2011年9月24日土曜日

其のバンドの名は・・・

 Nuclear Blast日本版サイトに初めてアクセスした日、そこで知ったバンドの内、最も印象に残った2つのバンドがあり、ひとつはSeven、そしてもうひとつ存在感の強さから後日語りたいと言ったバンドのことについて今回は書きたいと思います。
 Sevenは悪く印象に残りましたが、このもうひとつのバンドは良く残りました。
 考え得る演出、音楽性、歌詞のテーマ、演奏技術、アレンジが世に出きった感のある今、そのルーツが新しかろうが古かろうが、とにかく何かしらの要素で大衆の目を惹きつけたモン勝ちである気がします。
 まずは音楽じゃなくてもいい。
 かつてXYOSHIKIは、「いい曲をつくろうが聴いてもらえなければ意味がない」という持論から、とにかく全国的な認知度を上げ存在を知ってもらおうと、同業者からの反感を受けようともメイクバリバリのヘビメタバンドとして、イロモノと利用されながらTVに出演していました。かくしてその試みは成功であったわけですが。
 今、ネットが普及したこの世界にあってバッシングの勢いとその対象になった本人たちへのそれの伝わりやすさはかつての比ではありませんから、自己顕示欲の開放の仕方にも慎重にならざるを得ないことは、何事に於いても没個性が顕著な今にあってはなかなか難しい問題ではないでしょうか。

 今でもこういうバンドって出てくるのか!
 いや今だからこそか!?

 最近スウェーデンのWolfやアメリカのWarbringerなど、前時代的なメタルの精神を受け継いだバンドが目立つようになりましたが、その「もうひとつのバンド」は80年代から存在していて、根本的に今も価値観が変わっていないようです。
 「もうひとつのバンド」はそういったバンドたちの源流となる偉大な先人たちに数えられる存在であるので、リバイバルに対する理解のある現在に登場できる手筈が整ったことは運が良かったと言えましょうが、安易な便乗ではないはずなのです。

 そのバンドとは-イギリスのHell

 今をときめくヘヴィメタル界の売れっ子プロデューサーにして現在のHellのメンバーのひとりであるAndy Sneapはその昔、Hellのライヴに熱心に足を運んでいたヘッドバンガーだったそうです。
 自殺したというかつてのHellのギタリストと交流があったそうで、それでHellの連中にコンタクトを取る手段を得ていたのでしょう、世に出るには過激すぎると評されたという昔プレイしていた曲を今こそ天下大衆の前で披露しようではないかとメンバーたちに持ちかけました。
 憧れのバンドを復活させ且つそのメンバーのひとりにまでなれて、挙句の果てにHR/HM系レーベル大手のNuclear Blast Recordsとのディールまでバンドに齎すなんて、権力って本当にスバラシイ(笑)。
 さあこちらをご覧あれ。
 どうですか。
 俺はニヤけました。
 この曲が収録されている復活作・Human Remainsがプレスから絶賛の声を少なからず得ているようですが、その評価の仕方を見るに、文責は絶対20台の若者は負っていない筈です。まぁ、若くして昨今のエクストリームメタルに見向きもせず古いNWOBHMのダイハードなフリークスをやってるとかならわかりませんが・・・。
 また、Metallumでの評価は現在7レビュー95%。このサイト、正統派が弱いのでこれは驚異的です(ただベテランバンドにやや甘めな気がする。ちなみにブラックとフォークが異様に強い)。
 昔はこれでも過激と見なされていたそうなんです。
 でも正直こいつらより古いLed Zeppelinとかの方が十分過激さではもう極めてる感がありますよね。
 まぁもういい年なんで、否応なしにかつての勢いが抑えられてこれなのかもしれません。
 「過激さ」をウリにしては、絶対に説得がないと思います。
 じゃあこいつらの曲のどういった点に耳を傾けようか?
 このビデオではどこに注目しようか?

② ⑤

① ③

David Bower - Vo.
デイヴィッド・バウアー
Kevin "Kev" Bower - Gt. / Key.
ケヴィン・バウアー
Andy Sneap - Gt.
アンディ・スニープ
Tony Speakman - Ba.
トニー・スピークマン
Tim Bowler - Ds.
ティム・ボウラー

 David Bowerにですね!
 こういうのがカリスマってんでしょう。
 本人もおそらく重々自覚していると思います、Hellを披露するときには俺がフロントマンとしてこうやって動いてこうやって歌わなければ・・・と。
 ただ彼はバンド結成時からいたわけではなく、オリジナルシンガーは前述の自殺した人だったそうで、その人がどんなパフォーマンスをしていたかはわかりませんが。
 それにしてもこの人の存在感は凄い。
 バカにするわけじゃなく、こういう歌い方も、うまいへたでその魅力が論じられるわけじゃないところがまたマニアックさを引き立てていると思いますね。
 歌の成分はRob HalfordRonnie James DioBruce Dickinsonなんかがごっちゃになった感じの、いやぁもうとにかく古臭ぁ~いものですよ。
 線の細さが若干気になるところですが、この人の場合はもうこれで完成だと思います。パフォーマンスも込み込みで。
 赤いカラコン入れて茨の冠かぶって・・・と簡単な装飾ですが100%サマになってますし、この目をして撮影のフォーカスが当たっても僅かに視線を逸らしているところがまた気味悪くてイイ(笑)。
 そして更にこれを観てみてください。
 上にリンクを貼ったOn Earth as It Is in Hellのライブ版が聴けますが、あの歌唱そのまんまですし、パフォーマンスはフロントマン然とした文句のつけようのないものです。ビデオより若干コミカルですが(笑)。
 最も注目すべき点は、ハンドマイク、若しくはスタンドのついたマイクを使用していないところ!
 俺はね、なんか今こんなこと言うと嘘だろとか思われるかもしれませんが、常々ボーカリストは、ライブではこういったタイプのマイクで歌えばいいんじゃないかと思っていたんですよ。いやマジですよマジ!
 ボーカリストだけじゃないっす。コーラスをするギタリストさんたちとかもね。
 だってマイクスタンドまで戻らなくていいじゃん!
 ボーカリストにとっては全身を使ったパフォーマンスができるようになるし!
 ほら見て見て!ビデオ見て!ステージ上縦横無尽に動いて極めて自由にアクションとってますよ!
 俺はね、このDavid Bowerのパフォーマンスを目にして、マジ気持ちのいいショックを受けましたよ。
 と同時に、やっぱり俺と同じ考え方をする人はいたんだと励みになりました。
 実は、プロのロック系バンドのボーカリストがこのマイクで歌っているのを初めて見たのは、購入し終わりまで視聴したがまだ感想を書いていない仙台貨物芸リンピックでの千葉。ただ彼・・・というか仙台貨物はコミックバンドの類なんで、おもしろアクションのためにあのマイクだったのかなと、David Bowerほどには自分の考えに後押しをもらった気にはなりませんでした。
 ハードロック、ヘヴィメタルでだけの使用を問題にしているので、実のところ珍しいのかそうでないのかすらわかりませんが、なんにせよこのマイクは絶対有用ですって!
 いやわかりますよ、おそらくハンドマイクには質の面で敵わないんでしょう。だからあのマイクでみんな歌わない。
 あと千葉は度々マイクのズレを直してましたね。歌唱も、パフォーマンスも大きく魅せるという目的で使用するにあたりアクションが派手になり、身体の動きにもマイクの位置にも気を使うとなると結構鬱陶しいものかもしれません。肝心のアクションもマイクを気にするあまりなんだか煮え切らないものになったりして。
 大きさのせいなのか音もハンドマイクほどよく拾えないみたいで、ズレて千葉の声が遠くなった場面もありましたし。
 ・・・え、あのマイクだとパフォーマンスがイモだってことがバレちゃうから使えない?そんなん知るか!
 まぁあと、ロックバンドのボーカリストでもあのマイクで歌えとは言ってますが、個人的にはアイドルとかそれに準ずる人が歌う際の道具かなって気もしてはいます。
 でもね、直立不動で歌っててもなんも面白くないような人-David Bowerの場合は、圧倒されるほどの歌唱力があるわけじゃないし、身体が小柄で細いので動きがなければ見てくれもあまりよくない-が歌唱以外の魅力を演出せんが為の道具として利用するなら、これはマジアリですよ!
 これからHellがどんどん知名度を得て、David Bowerのシアトリカルなパフォーマンスも知られるようになった暁にあのタイプのマイクが普及するようになると・・・うーん、更にライブ映像が楽しく観られそうですねぇ。
 ・・・まぁ、でも今のところあれを以ってのライブパフォーマンスが更によいものになるだろうなと思えるのは、既に知っているDavid Bower以外だとD.C. Cooperだけかな・・・ワハハ。
 たとえばAerosmithSteven TylerとかGuns n' RosesAxl Rose、それからマイクぶん回しパフォーマンスでお馴染み、新譜を出したばかりのSebastian Bachなんかはやっぱあのテのマイクだとライブじゃサマにならん気がするしね。
 そんなわけでHellでした。
 ワタシはオフィシャルもの以外のビデオ、また、1曲フルで聴けない音源のリンクは極力ここに貼らんようにしているので紹介できたのがOn Earth as It Is in Hellだけでしたが、Tour Trailerとかで他の曲も断片的にですが聴けて、これもなかなかかっこいいですよ。
 ライブDVD出ないかしら・・・正目新しい音楽ってわけじゃないから、音だけだとやっぱょっとこの先キツい気が・・・。

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