんかを利用すれば入力できんこともないんですが、まだるっこしさが半端じゃなさそうなので、ここで勉強の成果を記す際にはラテン文字での転写という形にするつもりです・・・今んとこは。
 前ほど毎日記事を長く書く意欲はこれからもしばらくは湧く気配がないのですが、更新が難しい日もこれから毎日勉強する(予定の)チベット語のことは書くつもりです!

 あっ、そういやこれ200番目の記事なのか・・・チベット語の勉強を始めたことを書くに相応しいですね。

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