2013年10月23日水曜日

Siebentausendneununddreißig

♪MICP-10929
ショートレビュー: 全体的に刺激が少なく、殊中盤に至っては地味過ぎる。
今のところバンドの最終作だが、もしそれが前作であったならもっと復活を希望される存在になっていたかもね。
創造力もやる気も枯渇したかと疑われても、このデキじゃあ仕方がない。
そしてこの時期のPeter Wichersプロデュース(Warrel Daneによる推薦だったらしい)に何が望めた?ボーナストラック群もつまらん。

 記事を書くのはどれくらい振りだろう?
 新しいバイトを初めてからこっち書いてないのは確かなので、少なくとも4ヶ月以上は経つか・・・。
 何も書くことがなかったわけではないけど、「これ」といったものがなかったことも確かかもしれない。今回久方ぶりに作成する記事の話題が、今日Windows Live Writerを立ち上げようと思った動機にするには時期的に割と新鮮であることもその証左になっていると言える。
 一つ前のバイトは3ヶ月ほどしか続かなかったが、それは仕事内容の複雑さ故だった。やめた際、時期柄よく手がけていた業務がその先更に増えると聞いて、怖気づいて逃げ出したのだ。
 時給は悪くなかったが、13時から出勤、22時に終業、しかも電車通勤というのが性に合わなかった。二つ前のバイトは16時から出勤して21時に終業(尤も退勤時間は大体いつも諸事情あって22時近かったが)、書店であったこともあって時給は6年間務めて50円増えただけというクソったれなものだったが、自転車ですぐ行ける距離にあったこと、基本的に忙しくない店であったこと、社員がいない日は一日の業務内容のほぼすべてをバイトである自分の思い通りにできることが気に入っていたのでよく続いた。ヒマなことは多忙よりも苦痛だが、先の通り、社員不在の際の業務を仕切る立場にあったが為、俺ひとりが忙しくなるように仕事の割り振りを決定することもできたので、客入りは芳しくない日でも俺は大抵ヒマじゃなかった。
 それにしてもバイトを変える度に、会社のルールの面倒臭さがグレードアップしていっているのが笑えない。そして企業理念の大言壮語っぷりも濃くなっていっている。そこは笑うとこかも。ただ、時給も月給も上がってはいる。
 そして悟った。給料が安くても俺には小売店で販売マシーンと化しているのがお似合いだと。だけど時給800円以下の書店員はもうヤだな。聞いてんのか糞垣書店。
 今のバイトが長続きするかどうかはわからない。時給は上がり難いらしい。取り敢えず1年は続けようかと思っている。色々言われたことを勘案してみて、時給が上がる目処が1年後に立つ可能性があると思えたからだ。1年後時給が上がってなかったらやめてやる。ボケ。
 就職する気は今のところまったく湧かない。今湧かないと年齢的に一生就職できない可能性もあるが、寿命を全うすべきとは思ってないので気持ちには余裕がある。余裕ってのはいいものだ。たとえそれが勘違いから生じているものであったとしても、持続している限りは精神の安定が見込める。
 そして俺は今日もテクニカルなギターテクにうっとりとしつつベースの音をしっかりと拾わんと神経を遣いながらヘヴィメタルを聴き、大好きな語学学習に勤しむ。こうしてたいだけなんだー。
 というわけで本題ですが、まぁちょっと複数扱おうかと思いますよ。


Suicide Silence, You Live Only Once; Mitch Lucker, Chris Garza, Mark Heylmun, Daniel 'Dan' Kenny, Alex Lopez
アルバム・The Black Crown制作ラインナップ(ビデオ・You Only Live Onceより)

Mitchell “Mitch” Lucker - vo.
ミチェル “ミチ” ラカー
※死去
Chris Garza - gt.
クリス ガーザ
Mark Heylmun - gt.
マーク ヘイルマン
Daniel “Dan” Kenny - ba.
ダニアル “ダン” ケニー
Alex Lopez - ds.
アレクス ロペス

 先ずはSuicide Silenceですね。Gotthardの前ボーカリスト・Steve Leeと同じく交通事故でMitch Luckerを喪いこれからどうするのかと思っていたら・・・なんと、All Shall PerishHernan "Eddie" Hermidaが新ボーカリストとして加入したそうですね。Mitchよりもずっとパワフルなお人なだけに、これは良い変化なのだと俺は歓迎したく思っています。元々はAll Shall Perishのフロントマンとして活動しつつSuicide Silenceのボーカリストも務めていたようですが、今はもうAll Shall Perishからは脱退。ついでにBeniko "Ben" OrumもASPから去っていて、今同バンドは前々回話題にしたForbiddenと同じく3人(Francesco Artusato, Mike Turner, Adam Pierce、ちなみにForbiddenの方はRuss Anderson, Craig Locicero, Sasha Horn)だけ。Hernan Hermidaは間違いなくASPの立派な顔となっていただけに、SSへの加入は喜ばしい反面ASPからの脱退は残念でもありますが、あっちはF. ArtusatoとA. Pierceがいればまだまだ大丈夫でしょう!F. Artusatoに至っては何故ASPにいるのか不思議なくらいの逸材ですしね。
 そういや大分前に作ってまだ使ってなかったけど、ASPの画像もあるんでここで出してしまっておきましょう。

All Shall Perish, Royalty into Exile; Hernan 'Eddie' Hermida, Francesco Artusato, Beniko 'Ben' Orum, Mike Turner, Adam Pierce
アルバム・This Is Where It Ends制作ラインナップ(ビデオ・Royalty into Exileより

Hernan “Eddie” Hermida - vo.
ハーナン “エディ” ハーミーダ
※脱退、後任未加入
Francesco Artusato - gt.
フランチェスコ アルトゥザート
Beniko “Ben” Orum - gt.
ベニコ “ベン” オウラム
※脱退、後任未加入
Mike Turner - ba.
マイク ターナー
Adam Pierce - ds.
アダム ピアース

 元々は、首まで至るイレズミが特徴的なドラマー・Adam Pierceが、All Shall Perishに加入しましたよって自己紹介動画をつべで観て興味を持ったバンドでした。ここまで鮮やかなタトゥーマンは当時俺にとってはMitch Luckerに次ぐほど印象的だったし、こんなのが入るバンドって一体どういう音楽をやってるんだろ?と思ったわけです。こいつに限らず、ドラマーはあんまり凄みのあるタトゥーを入れてないイメージがいまだにあるね、個人的には。タトゥーが印象的なドラマーはThe Black Dahlia MurderのShannon Lucas、Avenged SevenfoldのJames "The Rev" Sullivan、元ForbiddenのMark Hernandez、上のAlex Lopez、元SepulturaのIgor Cavalera、KrisiunのMax Kolesne、Machine HeadのDave McClain、Blink-182のドラマー(名前忘れた。そもそもBlink-182聴いたことない)くらいしかパッと思い浮かばないや。忘れてるだけのヤツもいると思うけど、それも多くはないはず。John Tempestaはこいつらに比べれば控えめの部類。
 お次もバンドメンバーに変化のあった連中でいきましょう。

Avenged Sevenfold, Nightmare; Matthew 'M. Shadows' Sanders, Brian 'Synyster Gates' Haner, Jr., Zachary 'Zacky Vengeance' Baker, Jonathan 'Johnny Christ' Seward
ビデオ・Nightmare(アルバム・Nightmare収録)撮影ラインナップ
※実際にプレイしているドラマーはMichael "Mike" Portnoy(当時Dream Theater)

コレが↑
コウなった↓

Avenged Sevenfold, Hail to the King; Matthew Sanders, Brian Haner, Jr., Zachary Baker, Jonathan Seward, Arin Ilejay
アルバム・Hail to the King制作ラインナップ(ビデオ・Hail to the Kingより)

Matthew Sanders a.k.a. M. Shadows - vo.
マシュー サンダーズ = エム シャドウズ
Brian Haner, Jr. a.k.a. Synyster Gates - gt.
ブライアン ヘイナー ジュニアー = スィニスター ゲイツ
Zachary Baker a.k.a. Zacky Vengeance - gt.
ザカリー ベイカー = ザキー ヴェンジュンス
Jonathan Seward a.k.a. Johnny Christ - ba.
ジャナスン スーアード = ジャニー クライスト
Richard Arin Ilejay a.k.a. Arin Ilejay - ds.
リチャード アリン アイルジェイ

 はい、A7X。以前も話題にしたArin IlejayがやっぱりThe Revの後釜として収まった、ということで。
 このPVでArinを確認して、ああやっぱArin Ilejayが正式加入したのねと彼に対する感想はその程度で(いやその控えめでないパフォーマンスは凄い好きだよ)、それよりも俺の関心が強く向いたのは、Johnny ChristことJonathan Sewardの風貌!ベーシストも交代したのかと思っちゃったよ。すごいシブめのオッサンになってるじゃん・・・!これまでパンキッシュな印象が一番強かったから尚更のオドロキだ。その上、M. Shadowsはロンゲになってるし、Synyster Gatesの髪は更に短くなってるし、曲調はA7Xらしからぬストレート「すぎる」メタルチューンだしで。
 まだアルバムは入手してないんだけど、Nightmare以上に遊びのない感じになってるんだろうか・・・。
 Nightmareはね、俺好きですよ。その前のAvenged Sevenfoldに比べれば、吟味するまでもなく曲毎の個性が際立ってはいないけど、バンドサウンドを主軸によりシンプルになり、ということはギターの存在感が増したということで、ギターパートが口ずさみやすくなった。Avenged Sevenfoldは、あれはあれで色々なパートを歌う楽しみがあったけど、やっぱメタルバンドだしね、歌えるフレーズはギターから多くが提供されてる方が聴いてる甲斐があります。TriviumのAscendancyとかMetallicaのDeath Magneticが好きになれた理由もそこだしね。
 音符と音符の間を活かしたグルーヴなんてメタルにはいらんよ。前面に出たギタリストがバンドを引っ張って生まれるグルーヴがメタルのグルーヴだ。だからSt. Angerは聴けない。俺はCynicのFocusみたいな、空間中やむことのない音の雨の中で得られるグルーヴこそが大好きだ。別にファンクが嫌いなわけじゃないけど。そもそもね、グルーヴメタルってもんに価値があるとしたら、その真髄はExtremeが握ってる筈なんだよね。PanteraとかRage against the MachineとかKornとかLimp Bizkitらへんを祖と崇めてる場合じゃないよ、マジで。Extreme聴きなさい、Extreme。
 ところでArin Ilejay、俺が懸念していた通り、やっぱスミ入れちゃいましたね。
 そして遂にこの人もおぉー!!!

Annihilator, No Way Out; David Padden, Jeff Waters, Alberto Campuzano, Mike Harshaw
ビデオ・No Way Out(アルバム・Feast収録)撮影ラインナップ

David “Dave” Padden - vo., gt.
デイヴィド “デイヴ” パドン
Jeff Waters - gt., vo.
ジェフ ウォーターズ
Alberto “Al” Campuzano - ba.
アルベルト “アル” カンプサーノ
※アルバムではJeff Watersがベースを担当。
Mike Harshaw - ds.
マイク ハーショウ

 「この人も」ってのは、・・・そう、Jeff Waters。
 これがまあ、またダッサイの!!
 Arin Ilejayのスミも同じくね!!
 よく確認したい方は、Jeffは主に左腕のスミがデカくて、Arinは逆(Arinは左にはまだ入れてないかもしれない)なので、そこに注目してみましょう。
 もうホント勘弁してくださいよ・・・。
 あらら入れちゃったと若干落胆させられても、ExodusのGary Holtみたいなのだったらまだイイよ。あっちはそれなりにカッコイイ。
 でもこの2人のは・・・もう(泣)
 ・・・気落ちしたことだけを話題にするのもアレなんで、前作・Annihilator収録トラックに対してはつくられなかったビデオが制作されたこのNo Way Outについてですが、まぁ、いつものAnnihilator、というか、Jeff Waters節ですね。
 「またこういうのか」と思いつつもそのカッコよさには否定する余地もなく、「Testify, crucify ... There is no way out !」はすぐに覚えて一緒に歌えるようになるし、PVは各人いいパフォーマンスで撮られてるしで一発で気に入りました(それにしてもAl Campuzanoのスーパーハンサムっぷりがヤバイ)。
 ただ、しかしねぇ・・・もうさ、The Fun PalaceとかBrain Danceみたいな曲は、Jeff Watersには書けないのかな?それとも、あんなのはもう趣味じゃなくなったのかな?まぁ、だったらライブで演ってないだろうけど・・・。King of the Kill以降、曲中のメリハリがスピーディなパートとグルーヴィなパートの切り貼りだけになっちゃってて、これ以前のAnnihilatorの作風からしてみれば、そのポテンシャルの高さを何故か活かしきろうとしていないところが凄く勿体無い。
 俺はAnnihilatorはスピードメタルバンドだと思ってる。スラッシュをやってるとは一度も思ったことがない。それは、俺がPhantasmagoriaとかI Am in Commandみたいな爆走ナンバーよりも、前述の古い時代の2曲とかAlison Hell、Sixies and Sevens、Road to Ruin、Knight Jumps Queen、Ligeia、Word Salad、Wicked Mysticとかの方が好きであることとは関係がなく、「スラッシュ」ってのは「パンキッシュ」じゃないとダメだと思ってることに由来する。Annihilatorは、スラッシュメタルをやってるバンドと言うにはスマート過ぎる。
 だから、MetallicaのKill 'em Allは完璧なスラッシュメタルアルバムだ。紛うことなき同ジャンルの聖典。
 しかしMetallicaのスラッシュメタルバンド然とした創作はその一作限りで終わってしまった。Ride the Lightningから既にMetallicaはスラッシュメタルバンドじゃない。アルバムや曲の構成から透けて見えるバンド像が、見せかけでしかなかったとしても知的になり過ぎた(別にパンクバンド全部がバカだらけの集まりから成っていると言ってるわけではないが)。
 じゃあFight Fire with Fireの曲調はなんて説明すんだよ?と訊かれたら、俺は「スマートじゃないスピードメタル」と答えます。スラッシュと言うには雰囲気が冷え冷えとし過ぎているが、しかし単にスピードメタルと言うには落ち着きがなさ過ぎる。
 ただ俺が一番好きなMetallicaのアルバムはRide the Lightning。別に最も好きな音楽ジャンルがスラッシュメタルであるというわけではないので、Kill 'em AllをRide the Lightningより優先的にコンポにセットすることはない。
 そっか、Annihilatorはお前にとってはスピードメタルバンドか、だったらいいんじゃない?これからもずっとスピーディな曲はKing of the Kill以降の手法を踏襲されたもので?・・・とはいかないのがフクザツなところ。
 Alison HellとかThe Fun Palaceみたいな曲も作れるんだと知ってしまったら、期待せずにはいられなくなる。
 Refresh the Demonとか、Dr. Psycho、Clown Parade、Haunted、The Trend、そして今回のNo Way Outみたいな曲も充分にアツくなれるものだが、・・・これだけじゃないもんな、Annihilator、いやJeff Watersは。
 既に同一ボーカリストとして過去最多のアルバムに参加しているDave Paddenについてはどうかわからないが、Annihilatorってのはその実態がJeff Watersのひとりバンドであるらしく、他のメンバーは雇われに過ぎないそうだ(前も書いたかな、これ)。しかし、特にKing of the Kill以前のアルバムに於いては、他のメンバーからのインプットがあって、それがああいった、今はJeffが作らなくなった素晴らしくヘンな曲の創生に繋がっていったのかもしれないと俺は思っている。特に、ウェーブがかった金髪ロンゲがイカすベーシスト(ExtremeのPat Badgerぽい)・Wayne Darleyの参加期間は長かった。彼からは何かがあったんじゃあないのか・・・?そして3人のボーカリスト、Randy Rampage(Alice in Hell)にCoburn Pharr(Never, Neverland)にAaron Randall(Set the World on Fire)の存在。個性的な歌唱で鳴らした彼らがJeffの創作態度に及ぼした影響がなかったと言い切れるヤツがいるとしたら・・・それはJeff Watersだけだろうね。
 まぁ、最近の俺は専らテクニカルデスメタルにお熱で、とは言ってもずっと前からそうなんだが、それでも今ほど一辺倒ってわけではなかった。今はホント、こればかりだね。だから上で挙げたバンドは、メンバーがネタになるから取り上げただけなんだ。勿論どれも好きなバンドだけど、テクデス以上に熱心に聴いてるか、今聴く気があるかというと、答はINA(←hideの映画が公開されると聞いたので)。
 でもテクデスバンドを基に記事を書こうと思ったら、大抵のバンドにいる連中がその演奏力の高さ以外に話題にできることがないだろうし、結果的にレビューを書くようなことになるかもしれないと考えると、好きは好きだがなかなかネタにはし辛い・・・。
 あ、そういやさ、Decapitated、最新作のCarnival Is Foreverって過去作に比べると評判あんまり良くないらしいんだけど、俺は好きで今でもよく聴いてるんですが、じゃあそろそろレビューいける?と考えてみても、ムリそうだなあ・・・。俺が好きなテクデスバンドじゃCryptopsyの次くらいにはよく聴いてるとは思うんだけど。いや、Cynicかな、それは。けど「現時点」に限れば、ダントツで最もよく聴いてるな~。繰り返し聴くことに於いて、何かが心地良く、何かが丁度良いんだろうね。

Decapitated, Homo Sum; Rafał Piotrowski, Wacław Kiełtyka, Paweł Pasek, Kerim Lechner
ビデオ・Homo Sum(アルバム・Carnival Is Forever収録)撮影ラインナップ

Rafał “Rasta” Piotrowski - vo.
ラファウ “ラスタ” ピョトロフスキ
Wacław “Vogg” Kiełtyka - gt.
ヴァツワフ “ヴォグ” キェウティカ
Paweł Pasek - ba.
パヴェウ パセク
※アルバムに参加した前任はFilip “Heinrich” Hałucha(フィリプ “ハインリヒ” ハウハ)
Kerim “Krimh” Lechner - ds.
カーリム “クリム” レヘナー
※脱退、後任は元VaderのPaweł “Paul” Jaroszewicz(パヴェウ “ポール” ヤロシェヴィチュ)

 これはつい3日前くらいに作ったやつで、画像の中に名前を入れるという新しい試みをしてみたんですが、ちょっとちっさ過ぎですね・・・。記事に載せる際の見え方も考慮しながらつくらないといけないなって今更気づいた。本来のサイズは1900なんとか×1200どうとかみたいなデカさですからね。ペイントでつくってます。切ったり貼ったりできればいいわけですしね・・・。
 ところでPaweł君、ビデオを最初から最後まで通して顔がすごく見えにくい・・・というか鮮明に映ってるシーンは一切ないんですが、これはHomo Sumで実際に弾いたベーシストがHeinrichだったってことに因るんですかね(他に似た例を挙げると、AnnihlatorのAlison Hellのビデオではセカンドギタリストが、DeathのLack of ComprehensionのビデオではベーシストのScott Carinoが殆ど映らない。前者は実際のオーディオトラックのギターパートはすべてJeff Watersが、後者のベースパートはSteve DiGiorgioが弾いた)。
 ・・・とまあ、久々の記事作成、久々の日本語による長文を綴ってみましたが、詰まったりすることなくやり遂げられて良かったです。
 実は、毎日投稿はムリでも、そしてどんなに気が乗らなくとも、最低1ヶ月に記事1本は書こうと決めていて、実際そうしていたのですが・・・今回を堺に、決意を新たに以前のルールに則って記事を書いていきたいもんです。
 ハァ~、4ヶ月か・・・ひとつの言語だけ勉強してたら今頃その言語の運用についてはどうなってたかな・・・。

 そういやね、私、パチンコ初体験したんですよ、2ヶ月ほど前に。色んな人の助言を頂いた上で。
 初パチは4円の沖海3(= スーパー海物語 IN 沖縄3(SANYO))。
 1万投入して、残額1000円になったところで大当たり、そっから13連チャン、それが終わって上皿の玉も尽きてきて「ああもうヤメ」と席を立とうとしたところで(やる前から、一旦下ろした箱は絶対に上げてもらわないと決めていた)、正真正銘の最後の1玉でまた当たって、そっから2連チャン。5万になったけど換金率はなんぼだったんだろう。
 遠隔があるとかなんだとか色々言われてますが、じゃあ俺の場合はビギナーズラックなんてものが得られたのではなくて、その店でハマってカネをガンガン落とすようになってもらうために、遠隔で当たりを引かせられたってことなんですかネェ。実際、換金所で数枚の万札が出てきてそれを財布に収めるときはニヤけ顔を必死で抑える程度には嬉しかったですね。
 俺、昔はゲーセンで1日ドカドカ硬貨を投入するカスでした(っつっても主に格ゲー、ゲーセン通いをやめる直前は専らマジカルドロップ。クレーンとかメダルゲームはやったことすらない)。
 パチンコにハマる素養十分だと思います・・・。
 でも、当たらなくてもいいから・・・とまでは言わないけど、もっとガンガン演出面は強化してくれた方が俺は食いつくね。演出なしで、「リーチ!」の声と共にデジタルリールが回るだけのアニメーションとかいらんわ。当たってからが本番なんだから、そこに至るまでに楽しげなアニメーションとかギミックの動作を満載してもっと強く客を台に食いつかせておかなきゃ。
 たとえが極端ですが、沖海3に1日で16万突っ込んで8万だけ戻ってきたなんて言ってたアホなオバハン、1円の海の特定の1台に1週間突っ込み続けて10万以上負けてるバカなニーちゃん(俺が見た日は1200回転以上ハマってた。もう4円で甘デジでも打ってろよ)、牙狼FINALに20万飲まれて台パンやってるヤツとかいましたが(それにしてもこういう連中はなんの仕事をしてるんだろう?)、とても小さなひとつのお店の1日の売上くらいに匹敵するんじゃないですか、この額?一遊技台を一店舗と見立てて、もっと集客&集金を成功させるための工夫をしましょうよ。
 ネット上でどこぞの人が書いてましたが、パチンコ、パチスロは「くじ引き」に過ぎないのだと。言い得て妙ですね。その通りです。遊技台は、とても高価なくじ引きの箱なんですよね。
 もっと遊ばせましょうよ。実態が「くじ引き箱」なんですから。
 射幸心がうんたらでできないのかねぇ。

2013年6月8日土曜日

活字体

Bonjour. Je viens du Japon. J'aime apprendre le khmer
 読めない文字が深みのあることを示していようが、或いは陳腐なことを示していようが、読めないだけに当然ながらそんなことは一切わからないわけです。
 この画像に映された、俺がクメール文字で書いた3文=カンボジア語は和訳だと何を意味しているでしょう?とても含蓄のあることでしょうか?
 まさかね。ニューエクスプレス カンボジア語でようやく5課に辿り着いた人間の書いたことですよ、大したものじゃないに決まっている。
 上に書かれている文が解読し辛いとすれば、それはひとえに私の字の書き方のせいだと思います。
 どんな字も角張らせて綴ろうとするのは私のクセです。書き易いよう意図的にやってるので、クセと言うには少し違うかもしれませんが。
 白水社のニューエクスプレスシリーズには、若干の例外を除いて、巻末の方に付属のCDに声を吹き込んだ人による原語でのコメントが載せられています。ニューエクスプレス カンボジア語での該当するページを見てみると、カンボジア語による直筆の名が2名分書かれていますが(ふつうは手書きが採用されておらず、活字。この編集方法は初めて見た。また、本によって原語表記だったり仮名表記だったりする)、私の書くクメール文字と比べると、まるで互いに異なる文字であるかの様です。
 CDエクスプレス ヘブライ語を持っていますが、この本には、活字によるヘブライ文字は勿論、日常的に手書きで用いられる字体も載っています。両者の見た目は互いに随分異なります
 クメール文字でもヘブライ文字でも、私は活字体の方が好きです。この2言語を文字にして表現するとき、活字体で書くと、まるで堅苦しい文語で話しているような印象を与えてしまうのでしょうか?そうであるとしても、私は活字体の方が愛おしい。
 筆記体のヘブライ文字も一応習得しましたが、見た目が気に入らないだけでなく、ただでさえ格好良く書くことが易しくないヘブライ文字が更に書き辛くなったかのような字体で、こちらで文を長く、たくさん綴るということは皆無に等しかったです。あまりにも不細工な見た目なので、本当にこんな文字で書いてる奴がいるのかとすら考えていたのですが、以前、イスラエルとパレスチナの紛争問題を扱ったあるTV番組で、それに関連して亡くなった少女によるヘブライ語で書かれた平和を願う直筆の詩が見られたのですが、これが筆記体でできていました。「ああ、本当にイスラエル人ってこうやってヘブライ語書いてるんだ・・・」と心に生じた諦めのような納得を未だに覚えています。あれは家庭で、それとも学校で教わるもんなんでしょうか。
 以前、長いことアラビア文字を書き続けてきたが未だに慣れないというようなことを書きましたが、ヘブライ文字も同じです。相当色々と書きましたが自分自身、己の手による綴りに全然納得できていません。それほどヘブライ文字は難しい。たぶん全体的に箱型で、且つその中身がスカスカだからでしょうね。しかしラテン文字に比べ、より記号的でない印象を個人的には受けているので、意味在る文字として表現しようとすると、書いてることが途端に億劫になってきます。活字体としては、これまでに見てきた文字の中でもかなり好きな方なんですが、実際自分で書くとなると・・・極めて実現の難しいその美しさに、綴っている最中は常に苦しめられていた思い出があります。
 一方ニューエクスプレス カンボジア語の方には、本の見返しに筆記体らしきものが筆順と共に載ってはいるのですが、CDの音声を担当した人の書くクメール文字と比べると活字体寄りです。こちらは練習していません。筆順を見てもいません。
 ヘブライ語はもう長いこと勉強していませんが、今回自分で話題にしてまたやりたくなってきました。最後に勉強した頃からすると新しく覚えた文字がいくつかあるので、それらを活字体に成る可く忠実に美しく書くために試行錯誤してきたことを経て、以前とはまた違った気持ちでヘブライ文字の、楽に書くのに効果的で、且つ己を納得させる見た目を実現させる綴りに取り組めそうです。
 ところで最近また言語の学習方法が変わりました。確実な暗記云々とこのブログで言い出してから3つ目に編み出した学習法です。編み出したと言うよりも改良を重ねているという方が適当かもしれません。現に、考えついた学習法の併用はしていません。
 新しい仕事探しやら引越しやらで落ち着いて勉強のできる気分になれなかった為にニューエクスプレス カンボジア語はまだ5課に来たところですが、進捗は極めてハイペースである筈です。実は、クメール文字の読み方についての解説は大半を読まずに学習を進めています(面倒臭くなったから)。それで労せず勉強できているのだから、今回の学習法には今まで以上に手応えを嬉しく感じています。これからあまりにも理解し難い文法要素などが登場すれば話は別ですが、全20課の文章の暗記だけなら1週間あれば事足りそうです。
 新しく考案した学習法は、勿論知る限りのあらゆる言語の学習に際して適用できるように練ってありますが、特にこれまでに知らなかった文字を正書法として持つ言語に対して有効です。このままタイ語、ビルマ語、チベット語と攻略していきたいところです。
 ちなみにこれらの学習法の子細をこのブログでは一切書かないようにしています。もしかしたらいつか、こうやって考えついている方法を直接的或いは間接的に利用してカネを稼げるのではないかと思っているので。
 最後に、で、上のカンボジア語はどういう意味なんだよ?ってことなんですが、画像のファイル名からもわかる通り(フランス語ですが。日本語でつけると何かと扱い辛いので英語かフランス語を使ってます)、「こんにちは(チョムリアプスオ)。私は日本出身です(クニョム モーク ピー スロク チャポン)。カンボジア語の勉強が好きです(チョールチャト リアン ピアサー クマエ)。」と訳せます(綴り間違いがなければ)。各文末尾に共通の記号が置いてありますが、これがクメール文字の「ピリオド」です。

 次回題材候補:
 Mitchell “Mitch” Lucker死去
 Jeffrey “Jeff” Hanneman死去
 新居
 言語関係

2013年6月7日金曜日

5月16日、Book1st.にて

ATTENTION
引越しの影響でネットがしばらく使えなかった為、去る5月16日に書いた本記事を今日投稿します。
以下の記述に含まれる情報の中に現在から見て変化しているものがあるかもしれません。

 今日、用事で本当に久々に四条大宮へ行った。で、これまた久々に、阪急大宮駅から出てすぐ姿を見せるBook1st.に入った。
 以前バイトしていた本屋で、社員(このブログで過去に何度か登場している女性社員。俺がバイトをやめる前に退職)から、いつのことやらまったく覚えてないもののBook1st.のAVセルコーナーがなくなるそうだよという話は聞いていたが、しかしその後何度か足を運んでも一向になくなっていなかったので、ドユコト?と思っていたもんだが、今回わかった、確かにキレイさっぱりなくなっている。ちなみに雑貨コーナーに変化。雑貨コーナー併設の元書店員として一言-最低でもフルタイムで働く2人の専属スタッフ、もしくは専門的知識(研修で身につく程度でよい)のあるスタッフを置けないコーナーはつくるな!客に質問されても非常に困るのだ。
 何か表紙買いできるような、主に漫画はないものかと店内をウロウロしていたがめぼしいものが見つからなかったので、結局最後は音楽雑誌を立ち読み。
 読んだのは、YOUNG GUITAR、BURRN!、Guitar Player。
 最初に手に取ったのはYOUNG GUITARだったけど、BURRN!の方が言及するにネタに乏しいのでこっちについて先に書くことにする。
 表紙はAlexi LaihoChildren of Bodom vo. / gt.)。
 知らん間にニューアルバムが出るとのことでインタビューだ。
 それにしてもBURRN!編集部の日本人従業員は、何時になったらJohn Harrellみたいに文字にすると読み応えのある取材ができるようになるんだ?毎度毎度ホント質問内容がクダらない。新章がどうとか・・・。Alexi Laihoは内心、「こんな質問、なんて答えりゃいいんだ?こいつは何が聞きたいんだ?」とでも思っていたんじゃないか。しかしそこは見た目や有名なヤンチャ行動に反してワリと紳士らしいAlexiさん、バカ相手に無難に応対を続けます。お疲れ様でした。
 現在はヨーロッパのメディア相手に、同バンドベーシストのHenkka T. Blacksmithと共に最新アルバムのプロモーションを行なっているのだとか。Janne Warman(key.)とじゃないんだ?
 あちらのプレスの今回のアルバムに対する反応は上々らしく、Children of Bodomを語る際に外せない出世作・HatebreederFollow the Reaperにでも入っていそうな曲があるとか色々、Alexiにとっては「好いこと」を言われてるようで、気分良くプロモーションのために各地を回っているんじゃないでしょうか。正直、ここ最近の数作(Are You Dead Yet?Blooddrunk以降でしょうね、おそらく)に対する反応には気に入らないものがあったことも事実だったようで、それだけに最新作・Halo of Bloodの出来映えについて語るAlexiの口上は読んでいて同作に対する関心を十分に引き起こさせるものでした。
 ただ、他メンバーの働きについては、彼とJanne Warmanとのユニゾンがあることに言及しただけで、Henkka、Roope(Latvala; gt.)、Jaska(W. Raatikainen; ds.)がどんなプレイをしたかについては何もなし。何か一言でもあれば期待度の高まりもより良くなるもんなんだがなあ。
 ただ、ジャケがイマイチ・・・実際聴き出したらジャケが云々アートワークがどーたらまったくどうでもよくなるんですが、個人的には、インタビュー抜きの初見じゃ「買ってみようかな」とはなかなか思えなかったでしょうね・・・。もひとついただけないのがこのタイトル。そもそもCoBのフルレンスアルバムに一見で惹かれるタイトルが付いていたためしがないけどね。特にSomething Wild(1stだし仕方ないとも思えるが)、Hate Crew Deathroll(中身は稀なる力作。俺も大好きです)、Are You Dead Yet?、Blooddrunk、Relentless Reckless Foreverはダサいの境地。バンドに対する評価が低迷している(≠売上が良い)時期にリリースされるアルバムは、ジャケとタイトルからしてダメダメな感じが漂ってるものだ。MegadethのRisk、Cryptic Writings、The World Needs a Hero、MetallicaのLoad、Relod(Loadは曲によってはめちゃめちゃ好き)とか・・・。
 はいBURRN!に関しては以上。あとは読んでまてん。
 で、読んだ順序を遡って、YOUNG GUITAR。なんで手に取ったのかは忘れた。たぶん表紙に関心のあるギタリストが写ってたからなんだろうけど・・・誰だったかさっぱり思い出せん。
 最初に見た記事は、OpethMikael Åkerfeldt(vo. / gt.)とフラワートラベリンバンドって日本のバンドのハゲたオッサンとの対談記事。何故って、開いたらそこだったから。オッサンの名前は全然覚えてない。
 フラワートラベリンバンドの名前は知ってる。曲も、1曲だか2曲だかだけYouTubeで聴いた。そのバンドのボーカリスト(なんちゃらテツって人)が死んだことが切欠で。訃報記事で目にしたんだったか、訃報記事を元にした2chでだったか、凄まじい歌唱力の持ち主だったとのことなので、じゃあ聴いてみようと。
 感想?・・・ぜんっぜん覚えてないです。曲調がサイケだったな、としか・・・。
 今回記事を読んでみて、「そういや俺なんか聴いたな」ってそのときまですっかり忘れてたくらいですから。
 Mikael Åkerfeldtにしてみれば、Ritchie BlackmoreとかTony Iommi(だっけ?Jimi Hendrix?・・・は、もう死んでるし)と対談が実現するくらい緊張を伴う出来事だったようで、オッサンを相手にした彼の発言の和訳が丁寧口調で表現されていたのが印象的だった。
 一応全部読んだけど、取り立てて面白かったわけでもなく。対談記事は両者の内片方だけをよく知ってても面白くないんだろうね、きっと。
 Mikael Åkerfeldtは大好きです。あのキメ細やかな作曲能力と、耳が喜ぶ独特のクセを持つリフ技巧者っぷりには長いことずっと憧れを抱いております。OpethのGhost Reveriesでノックアウトされて以来の縁。最初聴いたときは音の輪郭にエッジが足りないと感じ、また、Mikaelのデスボイスにも小手先でそれらしいものを聞かせているだけという印象がどうしても拭えませんでしたが、曲の構成を覚え、Mikaelの紡ぐ一音一音を耳が拾えるようになり、メタルらしい練られたリフと、妖しくも聴きやすく時に驚くほどブルージーなギターソロの中毒性を吸い込み始め、滴るほどの哀愁を帯びた滑らかな歌声に魅力を覚え、特にMartin Lopez(元ds.)を中心とするリズムセクションの比類なき強力さに気づき、Per Wiberg(元key.)によるオールディーズの香り漂う音色が違和感なく美しくアルバム全体を彩っている様に感動し-と、笑っちゃうほど最初の評価を完膚なきまでに叩きのめして、いつの間にやら所有するCDの内、最も好きな作品のひとつとなっていました。
 で、対談記事を読み終えた後は改めて本を最初から読もうとページをめくると、TestamentEric PetersonAlex Skolnickが登場!スラッシュメタル関係のフェスで来日してたそうです。俺はフェスには食指がそそられないのでどんなフェスだったかとかはどーでもいいです。ただ2人によると、日本人スタッフに機材の管理を任せたところAlexのギターのチューニングがおかしくなったというハプニングもありつつも、演奏の具合は基本的にはとても良かったそう。喜ばしいですね。
 彼らの話で面白かったのが、曲作りをしてもChuck Billyが歌わないと言えばその曲はボツになってしまうということ。和訳の仕方にもよるのだろうが、Alex曰く「検閲」と表現されていた。
 確かにChuckは非常に気が強そうで、自尊心も人一倍固いものを持っていそうではありますが、Eric Petersonにボツを言えるほどの存在であるとは思ってもみなかった・・・。元々Steve “Zetro” Souzaの後任だったのに。なんぼほど昔のことなんじゃいって話ではありますが。
 あとは、Gene Hoglanのドラミングはやっぱり素晴らしいのだと再認識させられました。ヤツはなんでも叩けるのだと絶賛されてましたね。今までのドラマーは、「これはできるけどこっちはムリ」とのたまうヤツしかいなかったそうです。にわかには信じ難い話ですが・・・。基本的に凄腕ばかりが採用されてましたしね。でもたぶん、Gene Hoglan以前でも少なくともPaul Bostaphはそんなこと言わなかったんじゃないかなって思ってます。
 「基本的に凄腕」・・・これに当てはまらないドラマーを挙げるとしたら、いの一番に来てしまうのはどうしてもLouie Clemente(ルイ クレメンテイ; The LegacyからRitualまでのドラマー)になってしまいますよねー・・・。
 でも俺、未だに彼のドラミング大好きです。商品化されたLive in Londonでは、間違いなく「凄腕」に分類されるJohn Tempestaと交代でドラマーを務めましたが、そのままTestamentのメンバーとして再び活動できなかった事情として自身が腕の衰えを告白していた(故にJohn Tempestaとセットリストを分け合う必要があった)ことを実に惜しく思ったものです。
 前にも書きましたが、Testamentに、たとえばGene Hoglanみたいなドラマーは腕前が強烈すぎるんですヨネ。悪い言い方になりますが、Louie Clementeのような芸の無いドラマーの方がこのバンドにはよく合う、と個人的には思っています。昔から技巧派として鳴らしてきたAlex Skolnickはヘヴィメタル以外での活動を求めて他ジャンルに於いて商業的にもキャリアを積んでTestamentに戻ってきたわけですが、じゃあTestamentがToxikとかWatchtowerとか最近で言うとVektorなんかの特徴である、「アヴァンギャルドなスラッシュ」もやるバンドとしてこれまでとは一線を画す存在になったか?というと、そんなことまったくないじゃないですか。Eric Petersonがリフを書いてChuck Billyが歌えばTestamentであるという基本は現在に至るまでまったくブレておらず、横ノリのグルーヴィーな曲は増えはしましたが、脈々と息づく独特のTestament節は不変です。ここに、メタルという音楽の1ジャンルを代表するほどのマエストロが入ってきても浮くだけなんじゃないかと(Alex Skolnickもそれに該当するかもしれませんが、私見として、彼は手癖が増えすぎていて以前ほどプレイにワクワクさせられません)。実際、Dark Roots of EarthでGene Hoglanはドラミングに少量ながらブラストを織り交ぜています。余所のバンドに於いては幾度となく披露してきた彼のお馴染みのテクニックですね。Ericなどの要求があってのことだったのかどうかはわかりませんが、正直Testamentでブラストを聴いても滾ることはありません(ただGene Hoglanはたまたま身体が空いてただけでPaul Bostaphの後任に一時的に抜擢されたんでしょうし、一例とは言えあんまりGeneがGeneが言っちゃうのはよろしくないですね)。やはり疾走感に溢れ、痛快な曲調を最大の特徴とするスラッシュメタルを標榜するバンドとして現在もTestamentのことは見てますんで、「なんでもできる」マンが入ってきてもあまり喜ばしい気分には、個人的にはなりません。Testamentではそういった人の技量が存分に発揮できないでしょう。ヘタクソが入ってくればいいというわけでも決してありませんが。
 だからLouie Clementeはね、いいんですよ。最早Testamentに彼のいない時間の方が、彼がいた時間よりも長くなってしまいましたが、それでもこのバンドがスラッシュメタルの将来を担う一翼として評価が固まるまでTestamentを支え続けた者のひとりだったことには違いありません。Testamentは現在、奇跡的にデビュー当時のメンバーにLouie Clementeひとりを欠いたラインナップで活動していますし、今ここにLouieが帰ってくることになっても十分色んな面でサマになるんじゃないかな、と思うんですけどねえ。後任がスーパーな人たちばっかだったら相対的に評価され辛い地位に陥ってるだけですよ、きっと。そもそもTestamentはEric Petersonが曲作りの舵を取ってる限り、よほど技量に乏しくないのであればなかなかドラマーが務まらないようなバンドじゃないはずです。John TempestaにGene Hoglan(Demonicにも参加経験アリ)、Paul Bostaph、あと俺は好きじゃないけどDave Lombardo・・・知名度や演奏力への評価の質という点に於いては、Louie Clementeは不利すぎですね。
 そういえば、今のツアーでGeneが叩いているとEricが言っていましたが、あれ、脱退して今はMark Hernandezが臨時ドラマーやってんじゃなかったっけ?いつインタビューされたものだったのかな・・・。
 さてTestamentのドラマーについてはここまでにするとして、他には、2ギタリストによるTestamentでの己の役割を真面目に分析しつつ語っていた件も読み応えがありました。Testamentくらいビッグなバンドのベテランたちでもこんなことを考えつつ演奏しているのかと少々驚きましたが、地位にあぐらをかかないその姿勢は全く以って保ち続けて然りであり、謹んでお手本にしたく思いますね。
 実は前出のスラッシュフェスに出演したいくつかのバンド相手に行われたインタビューが記事になっていて、Testamentの他には、Death AngelDestructionのものを読みました。特に理由もなく先にTestamentのギタリストたちへのインタビューについて書きましたが、次にDeath Angelを話題にしてYOUNG GUITARについては〆たいと思います。DestructionのMike Sifringerのインタビューは、Destructionにあまり思い入れがないこともあるのでスルーします。Schmierの歌はスゲエ好きです。

Death Angel, Truce; Mark Osegueda, Ted Aguilar, Rob Cavestany, Damien Sisson, Will Carroll
ビデオ・TruceRelentless Retribution収録)より

Mark Osegueda - vo.
マーク アセゲーダ
Ted Aguilar - gt.
テド アギラー
Rob Cavestany - gt. / vo.
ラブ カヴェスタニ
Damien Sisson - ba.
デイミーアン スィサン
Will Carroll - ds.
ウィル カラル

 俺はねぇ、このバンドのねぇ・・・Mark Oseguedaがちょ~~~~~~~~~~~~~~~~~好きなんだあー!!!
 スラッシュメタル界隈で一番好きなボーカリストを挙げよって言われたら、Chuck BillyにするかMark Oseguedaにするか悩みに悩みますね。どちらも最高にカッコイイ・・・けど、Chuck Billyは不摂生がたたったのか癌の影響からなのか明らかに近年パワーが落ちてきているので(そもそももういい年か・・・)、Mark Osegueda、かなぁ・・・。ついでに両者共歌唱スタイルのみならず容姿も凄く好きですが、Mark Oseguedaが今している、激ロングのドレッドヘアをおさげでまとめるという髪型、これが超カッコよくて滅茶苦茶ツボ。珍しいヘアスタイルじゃないんだろうけど、Mark Oseguedaがやって見せてくれたってのが重要なんだろうな、俺にとっちゃ。
 コイツはライブでも凄まじいんだ、コレが。録音・録画されたものがどんくらい加工されてるのかはわからんけど、昔よりも遥かに今の方がかっこいいってのは、ホント、それだけで称賛に値することだよね。私は無類のスラッシュメタル好きですが、昔のDeath Angelは軽すぎてちょっと聴けません。今も今で、Testamentと同じく横ノリの曲がかなり増えたこともあって時にはウンザリすることもあるんですが、そういった曲でも第一に聴覚に刺激を与えるMark Oseguedaの山と谷がはっきりしたボーカルラインが堪能できるとなれば、招かれざるリズムのノリには目をつぶろうという気になるもの。
 最新作・Relentless Retributionからは、なんと言ってもClaws in So Deepが珠玉のデキ。そもそもDeath Angelとしてどうか、Relentless Retribution収録の1曲としてどうかってよりも、これまでに耳にしたメタルソングの中でも特に離れがたい魅力の強さを感じる曲のひとつです。このアルバムではギタリストのRob Cavestanyもボーカルを取る曲があるのですが、Claws in So Deepは違うらしくて・・・しかしサビがどう聴いてもMark Oseguedaが歌ってるように聞こえない・・・。そんな引っかかる点があることも、入れ込み具合が薄れないための要素のひとつですw
 Death Angelが、元はフィリピン系アメリカ人だけで構成されていたことは有名だと思いますが、おそらく、メンバーの内何人かがなんとか系、ではなく、全員の出自がアメリカでないことに特異点があるということでこのバンドの大きな特徴のひとつになったのだろうと思います。現在のベーシストとドラマーは両者共に白人であり、この点をRob Cavestanyと相棒のTed Aguilarが冗談交じりに話題にしていたことが微笑ましかったですね。おどけての発言ではあったものの、人種差別という言葉も飛び出していましたが、System of a Down(メンバー全員がアルメニア系)、Anthrax(Joey Belladonna(vo.)、Frank Bello(ba.)、Charlie Benante(ds.)に加え、Dan Spitz(元gt.)の後任にRob Caggianoが入ったことで、現在はScott Ian Rosenfeld(gt.、ユダヤ系)以外イタリア系)、Bon Jovi(イタリア系のJohn “Jon Bon Jovi” Bongiovi(vo.)、ポーランド系のRichard “Richie” Sambora(gt.)、ユダヤ系のDavid Bryan Rashbaum(key.)、キューバ系のHector “Tico” Torres(ds.))みたいなのもいるんだから、全員が非アングロサクソンでもまったくどうこう言われる筋合いないよね。特にバンドのメンバーが全員ヒスパニックってのはかなりいそうだなと思うんですが、他民族ではアメリカ合衆国との関わりが建国以来最も深い連中なので今更話題にならないだけですかね。いや有名バンドにそういうのがいないだけか、単に俺が知らないだけ?
 Death Angelギター隊の話題は主に、昨今のヘヴィメタル界でベテラン勢、若手勢が共に活躍することについてでした。特にTed Aguilarの方が積極的に新参については評価する姿勢を見せていたことが印象的で、Testamentに於けるEric Petersonと言えるRob Cavestany、Chuck BillyにあたるMark OseguedaがDeath Angelの中核を担いつつ、Ted Aguilarの様に新風を呼び込める可能性が見込める人材には今後のDeath Angelの躍進を願いつつ大いに期待したいところですよね(Ted AguilarはMarkやRobと同じく、そのスペイン語由来のような姓もあって一見フィリピン系に思えるが、純サモア人)。また、Rob Cavestanyの発言から察するに、Damien SissonとWill CarrollはDeath Angelとしての参加第一作目となったRelentless Retributionからツアーを経てDeath Angelでの必要性も増し、バンドの一員としてもだいぶ馴染んだようなので、彼らにも色々と面白い要素をDeath Angelに吹き込んでもらえれば言うことなしなんですけどねえ。
 で、具体的には、私としてはClaws in So Deepに並ぶ、或いはできるもんなら(笑)超える力作を期待するところのDeath Angelですが、現在新たなアルバム製作に向けて作曲中とのこと!・・・なんですが、なんか非常に重くて暗いものになるそうで、このコメントになんとも言えない不安を感じずにはいられないんですが・・・。
 「暗い」ってのはどういう作風を指すのか、捉え方次第でDeath Angelとしては受け入れ難いものになる可能性が無きにしも非ずといったところですが、たとえば私はHelloweenの、メンバーも100%認める暗さが同バンド史上かつてないほど極まったThe Dark Rideに対して、「ダメ」の反応が初めて聴いたときから己の中に一切生じませんでした。今でもかなり好きなアルバムです。Special Thanksの欄に"No Friends, No Thanks..."と書いてしまうほど精神的に参ってしまったAndi Deris(vo.)のアルバム制作時の心境やバンドが置かれた環境に思いを馳せると、諸手を上げてこの暗さを歓迎というわけにもいきませんが、Children of Bodomの件でも書いたように、いざ聴き出したら信じていいのは音だけです。
 Helloweenの傑作と言えば、と反応を集めるとMaster of the Ringsを多くの人が挙げるみたいですが、俺はあんま好きじゃないです、このアルバム。これ聴くならThe Dark Ride聴きますね。おまけにMaster of the Ringsに対する完全な上位互換として個人的に認識しているThe Time of the Oathの存在感が無視できません。曲単位だと、Sole Survivor、Where the Rain Grows、Take Me Home、Still We Go、Mr Ego (Take Me Down)なんかがお気に入りとして挙げられるんですが・・・。Mr Egoを気に入っているあたりが、The Dark Rideが琴線に触れることに通じますかね。Better than RawでもHey Lord!、Handful of Painなんか好きな方ですねえ。勿論、Push、Falling Higher、Revelation、Midnight Sun、そしてLavdate Dominvmには敵いませんが。もうホントね、Revelationを聴く度にHelloweenの損失は大きすぎたな、って思いマスヨ・・・嗚呼Uli Kusch(元ds.)。
 未だにDani Löbleのドラミングは好きじゃないんですが、以前あるBURRN!のインタビューを読んで、少なくとも彼のプレイスタイルに対する理解はできましたよ。このBURRN!は持ってるので、理解の基になった当該箇所を一字一句そのまま引用致します-

“もしも俺が手の込んだスティックの技や変わったドラム・ロールを披露したりしたら、観客は退屈してしまうだろう?(中略)俺は、ジャズ・ドラマーやプログレッシヴ・ドラマーみたいに変わったドラム・パターンを叩くのは嫌いなんだ。もっとパワフルなサウンドにしたい。俺にとってはそれが一番大切で、ステージでよく響くグルーヴやビートを叩きたい。AC/DCみたいなシンプルなグルーヴを出せば、サウンド・エンジニアがいい音にするのも難しくないだろ。というわけで、観てる人達にパワー、エナジー、そして楽しいひとときを提供するというのが俺のアプローチなんだ。”(2013年2月号25ページ、インタビュアー: 大野奈鷹美)

 シビれますね!Ingo SchwichtenbergとかUli Kuschのドラミングの方が俺はやっぱり好きではあるけど、Daniがどういうこだわりを持っているのか、何故あのように叩いているのか、前面に出すべき彼自身の個性はどんなものなのかがこの発言に集約されていて非常にわかりやすく、彼のことは「人」としては間違いなくこれをきっかけに好きになれました。エンジニアへの言及もすごく好感が持てますね。客に届く音を最終的につくるのは彼らですもんね。自分のやりたいことを素直にやり、且つその演奏がいい音として聴き手に届くために必要なものも見据えた上でミュージシャンやってると。当然のことなのかもしれませんが、こういうことを言っているミュージシャンはドラマーでは初めて見たので感嘆の度合いもひとしおです。あと、彼オッサン面だけど古参メンバーよりも結構若かったんですね(笑)。関係ないんだけどSascha Gerstner(gt.)、ヒゲ似合ってないよ・・・Rabbit Don't Come Easyのインナーで見られる短髪の爽やかな青年の頃に戻れとまでは言わないけど、ちょっと外見がモッサリし過ぎだ・・・おまけに右腕刺青だらけになっちゃってるし・・・。
 そうそう、このSascha Gerstnerについて、彼自身でなくAndi Derisが面白いことを言ってました。俺が何故Dani Löbleのプレイがあまり好きではないかということに関わるので、これも引用してみたいと思います。Marcus Grosskopf(ba.)、Sascha Gerstner、Michael Weikath(gt.)をHelloweenのソングライターとして評したAndi Derisの発言から-

“サシャは21世紀のテクニカル・ヒーローだ。だから、彼には注意しておかないとね。さもないと物凄く複雑な曲を書いてきて、誰もコピーしてプレイ出来ないようなメガ・スーパー・バンドになってしまうよ。俺達はそんなものになりたいんじゃない。ちょっと練習すれば誰もが弾けるようになる曲をやりたいんだ。だから、常にテクニカルなスーパー・ギタリストのサシャには、HELLOWEENはスーパー・バンドじゃないってことを言い続けないとね。パーティーしてヘッドバンギングして、皆で楽しむほうが大事なんだって。俺としても、ただじっと聴き入るようなバンドよりも、そういうバンドにいるほうがいいし。(中略)さっきも言ったように、彼は21世紀のスーパー・ギタリストだから、4分50秒は弾きまくる。超複雑で、もしかすると超面白いのかもしれない。誰もが感心するかもしれないけど、それはHELLOWEENのコンセプトにはそぐわないだろう。だから彼には「強力なのはこのパートだ。お前の強みはそこにあるから、このパートをプッシュするんだよ。ここのリフレインをもっと磨き上げて、ここのパートはもっとシンプルにすべきだ」と伝えてやらなければならない。”(同上6ページ、同インタビュアー)

 やたらめったらテクニカル&プログレッシブなことやってりゃいいんじゃないぞと。そもそもHelloweenはそういうバンドじゃないんだと。
 元々ポップなメタルバンド(Pinc Cream 69)でボーカリスト&メインソングライターを務めていたAndi Deris。彼の加入当時にはテクニカル志向のRoland Grapow(元gt.; ヘッコ時代はよくヘタだと言われてますが、そうですかねぇ?良い音でギターソロが録られていたためしがないので、そのせいで余計荒く聞こえていたんじゃないですかね。なんにせよスタジオでも安定しないプレイを披露してあまつさえそのまま録音してしまうMichael Weikathに比べればずっと聴き心地が良いです)とUli Kuschがいたわけですが、Andiのポップスタイルは崩れなかったし、彼の作風はヘッコの新たな「顔」になりました。
 Daniのプレイスタイルは、こういうAndiのこだわりに実によく合ってますよね。俺は曲中の濃厚で、かつある程度長く披露されるテクニカル成分に惹かれるタチなのでDani Löbleのスタイルがいまいち合わないわけなんですが、そもそもHelloweenはイントロからアウトロまでフル・テクニカル・マラソンで頑張るバンドじゃないし、期待するだにムダなんですね。他あたれと。それは俺もわかってるんですが、前任が「あの」Uli Kuschでしたからね。やけにシンプル&ヘヴィを身上とするドラマーが入ってきたなと、なんだか未だに場違いなヤツがいる印象が拭えずにいます・・・。
 ところでSascha Gerstnerって本当に「21世紀の」って枕詞を付けていいくらいウマいんでしょうか?現代若手ギタリストの代表格のひとり、Gus G.の、あるとするならその凄さってもんが私にはまったくわからないので、俺がSaschaの真の魅力に気づけていないだけなのか。彼がいた時期のFreedom Call聴いた方がいいかな。
 恒例の脱線に入ってしまいましたが、Death Angelの新作ですね。元々明るい雰囲気の曲が多くないバンドなのでRob Cavestanyあたりがそういう作風を身上としているのでしょうが、「暗い」とはっきり言われると、ただでさえ暗い曲が多いのに更に陰りが濃くなると最早「不気味」になりそうじゃないですか?ただ、Relentless Retributionの中でも曲調の暗さが目立つClaws in So Deepみたいに、「明るさが微塵もないところがイイ」って場合もあるから・・・方向性や完成品としての質として一概にヤバそうと言い切れない。
 次に「重い」ってのも、これ以上のものになると歓迎しかねますねぇ。今が実に丁度いいレベルだと私は思ってます。今のTestamentとかExodusくらいになるといきすぎ、対してDeath Angelは非常に心地良い質感を保っているところが最大の魅力のひとつであると言いたいのです。このおかげで、過剰な何かが音楽の本質的な魅力を厚かれ薄かれ覆っているような感覚を覚えることもなく安心して聴いていられる。おっとそれはのんびり聴く対象になってるとか、頭が振れないってことじゃないゼ。昨日は勉強しながら聴いてる内にテンションがだだ上りしてしまって、首振りまくりで勉強のために利用してたPCのディスプレイがまったく見られない状態のまま、キーボード上の両手の位置だけに気をつけつつポチポチと打ってました。上半身をブルンブルン振り回しつつタンタンタンと滑らかに打つのはさすがにムリで・・・。今日マジで首痛いんです。朝はそんなことなかったんですけど、筋肉痛の如く昼過ぎてからキてビビったわ。
 Mark Oseguedaの鋭いボーカルがこのバンドを大衆的なメジャーバンドに脱皮させない要因のひとつだと思いますが、同じくベテランスラッシュメタルバンドであるTestamentやExodusなんかを聴いているときよりもDeath Angelを聴いているときの方が、彼らが名実共にビッグであるかどうか関係なく、もっと直感的に音楽の良さが身に染みる瞬間が矢継ぎ早に生じるんですよねえ。
 Mark Oseguedaの年を取ってもキッズじみたパワフルさにベテランの貫禄溢れる安定したインパクトが抜群に心地良い歌唱、どんな曲に於いても独特で印象的なボーカルライン、バックには誰ひとりとして技能についてはメタル界で目立つ立ち位置を確保していない(笑)、故にこれ以上ないほどDeath Angelにピッタリな楽器隊。
 Death Angelはイイんだ。
 なんだかんだで新作も凄く楽しみです。たぶん今年中には出るでしょう。それからHeathenの新作も早くー!

 ・・・で、まだGuitar Player誌の話題が残ってることをここに至るまですっかり失念しておりましたが、なんかDeath Angelについて書けたことでブログの内容について満足しちゃったんでもうイイです(笑)。表紙がEddie Van Halenだったから手に取りました。中身は速弾きで有名なギタリスト特集でした。Guthrie Govanがシュレッダーと呼ばれることが大嫌いだと言っていたのが印象的でした。
 オシマイ。

2013年5月12日日曜日

ニコニコ動画観ながら&聴きながら言語の勉強

 前回の、ニューエクスプレス ラトヴィア語を話題にした記事へのアクセス数が当ブログでもかなり多い方になってきています。
 結構注目度の高い刊行だったのかな。前回も書いたけど、日本語で書かれた入門書としては本邦初の筈だからね。
 ただ、この本を検索して、注目される可能性の高い位置に出てくるサイトのひとつがこのブログってのがなんともね・・・恥ずかしいやら申し訳ないやら。なーんも実のあること書いとらんしね。
 出ますよ!ってだけでなく、ラトビア語はこうこうこういう言語で~って続けられればアクセスした甲斐があったかもしれないのに。まぁそこは俺がラトビア語についての知識が、どっかのサイトを2、3巡るだけで身につけた程度のものしかないからね、ここにアクセスした人たちとそう変わらんほどにしか俺はこの言語のことを知らんのではないでしょうか。ラトビア語に興味を持つ人の大半はリトアニア語も知ってそうだし、俺よりも遥かにバルト系言語について造詣の深い人も相当数いらっしゃったかもしれません。
 今は言語の学習書片手にどの言語についても基礎もド基礎なことしか学んでない俺ですが、ゆくゆくはね、学者みたいなことやってみたいなって思ってるんですよ。何やって食べられるようになるか知らんけど。
 趣味は生業にするなとは言いますが、それでもやっぱり己の得意分野でカネが稼げるってとっても素敵なことだと俺は思うんです。
 そうやって稼ぎを得たことがない人間故の浅はかな考えに過ぎないのかもしれませんけどね。
 さて最近の俺ですが、専らニコニコ動画観ながら&聴きながら言語の勉強してます。
 「言語の勉強」よりも先に出したいのがニコ動なんですよね。
 ホント、面白いもんつくる人がこんないるもんかと、感嘆せずにはいられませんね。
 このブログでは、YouTubeで活動するSENEKALT(の、主に、見事完結したBreath of Fire IIIゆっくり実況)について取り上げたときにちらっとニコ動で楽しみに観ている動画を挙げたときだけじゃないっすかね、今までにニコニコ動画の名前出したの。
 俺がニコ動を知った当時は、まだアカウントを取得しようと思っても捌ききれない長蛇の列の最後尾に並ぶが如く易々とは適わないときでした。
 観てみたいなとは思ってもアクセスできないんじゃどうしようもないし、そもそもどういうサイトなのかよく知らなかったこともあって興味はあれどさほどその程度が強くなかったが為にいつの間にかアカウントの取得については考えないようになっていましたが、それからやや経って誰でも即座にアカウントが得られるようになってから俺も無事ニコ動で遊べるようになりました。
 それまではネットでの遊び場といえば主に2chでしたが、今はもう滅多に書き込みしてませんね~。閲覧は続けてますが。専ブラのJane Doe Style使ってます。これ開発した人はホントに偉大。初めて使った専ブラはギコナビだったなあ、うわ~懐かしい。未だにちゃんとこの名前覚えてる俺にオドロキだ。ギコがアニメーションで動くのが好きだった。なんでJane Doe Styleに乗り換えたのかは忘れたな。かちゅ~しゃとか、他にもいくつかちょっと触ってみたっけ。まだ残ってるのかしらと検索してみたら、もう開発は更新されてないのね。開発者がソースを紛失したとか、ホンマですかぁ~?って、俺は思わずにはいられないんですが。
 俺、本名の名の方が漢字1文字・平仮名3文字なんですが、ニコ動に本格的にハマる切欠を与えてくれたユーザーが4名いて、その人たちもユーザー名が仮名で3文字なんですよ。なんか縁みたいなもんを感じましたね。
 ちなみにミノルくさやアンリすぎるです。この内アンリだけ本名らしい(アマガミやDQ3実況での発言による)ですが、表に見える名前が3文字だってだけで縁を感じるには十分です。ただ最近、この4人誰もが新しい動画を投稿してないのが残念ですね。
 この人たちを知ったお陰で、ユーザーに注目するということを覚えました。SENEKALTを知ったのはニコ動で遊ぶことを覚えた後、ゆっくり実況というものが存在することを知った後なので、ニコ動がなかったらSENEKALTというユーザー自体に注目することはなかったかもしれません。
 ニコ動では、最近はなんといってもわかめすーぷが好きです。ダントツ。面白すぎる。天才でしょこの人。既存のものを組み合わせてるだけなのに傑作揃い。この人の動画観ちゃったら、もう他の兄貴と会話させる系のやつは楽しめません。投コメで字幕をつけてるのも完成度の高さに一役買ってます。
 他、最近ヘビーローテーションで閲覧してるのはknbnitkr。現行更新されてるシリーズがロマサガ3とFF5のものだからね、勿論動画のつくりのうまさ故に半端でない面白味があるわけですが、やったことのあるゲームってのはやっぱ他のものより強く注目してしまいます。質の高いTAS動画が代表作のようになっていますが、蓄積された経験を基軸に最早人力で乱数に介入するほどの存在となってしまったこの人のロマサガ3の、特にサンディーヌ戦とこれに関連する行動は、編集の巧さも相俟って、これ以上ないほどの強烈な見応えがあります(戦闘内容としては次元断で瞬殺してるだけですが・・・)。FF5は次のソル カノン戦が非常に楽しみですね。即死攻撃はしてこない相手ですが、刻々と失われる体力ではもたないほどパーティ側の火力がショボイわけで、一体TAKEをいくつ重ねることになるのか・・・。思いもよらない頭脳&面白プレイを否が応にも期待しちゃいますね!
 以前話題にした「まったく成長しないFF6」を投稿していたmntnの新シリーズ(といってももうそれなりのパート数を重ねているが)、FF8ノーダメ縛りプレイ動画も楽しみに観てます。FF6のものはコミュ限動画になっちゃって、突然観られなくなったときには愕然として、しかし動画自体が削除されたわけではないことを知ったときには安心しましたが、コメントがすべて消えてしまったのが寂しいですね、やっぱ。あれあってこそのニコ動だと思いますし。ちなみにこの動画を見るためにコミュニティに登録したことに端を発してコミュニティを利用することを覚えました。俺、今まですごい浅くしかニコ動を利用してなかったんですね。
 あと、最近、と言ってもつい2日前ほどなんですが、トルクってユーザーのArc the Lad IIノーダメ縛りプレイ動画を見つけまして、これがすごい面白い!特にArc the Lad IIをゴリ押しでクリアしちゃった人には是非観て欲しい。俺が正にそうでしたんで、戦略性の高さに感動しました。最序盤のアルフレッドとの第2戦目からして既に目からウロコの内容です。ふつう、仲間とかスキルが充実してくる頃から本当に面白くなってくると先に考えちゃうじゃないですか?この人の縛りプレイは、ただキャラを移動させることからして行動のひとつひとつにまったくムダがなく、遥か先々のことまで考えて先述の戦闘から細かく経験値稼ぎをしてるんですよ。「ここでレベルを上げておきます」とか「ここで○○が△△になります」、「○○を△△にします」とかさらりと字幕で出てくる瞬間にいつもワクワクさせられます。一体どんだけ緻密なテストプレイを繰り返した末の動画作成なんだろうとただただ驚くばかりです。また重要なこととして、説明が非常に丁寧なことが挙げられ、これのお陰でプレイが何倍も興味深いものになっていると言わざるを得ません。そして縛りプレイ界隈ではお馴染みの、理不尽なほどのリセット&ロードの嵐・・・これまた序盤に登場するヤゴス島のヴィルマー博士の家での戦闘に於ける失敗ラヴィッシュの連続には言葉が見つかりませんでしたよ・・・。勿論爆笑モノでもありましたけどね!
 さてまあニコ動についての話題はここまでにしといて、次に最近の私の言語学習について。
 カネがないってのに本は増える。増えた。
 色々あるんですが、特筆すべきものとして、現代ビルマ(ミャンマー)語文法(岡野賢二 著)、ニューエクスプレス カンボジア語(上田広美 著)、ニューエクスプレス・スペシャル ヨーロッパのおもしろ言語(町田健 監修、著者10名)、あと、大分前に買ったのですが話題にしてなかったものとして、タイ語の基本 初級から中級まで(吉田英人 著)があり、以下、これらから得た知識を軸に話をしてみたいと思います。
 ビルマ語(ビルマ、ミャンマーの名のどちらを使うかについてですが、軍事政権を認めるか否か云々よりも、個人的には言い易い方を使いたいので、ビルマと言っています。ちなみに俺はアウンサンスーチーは嫌いです。自宅軟禁なんて軍事政権の名折れ、ヌル過ぎ、さっさと殺せ。活動に制限はあってもその間にも後継者は数多く育ってしまうんだよ)のものは、以前バイトしていた本屋に長らく置いてあって、買われたのか返品されたのかはわかりませんがある日忽然と姿を消してしまい「買っときゃよかった!」と後悔して以来ずっと欲しかったものです。CDは付いてません。つくりは非常に丁寧で、国際語学社らしいブアイソさが堪らんね。独習用の本としては向いてないと思います。俺は内容を丸暗記してやろうというくらいのつもりで挑んでます。基本的に字母に曲線が多いので非常に書き辛いですが、なんとかガムバってます。
 で、ビルマ語がどうとかよりも、本に記載されているビルマ文字の書き順に影響され、俺の文字の書き方がこれまでの人生に於けるそれとはガラリと変わったことの方が実は重要です。簡素であるが故にさして書き順などにはさほど関心のなかったラテン文字の扱い方もまったく変わってしまいましたから。いつか実例を用いて話題にしてみたいですね。
 次にカンボジア語(これまたカンボジア、クメールのどちらを使うかについてですが、私は日本名の「カンボジア」を彼の国の名として是としてきましたんで、これからも「カンボジア」で通したいと思います。ただ、カンボジア語の文字は「クメール文字」とふつうは言うようです。余談ですがカンボジア語で言う「カンボジア」よりも「クメール」の方がカンボジアでは同国関連のものを指す語としては一般的)ですが、一旦は2課まで進んだものの、ページを遡り、今は改めて文字を覚えることに腐心しております。書けると非常に楽しい。特にkɔntrai(鋏)という語の字面が気に入っています。ブラーフミー系のクメール文字は、上下左右構わず文字やら記号やらがくっ付く仕様になっており、それ自体はもうお馴染みなんで取っ付き難さなんて微塵も感じませんが、くっ付き方が滅茶苦茶独特で、その難儀さは、個人的所見として、これまでに学んだ同系の文字、デーヴァナーガリー(サンスクリット、ヒンディー語、ネパール語)、タミル文字(タミル語)、チベット文字(チベット語)、タイ文字(タイ語)、ビルマ文字(ビルマ語)を書く際のそれを遥かに凌駕してます。たとえば前述のkɔntraiをクメール文字で書くとimageであり、どう読むのかを説明すれば、左から見て先頭のキリル文字のПにティルデが乗っかったような一文字でkɔ、次の記号がai、その次の平仮名の「し」みたいなのがr、最後尾のラテン文字の「S」みたいなものがn、その下にきている文字がtなのです。これを踏まえてラテン文字で表現してみると

kɔ ai r n
            t

 と書かれているが如くであります。
 Cai(C = consonne / 子音字)と書こうとすると「ai」にあたる記号がCよりも先にくる形となるのはタイ文字やタミル文字なんかでも同じですが、ある子音の後に置かれているそれとは別の子音が前者よりも先に綴られる例は見たことがありません。慣れるとなんでもないどころか表記システムの複雑さを支配することによる快感が凄まじくなってくるのですが、この字形状の特殊性の為、1ページ内にカンボジア語だけを綴っている場合は勿論、他の語との共存についても、空白の残存に目をつぶる必要があります。デジタル上での処理も難しいみたいですね。ブラーフミー系文字全般に言えることですが。しかしタイ文字なんかは今やネットでまともにその表示が処理できていない様を見ることはまずありません。やはり国際的に大なり小なり影響力があったり、名が知られている国の言語、もしくはそういった国の言語の特徴に近かったり、その言語と同系統に属していたりする言語は、あらゆる点からその研究の進捗が著しいという絶大な利点を有していると言えます。あとは言語学者が注目してくれるかどうかにかかっているんじゃないでしょうか。たとえばリトアニア語が理論上の印欧祖語に現在にあっても近似した特徴を有しているとして注目を浴び出したのはそう昔のことではないらしいですし。で、リトアニア語に目が向けられれば、共通の語派に属するラトビア語の研究も進む、と・・・。ラオスは言葉を選んでみたところで国際的重要度の高さがある国家とは言い難いですが、タイ語と同系統の言語なので、タイ語研究で積もった成果が、ラオス語が世界に知られるようになった要因のひとつになったんじゃないでしょうか。いや・・・まぁまったく憶測ですけどね。
 ビルマ語には声調があり、カンボジア語にはありません。
 で、声調のある言語がそれを視覚的に明示する機能のある正書法を採用している場合、綴りを正しく覚えるにあたってはその再現に常に多少の不安が付き纏うものです。特に、俺みたいな音声面での学習を疎かにしている人間はね・・・。
 タイ語もそんな言語のひとつです。
 声調は平声(e)、低声(è)、下声(ê)、高声(é)、上声(ě)の5つを数え、字母の上に何も書かないか、或いはマイエーク(x่)、マイトー(x้)、マイトリー(x๊)、マイチャタワー(x๋)の各記号を乗せるという5つの手段によって綴り上、表現されます。そして、これらの記号が常に特定の声調を示しているわけではないところに、タイ文字で書かれたタイ語の正しい音読の難しさがあります(実際には声調の判断に留まらない悩ましい難読性があって、黙字が少なくないとか、インド系の言葉には不規則な読みが要求されたりとか・・・これらについてはいつか機会があればね)。
 字母は低子音、中子音、高子音の3種類のいずれかに分類され、どれがある語の先頭に来ているか、そしてそれが含まれる音節は平音節であるか促音節であるかでその音節、ときにはその語全体の声調が決まります。
 たとえばง่าย(ンガーイ; 簡単な)とกี่(キー; いくつかの)は共にマイエークを持つ平音節の語ですが、声調は前者が下声(ŋâai)、後者が低声(kìi)であるという違いがあります。それぞれの語の先頭が低子音、中子音であることがその原因です。
 俺の勉強法としては、先ずはラテン文字で記された音を覚え、次にタイ文字による綴りを覚えています。どう記されていようが言葉は言葉なので、現時点で簡単に覚えられる方を優先しています。これはカンボジア語なんかでも同様です。
 この「中子音」などの性質に似た特徴で、クメール文字にはA子音字とO子音字という分類があり、字母がどちらに属しているかでそれに付記される母音記号の読みが変わります。これが非常に厄介です。字母の分類の数自体は即ち2つなのでタイ語のそれよりも少ないのですが、カンボジア語の母音記号はこれが付記される字母の分類にその読みが影響される点がタイ語とは決定的に異なり、また基本的な母音の種類、母音記号の数がタイ語のものよりもかなり多いこともあって、大変覚え辛い為です。そして更に、属しているのがA、O、どちらであるかに関係なく、母音記号の読みを決定できない字母があります。もうなんなのって感じですが、先のkɔntraiを例に取って見てみると、末尾の「-ai」という母音は、直前の「-r-」ではなく、「-t-」によって決定されている音です。「-r-」を示しているこのクメール文字には母音記号の音価を具体化させる機能がなく、もうひとつ遡って「-t-」の性質に頼る、そこまでして原語表記で2番目に置いてある記号は「-ai」の音を持つと認識されるのです。もしこの「-r-」が母音記号の音価決定に効果があったならば、これがO子音字であることから、末尾の母音は「-ai」ではなく「-èi」(èはニューエクスプレスでの表現で、狭いeを弛緩させた音)となっていました。「-r-」に先行している「-t-」はA子音字で、且つ付随する母音記号をなんと読めばいいか教えてくれる存在なので、この語の2音節目が含む母音は「-ai」であるというわけなんです。ただ、母音記号の音価を具体化させるというこの機能を欠いているのは、すべての鼻音字(ŋ、ɲ、2つのn、m)、並びにすべての流音字(rと2つのl)だけなので、覚える手間がさほどないことが救いです。
 一方、タイ語の母音の示し方はと言うと、基本的な9つの母音、これの長母音、二重母音とその長母音、更にこれらに末子音が続く場合といった具合に50ほどありますが、殆どの記号が使い回しされることによって成り立っているので、記号の数自体は多くなく、そして低子音、中子音、高子音という字母の分類は母音記号が持つ音価になんら影響を及ぼさないので、「子音+母音」という組み合わせはクメール文字よりも遥かに早く読めるようになります。少なくとも俺はそうでした。ただ、字母の数はタイ語の方が圧倒的に多く、複数の字母が共通のひとつの音価を持つ例もよく見られるところには慎重に注意を払いつつ字母毎の読みを覚えなければなりませんね。異なる字母が同一の音価を持っていることはクメール文字にもある要素ですが、T段が2つ(なので先に書いた通り、nを示す文字が2つある)とlが2つあるだけなのでしれたもんです。まぁ難読性についてはどっちもどっちって印象を持つ人、実際持っている人もいるかもしれませんが、それでも私はクメール文字の方がずっと面倒臭いと思います。そもそも字母同士の組み合わせからして・・・。
 ニューエクスプレスシリーズの構成上、カンボジア語の母音記号は一覧表として少しの説明とともにただ載せられているだけであり、効率の良い覚え方を積極的に考案することが欠かせません。漫然と眺めていて覚えられる言語的な規則では絶対にないでしょう。ただ、字形的にはタイ語の母音記号とその読みが参考になるものが結構あるので、タイ語の綴りに先に堪能になるとクメール文字に割と早く馴染めるかもしれません。タイ文字とクメール文字は異なる文字なので似てはいても「まったく同じ」ということはないでしょうが、相互に似ているものはまったく同じものとして覚える方が近道になるでしょう。どちらがどちらを参考に整備されたんでしょうかね?もしくは別の由来か。
 さて最後に「ニューエクスプレス・スペシャル ヨーロッパのおもしろ言語」について。
 扱われている言語は、アブハズ語フリジア語(北フリジア語 東モーリング方言)、ルクセンブルク語フェロー語(同書での呼称は「フェーロー語」)、オック語(同書での呼称は「プロヴァンス語」。俺はかつて同言語をオック語として学んだが、「プロヴァンス語」の方が馴染みやすいでしょうということで本ではそう呼ばれている)、ソルブ語(上ソルブ語)、エストニア語バスク語、付録としてロマニ語(ヴラフ系ロマニ語; リンク先のWikipediaは何系のロマニ語で書かれているのか当然わかりません)です。1言語3課ずつページを割かれていますが(課毎に付随する文法解説は基本的にエクスプレスシリーズだと2ページずつだが、この本は4ページ以上費やされている場合も有り)、最後のロマニ語だけは文法規則や諺の羅列になっています。とはいえ、この諺がかなり面白い。日本語でもそうだが、諺には教科書的な規範表現しか知らない者には意味を推し量れないことが往々にしてあるので、諺の掲載は是非色んな言語の多くの語学書でやって欲しいと思ってるんですがねぇ。また、ロマ二語の紹介は付録とはいえ、ちゃんと付属CDへの音声の吹き込みもあり、話者が世界各地に散在している上に所謂標準語がないという特徴がある為その解説は実に濃く、読み応えたっぷりです。むしろ他の言語よりも内容は小難しいかも。
 今重点的に読んでいるのは、上述の言語名の内わざと最初に持ってきた4つ、アブハズ語、フリジア語、ルクセンブルク語、フェロー語です。同書内ではアブハズ語、エストニア語、ソルブ語・・・と続いています。
 アブハズ語(аҧсшәа アプスシュア)は北西コーカサス諸語に分類され、グルジア語を擁するカルトヴェリ諸語(=南コーカサス諸語)と同じコーカサス系の言語です。グルジア語に似て(系統的な相互関係は現在不明とされています)動詞の形態が複雑であることが特徴のひとつとして挙げられます。
 しかしそういう文法的に高度な要素よりも、個人的に「なんじゃこりゃー」と思わされたのは、見たことのないキリル文字の数々でした。
 弁別的に区別される子音が58個あり、これを表現すべく基本的なキリル文字にちょこちょこ改造が施されたものが字母として加わっています(参考にして、どうぞ: http://en.wikipedia.org/wiki/Abkhaz_alphabet)。母音字はロシア語を知っていれば新たに覚える必要のない文字だけですが、ыは/ə/を表しています(ロシア語では中舌のi)。この発音とは関係なくəがあり、これはおそらく大抵の言語で母音として扱われていると思いますが、アブハズ語に於いては子音字の一部として登場し、単独では使われません。上のаҧсшәаのшәがそれに該当し、基本的にこれの付いた子音を唇音化します。ҧはпの帯気音です。
 アブハズ語が打てるキーボードレイアウトがこのPCにはないので、アブハズ語は打てません。ӡ /dz/、ҩ /ɥ/を除けばすべて既存のキリル文字にちょっくらちっちゃな線をどっかに付け足しただけのものばかりなのですが、その大抵の文字が他のキリル文字を正書法に採用している言語では使われていないので代替となるキーボードもありません。お手上げです。コピペして綴るなんてメンドいことマジゴメンなんで、文字と発音の項目で挙げられていた全単語(!)と1課の本文丸ごと暗記してありますが、ここじゃ書きません。
 ところでみなさん、Wikipediaのフランス語版の名称って何か知ってますか?
 Wikipédiaと言います。
 eの上に記号(アクサン テギュ / accent aiguと言う)が振ってありますね。音自体はふつうに「ウィキペディア」の如くですが。
 こんな感じで、Wikipedia自体の名称、綴りも言語によりけりです。まぁ勿論みなさんご存知ですよねこんなこと。だって日本語版の名称は「ウィキペディア」ですもんね。

ヒンディー語版 - विकिपीडिया(vikipīdhiyā)|ヴィキピーディヤー
※dhはdの帯気音です。以下同様に、子音にhが付随している場合はその子音が帯気音であることを表しています。
タミル語版 - விக்கிப்பீடியா(vikkippīḍiyā)|ヴィッキッピーディヤー
※ḍは/d/の反舌音。また、க /k/、ப /p/、ட /ṭ/はまったく同じ見た目のままで有声音も示すので、上で表した音は推測。
タイ語版 - วิกิพีเดีย(wikiphīdīa)|ウィキピーディーア
ペルシャ語版 - ویکی‌پدیا(vīkīpedīyā)|ヴィーキーペディーヤー
アラビア語版 - ويكيبيديا(wīkībīdiyā)|ウィーキービーディヤー
イディッシュ版 - וויקיפּעדיע(vikipedie)|ヴィキペディエ
ギリシャ語版 - Βικιπαίδεια(Vikipaídeia)|ヴィキペズィヤ
※このdは/ð/を示す。
チェコ語版 - Wikipedie|ヴィキペディエ
トルコ語版 - Vikipedi|ヴィキペディ
ハンガリー語版 - Wikipédia|ヴィキペーディア
アイルランド語版 - Vicipéid|ヴィキペーヂ
※このdは/dʲ/を示す。
サモギティア語版 - Vikipedėjė|ヴィキペデーイェー
エストニア語版 - Vikipeedia|ヴィキペーディア
グルジア語版 - ვიკიპედია(vikipedia)|ヴィキペディヤ(一見読めないからってだけ)
アルメニア語版 - Վիքիպեդիա(Vikhipedia)|ヴィキペディア(同上)
カンボジア語版 - image(vikīphīdīə)|ヴィキーピーディーア
チベット語版 - ཝེ་ཁེ་རིག་མཛོད།(lbe khe rig mdzod)|ペケリーンヅェー
※書いてある通り読むとこうなるけど・・・いくらなんでもヘンテコ過ぎる。読み方まったく間違ってるか、そもそもこの文字列は「Wikipedia」ではない?

 と、こんな具合になるのですが、これがアブハズ語版だったらどうなるかと言うと、

アブハズ語版 - Авикипедиа(Avikipedia)|アヴィキペディア

 なんですね。即ち、W、Vにあたるものが語頭に来ておらず、Аから始まっている。なんで?というと、これが他言語で言うところの定冠詞にあたるからなんですね。文字が読める限り色んな言語版のウィキペディアの名称にあたってみましたが、U, V, W以外の文字や音を語頭に持つのはこのアブハズ語版のものだけでした(上のチベット語版の名称は不確かだからノーカンってことで・・・)。とは言え、元々はВикипедиаなので、文法的な特徴からくる異形ってだけなんですが。
 前にも書きましたが、他の言語のちょっとした文法要素を知ってるだけで、大なり小なりの「へぇ~」が味わえる。
 これがホントに、俺は面白いんです。
 さて次にフリジア語(frasch フラシュ)。前書いた通り、これはもう語学書が発注済みで、俺に買われるときを何ヶ月も前からまだかー!と待ってる言語ですね。まさか別の本で先に学ぶとは俺も思ってなかったよ・・・。
 上述の言語名列挙に於いては細かくなんとか方言とまで書いてありますが、自身が扱った言語についてここまで子細を述べてくれた執筆者・清水誠氏にはまったく感服致しました。俺が個人的に、「俺が今勉強している言語は本当に標準語なのか?この語学書の著者が学んだものは実際にはどこかの地方寄りのものではないのか?」と常々気にしてしまう質なので、こういう情報は本当にありがたいです。
 フリジア語は、執筆者曰く、その実態上「フリジア語群」と呼ぶべき言語で、非常に狭い地域の中に夥しい数の、便宜的に単一のものとして呼ばれる「フリジア語」の方言が話されているそうです。実際にどれほど各言語毎に言葉が異なるのかの例が挙げられていますが、確かにこれじゃあ何言ってるか互いにわからんわなと納得させられるものでした。
 ドイツ語の知識があればカンタンに文法要素が理解出来ます。まぁ、少なくともこの本で取り上げられているものについては、ですが。
 北フリジア語・東モーリング方言では、デンマーク語の影響からåが使われます(nåcht / ノフト = 夜、mååge / モーゲ = 行う)。但しデンマーク語にあるæ、øはなく、ä(fääge < feek pl. / フェーゲ = ロッカー)、ö(ik köm / イク ケム = 私は来た)、加えてü(üülj / ユーリ = 年をとった)が用いられます。これらが示す音はドイツ語のそれと同じです。
 他に綴りや読みに於いてドイツ語と異なる点は、

I. 一般名詞は文頭にある場合を除いてその語頭が大文字にならない: mak / マク = キス、brädj / ブレヂ = 花嫁 

II. 長母音の表現として同一母音の並置が多用される: tääle / テーレ = 物語る、nooch / ノーホ = 十分な
※一見長母音の様に見えて実は短い場合がある: shiis / シス = スプーン(「シース」と読むと「鞘」)、teele / テレ = 呼ぶ(「テーレ」と読むと「床」)

III. sは直後が母音であっても/z/と発音されない: seecht / セーヒト = 病気、sü / スュ = そんな
※但し、VsV(V = voyelle / 母音)という綴りに於けるsは/z/となる: rouse < rous pl. / ラウゼ = 薔薇、hüsinge < hüs pl. / ヒュズインゲ = 家

IV. sp-或いはst-という語頭の二重子音に於いてsが/ʃ/にならない: stich / スティヒ = 小道

 この言語も・・・というか、先に挙げた4言語いずれに於いても、文字と発音のページで使用例として挙げられている単語をすべて暗記しました。特にアブハズ語は字母が多かったのでかなり時間を費やしました(と言っても数時間程度)が、最も平易に済んだのがこのフリジア語です。
 今は2課まで読み終えてますが(=課毎の本文暗記済み)、スゲエヘンテコな要素などは特になく、わりかし淡々と進んでます。
 で、きましたね、ルクセンブルク語(Lëtzebuergesch レツェブアイェシュ)。
 いやー、magnum opus・ルクセンブルク語入門が刊行される前に、ちょっとだけながらもルクセンブルク語を知ることのできる本があったんですねぇー。
 勿論さわりはオッケー程度の内容ですが、フリジア語と同じくドイツ語に関する知識、あとフランス語も知ってれば更に良し、ってな具合で大方理解が適っちゃうみたいなんで、この2つをあらかじめ知っていれば各言語間での共通点を見出しつつ読めるという楽しみが得られます。当然、ドイツ語もフランス語もまったく知らんって人でも、解説が易しいので問題ないでしょう。
 さてこちらはフリジア語とは違い、というか元々ドイツ語の方言に過ぎないので当たり前なんですが、綴りや読みの規則にドイツ語的な要素を大いに孕んでいます。既出のフリジア語と比較して見てみましょう。

I. 一般名詞の語頭は文中の位置に関係なく常に大文字: Zäit / ツェイト = 時間、Wieder / ヴィーエダー = 天気
※この項とは関係ないが、2つ目の語の通り、ルクセンブルク語の「ie」は、これがiの長音であるドイツ語と違い、/iːə/を示す。
但し「ie」の直後がrであれば、ドイツ語と同じく/iː/を示す場合がある: schwiereg / シュヴィーレヒ = 難しい

II. sは母音を従えれば/z/: Eisen / アイゼン = 鉄、sou / ゾウ = とても
※-ss-は/s/: iessen / イエセン = 食べる、Professesch / プロフェセシュ = 女性教師

III. sp-及びst-という綴りに於いてsは/ʃ/: spillen / シュピレン = 遊ぶ、Stär / シュテーア = 星

 しかしドイツ語とは大きく異なる規則もまた、あります。
 フリジア語のようにii(Kiischt / キーシュト = 桜)とかoo(Strooss / シュトロース = 通り)といった長母音の表現が頻出しオランダ語チックですし、そして特に個人的に好き・・・っつーと変か?何故だかお気に入りの要素が、特定の環境下でgの音素が/j/になるという規則です。たとえばSpigel(鑑)は「シュピェル」、Bierger(市民)は「ビーアヤー」です。/k/とか/g/の音素は他の音に影響され易いという特徴を持つ言語は数多いですが、ルクセンブルク語もそういった言語のひとつと言えるでしょう。簡単に言うと、語頭にある場合を除いて(Gaascht / ガーシュト = 客)、gは/g/の音を示しません。母音間にあれば/ɣ/(Jugend / ユゲント = 青春、但しTiger / ティーガー = 虎 などの例外有り)ですし、語末にあっては/x/(Dag / ダーハ = 日)とか/ç/になります(richteg / リヒテヒ = 正しい)。richtegの場合、chもgも同じ音を持つってわけですね。
 ところでルクセンブルク語に於ける特定環境下のchとgについて言及しておきたいのですが、本来は/ç/となるべきである場合に実際は/ʃ/と発音されがちなんだそうです。専門家もそれを認めているとのことなんで、今後ルクセンブルク語から硬口蓋摩擦音が廃れるかもしれませんね・・・。ノルウェー語(ブークモール)に於いても同じ現象が見られ、/ç/の発音ができない人が増えてるそうです(kirke / ヒルケ > シルケ = 教会)。そんな難しいかね。確かに/ʃ/の方が簡単ではあるが。俺はちゃんと発音できるのでchやgを/ʃ/とは見做しません。ちなみに後述するフェロー語では、kiと書くとこのkは/ʧ/を示します(kirkja / チルチャ = 教会)。もっと発音がおざなりになった例ですね。いや別に悪いと言っとるわけではないですが。声にしない音を増やしに増やしまくったデンマーク語とかに比べればなんぼかマシ。これについても悪く言ってるつもりはない。おかげで・・・っつーのも変だけど、デンマーク語ならではの超絶ヘンテコ発音規則成立の原因になりましたからね。これのせいで読むのは大変だけど面白すぎて興味が尽かないようになってしまったわけで、ホント言語さんは悪魔の如きエンターテイナーやでぇ。
 さて文法的規則についてですが、特筆すべきは「アイフェル規則」でしょう。大学書林の本でもネットで見られる目次にアイフェル規則ってありましたね。初見じゃナニソレでしたが、確かにこれは興味深い要素であり、ページをある程度割いて解説して欲しいな。
 で、これなんなのってことなんですが、要は「ある語の末尾のnと直後の語の頭にある音との相性が悪い場合、そのnは消える」という音声上の現象のことです。と同時に、そのnは黙字になるわけではなく本当に文字通り綴りとしても消えちゃうので、話す際にも書く際にも要注意であると。「アイフェル」ってのはドイツにあるアイフェル地方のことで、ここで話されるドイツ語の方言でも同じ現象が見られるので、ルクセンブルク語のそれもそういう名で呼ばれているというわけなんですね。
 アイフェル規則に則った文例(本より抜粋):

エヒ シュトゥデイレ レツェブアイェシュ リテラトゥーア
Ech studéire Lëtzebuergesch Literatur.
私はルクセンブルク文学を学んでいる。

 面白いことに、ドイツ語では直説法1人称単数現在形をとった動詞は不定詞にある語末の-nを落とすところが、このstudéireは本来はstudéirenという語形なのです。-nは直後のLëtzebuergeschのLに影響されて引っ込んでます。これがアイフェル規則の適用例です。ちなみにドイツ語では通常見られないéという綴りは、狭いeを示します。eと書くと広いeです。同じくドイツ語的でないLëtzebuergeschに於けるëですが、これは/ə/です。アルバニア語とかと同じですね。そしてアルバニア語と同じく曖昧母音ではあるがアクセントを有することができます(kënnen / ケネン = できる)。おまけにアブハズ語に於ける/ə/であるыにもアクセントが付きます(адырра / アドゥルラ = 知っている、ашəапы / アシュアプゥ = 足; アブハズ語特有の字母を用いずに綴れる場合は綴った方がいいよね)。
 但しこのアイフェル規則、適用外となる場合があり、固有名詞や特定の接尾辞の末尾の-nは落ちません。再度本文から抜粋して2例を:

ア シュプエニエン ブレネン トベシャー
A Spuenien brennen d'Bëscher.
スペインで森が燃えている。
※まずはSpuenienの-nが消えていない点に注目すべきだが、語頭の「A」もまたアイフェル規則により「an(アン; ...で)」から-nが脱落したもので、対比の表現になっているところがミソ。
また、brennenという形を見るに3人称複数形みたいなので、主語である「森」は複数を指しているらしい。単数の場合はbrennt(ブレント)。

トゼンゲリン ケント
D'Sängerin kënnt.
女性歌手はやって来る。
※語頭の「D'」は女性定冠詞主格単数(ドイツ語ではdie(ディー))。となると上記のd'Bëscherの「d'」は定冠詞複数形なのだろうが、本では言及されていない。

 さてこれまで挙げてきた単語、ドイツ語っぽいのばっかですね。フランス語っぽいのはというと、残念ながらと言うか、あんまし例がありませんでした。2課まで読み終わっていて、3課目に更になんか出てくるのかもしれませんが。今のところは、

Vëlo(< vélo / ヴェロ) / ヴェロ = 自転車
※vはふつう、ドイツ語と同じく/f/の音価を持つ: virun / フィールン = ...の前で

just(< just / ジュスト) / ジュスト = 丁度
※フランス語由来の語に於けるjは/ʒ/で、ふつうは/j/: Jor / ヨーア = 年

Ministère(< ministère / ミニステール) / ミニステール = 省庁
※èの発音自体はeと同じで、即ち広いe。

Televisioun(< télévision / テレヴィズィヨン) / テレヴィズィオウン = テレビ
※Tëlee(テレー)とも言う。

Cours(< cours / クール) / クーア = 授業
※本来ならouは「オウ」: rout / ロウト = 赤い。
ちなみにフリジア語だとルビを見る限り「アウ」(foue / ファウエ = 3pl.は得る)の様だが、特に説明されていない。

Madame(< madame / マダム) / マダム = 婦人
※元の語と同じく、語末の-eが黙字になっている。

 など、ドイツ語彙に対してほんの少数。いやまあ元がドイツ語だから当然なんですが。
 あとはbonjour / ボンジュール = こんにちは、merci / メルスィ = ありがとう、äddi / エディ = さようなら(たぶんadieu(アデュー)由来; フランス語でadieuなんて滅多に言わないけど、ルクセンブルク語じゃ普通なのかな?)くらいでしたかね。しかし名詞の語頭が常に大文字ってだけで、いくら似ててもフランス語とはまったく違う!ってな印象を受けちゃうわ俺わ。
 そうそう、「どうもありがとう」をvillmools merci(フィルモールス メルスィ)というんですが、ゲルマン的表現とイタリック的表現が合体しているこういう言葉がホントもーたまんないっすね!こういうのは積極的にもっと知りたいぜ。
 最後にフェロー語(føroyskt フェーリスト)。身も蓋もない言い方をすれば、可読性の高くないアイスランド語の読みがまた少しヘンになったかのような正書法を特徴とする言語・・・ってとこ?しかし何故こんな綴りになっているのかにはちゃんと理由があるのです!それについて言及する前に、まず以下一例。

I. 母音編

●A - 「エア(ɛa)」、「ア(a)」: hvat / クヴェアト = 何、dansa / ダンサ = 踊る

●Á - 「オア(ɔa)」、「オ(ɔ)」: ár / オアル = 年、nátt / ノット = 夜

●Í - 「ウイ(ʊi)」、ggjの前で「ウ(ʊ)」: tí / トゥイー = それ、tíggju / トゥッジュ = 10

●Ó - 「オウ(ɔu)」、「エ(œ)」、gvの前で「エ(ɛ)」: vóru / ヴォウル = 3pl.は...であった、tómt / テムト = 空っぽの、Jógvan / イェクヴァン(人名)

●Ú - 「ウウ(ʉu)」、「ユ(y)」、gvの前で「イ(i)」: úr / ウウル = ...から、krúss / クリュッス = マグカップ、kúgv / キクヴ = 牛

●Ý - íと同じ: býur / ブイユル = 町、nýggjur / ヌッジュル = 新しい

●Æ - aと同じ: fær / フェアル = 彼は行う、ætli / アトリ = 私は欲する

II. 子音編

●Ð - 基本的に黙字だが直後にrが来ていると「ク」の音を持つ場合がある: tað / テア = それ、veðrið / ヴェクリ = 天気
※「tósaðu / トウサヴ = 3pl.は話した」という語に於いて/v/が生じているようだが、これに関する説明は本にはない。

●HJ - 「チュ(ʧ)」、「ユ(j)」(= 単一のj): hjá / チョア = ...のところに、hjálpa / ヨルパ = 助ける
※hjの他に、kj、tjも/ʧ/を示す: kirkja / チルチャ = 教会、tjaldur / チャルドゥル = ミヤコドリ

●R - 「ル(ɹ)」、tなどの前で「シュ(IPA記号不明)」、nの前で「ト(t)」: regn / レグン = 雨、bert / ベシュト = 単に、barn / バトン = 子
 ※余談ですがこの本はゲルマン系言語のすべてで「雨」という単語が出てきており、フリジア語・rin(リン)、ルクセンブルク語・Reen(レーン)でした。

 まあそれでもデンマーク語よりかは・・・ってしつこいかw
 で、こんなに初見さんお断りな綴りが採用されている理由はですね、デンマークに支配され続け、書記言語は勿論デンマーク語というフェロー諸島に於いてフェロー語は長らく文字にされることがなかったのですが、ようやく書記言語として整備される際に、口語発音の文字による再現よりも、語源を重視した結果がこれなんだそうです。
 この正書法成立の経緯にはね、わたくし実に感動しました。素晴らしい。可読性を取るか伝統を取るか。日本から漢字が廃れないことに通じます。かつては阿呆が漢字廃止上等だとかフランス語を公用語にせーとか騒いでたらしいですが、そんなことが法律になってしまった日にゃー、大和民族の終焉の時ですね。そして我らの成長、我らの歴史の根底で連綿と民族の原動力としていついかなるときも休む間もなく用いられ続けてきた栄えある日本語も。日本人が在るべき日本語を使わずしてなんとするか。そういう主張は日本語を極め、日本語のすべてを知った上でしなさい。だから古今東西日本人の誰一人としてそんな愚考を言葉にする資格はない。消滅を許してよい言語はない。たとえば朝鮮人は死に絶えてもよいし若しくはこの世の益に求められるままに殺し尽くしてもよいが、朝鮮語は是が非でも保存すべきです。そういうことです。幸い、物好きな日本人が朝鮮語の本いっぱい書いてるからね。日本人以外から朝鮮語が総スカン食らったとしても良い形で残せるんじゃないでしょうか。
 さてフェロー語の特徴ですが、古い時代より正書法に殆ど変化のないアイスランド語(口語としての発音には経過した年月に相応の変化がある)と、現在に至り極端に簡素化したスカンジナビアのゲルマン系諸言語の中間程度に位置するほどの曲用などに複雑さを持つ言語なんだそーです。アイスランド語やドイツ語などと同じく、曲用として主格、対格、与格、属格を有しますが、属格はあまり使われない傾向にあるそうで、またこれはルクセンブルク語での特徴でもあり、本では定冠詞の属格形の提示が省略されていました。こういう傾向にあるのはなんでなんですかね。使うと表現の仕方が煩雑に思えてくるんでしょうか?曲用に因る語形変化が目立ったものではないので、所有表現の明示に誤解が起き易いとかかな。
 実態はアイスランド語フェロー諸島方言なんじゃないのかというくらいアイスランド語によく似ている言語なので、少なくともこの本を読む限りでは言語学的にも特に目新しい要素もなく、ホントに可読性の低い言語だなという印象を持つだけで終わっちゃいそうです。まぁ紛れもなく自身にとっての新しい言語ではあるので、読んでて楽しいってことは確かですけどね。フェロー諸島はデンマーク領であり、デンマーク語の影響も歴史的に大きく受けてきているらしいので、そんな要素が見出だせるくらい色々と読んでみたり学んでみたりしないと、フェロー語の本当の面白さってのはわかんないのかもしれないね。
 そうそう最後に・・・フェロー語 = føroysktの読み方についてですが、本によると「フォーリスト」です。私は上で「フェーリスト」と書いていますが、「fø-」を「フォー」とするか「フェー」とするかは人それぞれだろうしどうでもいいものの、「oy」は「オイ」(hoyra / ホイラ = 聞く)としてしか説明がなく、「-roy-」で「リ」としていることに納得できません。-sktのkが脱落していることは、まったく同じ重子音表記に於いてkが黙字化する現象を持つアイスランド語を知っていれば説明不要ですが、同言語の知識取得が読解の前提として明記されているわけでもないのでこちらもまた説得力に欠けますね。ページが極めて少ないと、こういう不親切な面は仕方ないことなんでしょうか・・・。

 ・・・という今回のお話でした。
 「ニューエクスプレス・スペシャル ヨーロッパのおもしろ言語」はオススメです。
 この本を買う前に、前評判や中身についての詳細を知らず、その上書店での立ち読みも適わなかったとしても、この厚みと扱われている言語の数を見れば、買ってから「なんだよ内容ウスすぎ!」とか言っちゃうバカはまさかいないとは思いますが、この本は言語学的な見地から充実した内容を期待して手に取るもんでは端からございません。しかし欠点らしい欠点もなく、ソツのないつくりをしていると思います。
 しかし言っておきたいこともある。こういった様々な言語の案内を土台にして更に詳しく学んでみたいと思う人間を後押ししてくれる学習書や文献の記載が絶対的に少ないこと。そしてまえがきが長すぎです。各言語についての話が多かれ少なかれそれは各言語の専門執筆者に一切を委ねるべきであったんじゃないでしょうか(ちなみにまえがきを書いた監修の町田氏はオック語担当)。これをなくして各執筆者のための文献紹介用のページ或いはスペースを設けて欲しかった、これだけが本当に残念です。文献紹介があるのはアブハズ語とロマニ語のものだけ。アブハズ語の方は、執筆者の柳沢民雄氏はアブハジアに入国したことがなく、グルジアの首都・トビリシ在住のアブハズ人女性に話を聞くことでアブハズ語の調査を進めてきたそうで、この告白に少々ひっかかり手がけた内容への信憑性に多少の不安を感じないでもないが、2冊のみながらも入門書を、それらがどういったものか一言添えながらしっかりと紹介しているところに研究者としての真摯な姿勢と執筆者としての責任の自覚が窺え、結局のところ不安を帳消しにする安心感を覚えられる。一方ロマニ語の方は、なんとたっぷり10冊紹介!日本語で著されたものもある。他の連中ェ・・・。
 日本語で読めるものとしては、エストニア語フリジア語オック語(プロヴァンス語)、バスク語(絶版なんだろうか、大修館書店サイト内でヒットしない・・・)、そして勿論ルクセンブルク語には既に本格的な入門書が、加えてソルブ語には文法解説が含まれる超弩級の力作である辞書があるのでそちらを手に入れる方がいいかと思いますが、「言葉のしくみ」シリーズみたいに、ちょっと色々手っ取り早くかじってみようってな人には、「ヨーロッパのおもしろ言語」は丁度いいかもしれません。俺は衝動買いしただけです。この「ヨーロッパのおもしろ言語」は実は「ニューエクスプレス・スペシャル」第3弾でして、第1弾第2弾では日本近辺の地域で話されている、この本で扱われているもの以上にドドドマイナーな言語が紹介されてるんです。そっちはマジで早く入手したいですねぇ。ただ、第1弾の方は既に絶版になってるっぽい・・・?手に入るのかなぁ。ニヴフ語の学習は、俺の言語に関係する夢のひとつなんですヨ・・・。ゆくゆくは本格的に学んでみたい!
 最後に余談ですが、このブログの総プレビュー数が1万を超えちゃったんですよ。現時点では更に+1000。いやー自分でびっくりです。思えば一志死去について書いたときから段々とアクセスが増えてきた気がするけど、気のせいかな。検索エンジンってどういう仕組みになってんだろ。検索する言葉によってはこのブログがかなり上の方に引っ張られてきてることもあって、「そんなにこれについて話題にしてる人少ないのかあ?」と驚くこともしばしば。一志の死去からしてそうだったんですけどね。あの記事にアクセスした人の検索ワードには「一志 死去」が多かったんで、ブログタイトルをまったく捻りもなく(基本的に、記事内の言葉や表現をそのままコピペしたものをタイトルにするようにはしてる)「一志死去」にしたことが検索に引っかかりやすくなった原因なのかな?
 人を集めるつもりで書いた記事なんてひとつもないし、意図的に時流に乗ろうとも常日頃から考えもしてないけど、やっぱ世の中には色んな人がいて、そういう人個人個人が色んなことを知りたがってるから、こういう駄文長文雨霰なブログでも検索には引っかかっちゃうんですよね。
 ウケは狙おうと思っても狙えないけど、せめて迷い込んじゃった人がちょっぴりでも役に立つ情報が一記事につきひとつくらいは含まれていたら、いいなあと思うわけです。私がバカのままではないことの証明になりそうじゃないですか。
 ・・・って、この文章中から極僅かの有益な情報を拾い上げるって、全部読んだ上でのことになるだろうし、すげえ骨折れるよな、それってw

 それでは読了villmools merci! Farvæl!

2013年4月3日水曜日

「ニューエクスプレス ラトヴィア語」!

 いやぁ、遂に出ましたね!白水社のニューエクスプレスシリーズなので、「ニューエクスプレス タミル語」に続いてということで「出ましたね第2弾」だ!

 

ニューエクスプレス ラトヴィア語
(発売は先月なので今更感がありますが・・・知ったの今日だから仕方ないね)

 

 俺は個人的に、ラトビアのことは「ラトヴィア」でなく「ラトビア」と言っているので、この書名を除いて以下「ラトビア」で通します。
 ラトビア共和国の国語です。原語名はlatviešu valoda。ラトビア語は長音は長音記号によって表され、短母音に見えるところは実際短いので素直にそのまま読んでください。「š」はいわゆるローマ字の「sh」にあたります。もしリトアニア語みたいに声調があるのなら、母音の長さはさだかではなくなりますが・・・そこまでは知らないっす。
 リトアニア語と同じくインド・ヨーロッパ語族の「バルト語派」って語派に属する言語ですが、これら2つの言語間での相互理解は適わないそうです。俺はそのことをja.wikipedia.orgで読みましたが、理由までは書いてませんでした。で、何故なのかというと、これは白水社の同書専用ページの紹介文にあったのですが、他の言語からの影響が強いからだそうです。まぁ、たとえば共にイタリック語派に属しているフランス語とスペイン語で会話しても話は通じませんが・・・。バルト語派に属していると判明している言語は数少ないので、勝手に分化の深度が他の語派に比べて大したことがないと勘違いしてしまってるのかもしれませんね。今はなきプロイセンの言語、プロシア語もバルト系の言語だったそうです。ドイツとセットになってるイメージが強いので、ゲルマン系だったのかと早とちりしてしまいそうじゃないですか?実際俺がそうだったからこんなこと言ってるだけなんですが。
 ラトビア語には、リトアニア語にはない軟音(字母: ķ, ģ, ļ, ņ)がありますが、これは白水社によるところのロシア語の影響なんですかね。ただリトアニア語もスラヴ系言語の影響を相当受けているはずなので、何故リトアニア語には生じなかったのかが気になりますが。とは言え、リトアニア語には「字母としての軟音」が存在しないだけで、それっぽい音を言語として有さないというわけではありません。
 さてこのニューエクスプレス ラトヴィア語、本邦初のラトビア語入門書の筈です。昔、大学書林から「ラトビア語基礎 1500語」って本が刊行されましたが、これは「入門書」ではない。まぁ、内容は見たことないので、ちょっとした文法解説のためにスペースが割かれているようですがその価値の程度は当然よくわからず、何にせよこれはあくまでも「単語帳」です。
 先日ニューエクスプレスシリーズのラインナップ入りを果たしたタミル語の方は、南船北馬舎から袋井由布子女史による(実際は共著書で、「カルパナ・ジョイ & 袋井由布子 著」なんだが)「タミル語入門」が先に出ていますが、ラトビア語の入門書は本当にこれが我が国初のものでしょう。
 これの刊行を知ったときの衝撃の度合いの大きさは、「ルクセンブルク語入門」のときに比べれば小さいものでしたが、嬉しいことに違いはありません。実はずっと、白水社のニューエクスプレスシリーズのページに「続刊予定」としてラトビア語が挙げられており、しかし一向に出ないので「言ってるだけか?」と思っていただけに、この刊行は諸手を挙げて歓迎したいものです。
 内容は勿論、白水社で見られるサンプル以外にはどんなものなのか判りようがないので、実際購入するまでその出来具合については評価できませんが、もし登場する語彙にあまりにも不足があれば、上述の「ラトビア語基礎 1500語」と併用して学習にあたるのがよろしかろうと思われます。まぁ、他のニューエクスプレスシリーズの本を見るに「これ1冊で話せるようになる」代物でないことは確かでしょうが、大抵それは何故かというと、1000にも満たない語彙数に原因があると俺は思ってますので、「ラトビア語基礎 1500語」の真価は、これの刊行から長く経ったまさに今、発揮されるのかもしれませんね。
 みなさん、ニューエクスプレス ラトヴィア語、買いましょう!
 そしてラトビア(語)市場の価値を出版界に提示するのです!
 そんなもん存在しないってんなら、この本を買うことでまずは土壌を作り出しましょう!
 ってくらいの熱意を持ってくれる人がいないかな、と。
 俺ひとりが買ってもねぇ・・・。
 実際どういう人が買うんでしょうね、こういうニッチな言語の本。言語マニア以外で。
 バルト三国の求心力って、日本ではどんなもんなんでしょ。
 もう今バルト三国なんて社会で習ってすらいない気がしますが・・・今の若い連中でバルト三国を全部言える奴がどれだけいるか・・・。
 エストニアはなんかハッカーが多いそうで、そういう悪評が縁でネット上では同国の名前を見る機会があったりするかもしれませんが(しかしこれも過去の話かも)、ラトビア、リトアニアなんて・・・日本にいたら年に1、2回その名を聞くかどうかってレベルで話題にならない国じゃないですかね。少なくともニュースじゃ聞かない。
 かく言う俺も国については全然実情は知りませんけどね。言語に興味持ってるだけだし。いや、これを育んだ文化や風土にまったく関心がないってわけじゃあありませんが・・・とにかくまずは言語。すべては言語から!
 ところで「ニューエクスプレスシリーズ タミル語」はどれくらい売れたんでしょうかね。俺はまだ買ってません。「タミル語入門」の方まだ読了してませんしね。いや、カネに余裕があればそんなもん関係なく買うところなんですが。
 さて次にニューエクスプレスシリーズシリーズに加わる言語は何になるんでしょうかね。
 俺としては一刻も早くイディッシュのものが欲しいんですが。「エクスプレスシリーズ」(音声教材がない)にはあったんだから、パンジャーブ語もそうでしたが、これらのニューエクスプレスシリーズ入りの方を優先してやって欲しいわ。この2つなんて「CDエクスプレスシリーズ」からすら出されてないんだぜ。よほど売れ行きが悪かったのか。黒田龍之助氏曰く、エクスプレスシリーズで最も売れなかったのがパンジャーブ語のものだったそうです。泣けるなあ。CDエクスプレスにあったアイスランド語は駐日アイスランド大使館職員に「CDの音声がくぐもってる」とまで言われちゃったんだから、ニューエクスプレスシリーズとして洗練して出し直そうとか、考えられんのかね。
 現在「続刊予定」とされているのは、ページがアップデートされてないので「ラトヴィア語」、それと「古典ギリシア語」とあります・・・が、はぁ、古典ギリシャ語ねぇ。
 ラテン語もそうだけどさ、「ニューエクスプレスシリーズとして」需要あるの?古典期のギリシャ語とラテン語は既に昔っから名著が幅をきかせてるし、そもそもさわりだけやっても読めるようになる本はないからニューエクスプレスシリーズとして出る意義があるとはまったく思えん。
 こんなもんに費やすカネがあるならさ・・・。
 って、最後愚痴で終わっちゃったよ・・・。
 何はともあれ、「ニューエクスプレス ラトヴィア語」刊行は吉報以外の何物でもありません。
 私は買います。

2013年3月24日日曜日

Exodus with RICK HUNOLT!

 最高に楽しい動画発見した: http://www.youtube.com/watch?v=lRNbBE3fGds
 切欠は、現在深刻な病状で療養中であるJeff Hannemanの代役としてSlayerのライブに参加しているGary HoltのExodusに於ける穴を、Exodusの元ギタリストであったRick Hunoltが埋めているとネットで知ったことから。

Exodus, Downfall; Rob Dukes, Lee Altus, Gary Holt, Jack Gibson, Tom Hunting
現行ラインナップ - ビデオ・DownfallExhibit B: The Human Condition収録)より

Robert “Rob” Dukes - vo.
'robert "rob" dyooks
Lee Altus - gt.
lee 'altuhs
Gary Holt - gt.
'gayree holt
Jack Gibson - ba.
jak 'gibsuhn
Tom Hunting - ds.
tom 'huntiŋ

 おお、もし彼が今Exodusで演奏しているライブ動画があれば是非とも観てみたい!とYouTubeで検索かけたら・・・コレだよ。あったんだよ。
 まぁ、これはツアーとかの映像ではなく、投稿者のコメントによるとイベントのようで、参加メンバーはRob Dukes、Gary Holt、Rick Hunolt、Jack Gibson、で、ドラマーはこれを誰何する視聴者への投稿者からの返信を見るにChris Kontos(元Machine Head等。短期間ながらExodusの参加経験もアリ)だそうです。つまり、Lee AltusとTom Huntingは不在。
 Wikipediaで、元々薄かった髪がすっかり禿げ上がってしまった頭をしたRick Hunoltの現在の姿を見てしまったので、はてさてライブとなるとどんな印象を受けるやらと少々不安を抱いていざ観てみると・・・
 ちょwwwwwwwwカントリーミュージックやってるオッサンかなんかスか?w
 今も生きる伝説的スラッシュメタルバンドを長年支えた屋台骨のひとりであったとは信じられない容貌だ・・・。
 髪はしょうがないとして・・・まずあのシャツ!なんだあれよう、オイw
 そして持ってるギターは自前のじゃなくてGary Holtのでしょうが、これがまた似合わないw
 ・・・まぁ、余興だからね、そこはね。
 しかしあのMCだけはいただけん!!w
 あれこそまさにどこのカントリーミュージシャンだよって感じの、覇気ゼロゼロの間延びした声と調子!w まぁ、カントリーミュージシャンのライブ中のMC聴いたことないですけど。
 いやー、で、肝心のプレイはどんなもんなの?・・・と、動画をクリックする前→クリックした後と順調に不安が強まっていきましたが・・・
 そこはさすがのRick Hunolt!
 演奏したのはExodusの1stアルバム・Bonded by Blood収録の彼らの代表曲のひとつ、A Lesson in Violenceで、これをノホホンとやられちゃキンタマ蹴り上げるぞ!ってなもんですが、彼のアグレッシブなパフォーマンスは誰にもまったく劣ってないところを見て感嘆しきり!禿げた頭をブンブン振りながらのクランチリフの見事な切れ味は演奏が始まるまでの不安感を遥か彼方に吹っ飛ばし、後述のギターソロでも往年そのままの流麗なフレーズを聴かせてくれます。Gary Holtもヘタじゃないんだけど、ソロでときどきワウとかアームバーを多用したチープなリックをかますことがあるから(スラッシュメタルバンドのギタリスト然としてるなとは思うけど。EvileのOl DrakeとかHavokのReece Scruggsはうますぎる)、相方が誰であれこういう人がいるとギターソロの質にある程度安心ができるよね。
 で、この動画が楽しいのは演奏だけじゃないんですよ!
 途中何かトラブルがあったようで、Rick Hunoltはしばらく客席に背を向けてキョロキョロしてます。この間Gary Holtのギターの音しか聞こえなくなったこと、Rick Hunoltが演奏の手を止めたこと、そしてスタッフの行動、これらからしておそらくRick Hunoltのギターから、彼が踏んだか何かでシールドが外れたんだと思いますが、それを見たJack Gibson、「何やってんだよw」と言わんばかりに彼の胸をドンと押す。ここで私は破顔致しました。ついでにJack Gibsonが笑ってるところも初めて見ました。
 更に面白いのが、ステージ上は興奮した観客が行ったり来たりしており、ピョンピョン飛び跳ねて客席にダイブしたりと普通のライブと同じノリで、そんな中、Rick Hunoltが自身のギターソロの途中でステージ上に現れた巨漢に担ぎ上げられ、そのまま肩車状態で弾くハメに!さすがに驚いたのか、手元が狂ったっぽくて、最後の最後で音外してたのがまた微笑ましい。でも降ろされて間髪入れずきっちりクランチリフをキメるところがかっこよすぎましたね~。あれはいくらなんでもオーディエンスやり過ぎだろと思いましたが、服装からしてもイベントのスタッフだと思いたいですねw
 ちなみにですが、Gary HoltとRick Hunoltが今にあって再びExodusで共に演奏している動画は他にもあります。ということは、Lee Altusはそこでも不在。Slayerのためにロードに出ているGary Holtの代わりに今Exodusで弾いてるというのなら、Rick Hunoltがいるときは相方がいないといけませんが、それはLee Altusでない誰かが務めているというわけではなく、Lee Altus不在のライブが見受けられるのは時期的なものだったんだと思います。というのも、Lee AltusはHeathenの新しいアルバム制作に着手しているようなので。いやー、コレすごく楽しみです。The Evolution of Chaosも文句ないデキでしたし。
 そういや同じ古参スラッシュメタルバンドのLääz Rockitは新作出さんのかいねぇ。

Laaz Rockit, Fire in the Hole; Michael Coons, Aaron Jellum, Phil Kettner, Willie Langenhuizen, Victor Agnello
1989年・Annihilation Principleリリース当時のラインナップ(ビデオ・Fire in the Holeより)
※映像自体は公式に制作されたものですが、アップロードは第三者の手によるものです。正直こういうのは利用したくないんですけど・・・
すごいありがたいですけどね、アップ自体は。どこ方面からも冷遇されすぎでしょこのバンド。

Michael Coons - vo.
'mahykuhl koonz
Aaron Jellum - gt.
'airuhn 'jeluhm
Phil Kettner - gt.
fil 'ketner
Willy Langenhuizen a.k.a. Willy Lange - ba.
'wilee 'laŋuhn'hweezuhn = 'wilee 'laŋuh
Victor Agnello - ds.
'vikter ahg'neloh
※脱退、現在のドラマーはSky Harris(skeye 'haris)

 俺は待ってますし、出ると信じてますよ?日本で俺だけかもね。
 それから最新作は出たばっかと言えはしますが言及しときたいのがForbidden

Forbidden, Omega Wave; Russ Anderson, Craig Locicero, Steve Smyth, Matt Camacho, Mark Hernandez
2010年・Omega Waveリリース当時のラインナップ(ビデオ・Omega Waveより)

Russ Anderson - vo.
rus 'andersuhn
Craig Locicero - gt.
krayg lo'sisuhroh
Steve Smyth - gt.
steev smahyth
※脱退
Matt Camacho - ba.
mat kah'mahchoh
※脱退
Mark Hernandez - ds.
mark her'nahndes
※脱退、現在のドラマーはSasha Horn('sahshuh horn)

 凄腕・Mark Hernandezを失ったのは痛い!けど新作は聴きたい!
 ・・・バンドとしての状態は更に悪化していて、彼のみならずSteve Smyth、それからMatt Camachoもいなくなっちゃったし、まぁ次出るのはいつになるやら、10年後かなと本人たちに言われても「そんなもんかぁ」と早めのリリースを諦めちゃいそうですがw それにしてもMark Hernandezの後任としてオーディションを経て参加したSasha Hornとかいう人、可哀想だよなあ。
 で、Forbidden再生人事についてちょっと。
 Glen Alvelaisって今何してんのかな?Tenetは1枚アルバム出したっきりだし(そしてSteve SouzaはHatriotを結成しちゃったのでたぶんもうTenetはやんないでしょう)、Steve SmythいなくなったからForbiddenに戻らないかなぁ。Craig Lociceroのプレイつまんないし、スラッシーな曲減ったのはコイツの腕がなまったからなんじゃ?と半ば疑念を抱いております。この点Glen Alvelaisはまだ安心だしね。
 ここでTenetの画像が出せたらいいんだけど・・・ナイしね。更にGlen Alvelaisが撮られたオフィシャルミュージックビデオとかもいまだに存在してない(たぶん)・・・ので、TenetはそもそもJed Simonが始めたサイドプロジェクト(この概念、俺は凄まじく嫌いです)ということで彼が映ってるものを貼ることにします。・・・ハイハイ、作ったのに使わんの勿体ないからってだけですよ!

Strapping Young Lad, Wrong Side; Devin Townsend, Jed Simon, Byrond Stroud, Eugene Hoglan
解散時のラインナップ(ビデオ・Wrong SideThe New Black収録-より)
※Century Mediaチャンネルのやつは画質の劣化が激しいので別の動画から取りました・・・はいいんですけど、どれを使ったのか思い出せない・・・。

Devin Townsend - vo. & gt.
'devin 'townzuhnd
Jed Simon - gt.
jed 'sahymuhn
Byron Stroud - ba.
'bahyruhn strowd
Eugene “Gene” Hoglan - ds.
yoo'jeen "jeen" 'hogluhn

 ただいっこ言わせて。黙ってこの動画観て。Devin Townsend ProjectDeconstruction再現ライブ。アレを再現するってだけでも凄いことですが、単なる再現に留まらず、超天才・Devin Townsendの至高の芸術性が始終、半端でない煌きを以って輝きを放っております。ライブ動画として人生最高の感動が味わえました。これほどのものだとアップロードに正当性があるかどうかなんてどうでもよくなりますね。というかこれをリリースしないってアホでしょと主催側を責めたくなるレベル。関連動画に再現元となったDeconstructionのフルアップロードがあったら、そっち先に聴いてから体験するのがいいかも・・・って、この勧めはダメかw
 Forbiddenから大分話逸れましたけど、そしてそんな鉄人Mark Hernandezは今、なんとTestamentと共に遠征中!頼むそのまま居着いてくれ!Testament with Mark Hernandezなんて最高に聴きたい組み合わせのひとつじゃんかよー!

Testament, Native Blood; Charles Billy, Eric Peterson, Alexander Skolnick, Greg Christian, Eugene Hoglan
2012年・Dark Roots of Earthリリース当時のラインナップ(ビデオ・Native Bloodより)

Charles “Chuck” Billy - vo.
charlz "chuk" 'bilee
Eric Peterson - gt.
'erik 'peetersuhn
Alexander “Alex” Skolnick - gt.
'alig'zander "aliks" 'skolnik
Greg Christian - ba.
greg 'krischuhn
Eugene “Gene” Hoglan - ds.
yoo'jeen "jeen" 'hogluhn
※脱退、というか元から単なる手伝い?

 The Formation of Damnationに続きこの最新作ときて、2000年に入ってからのTestamentの復活は間違いでなかったと誰しもが頷かされるであろうアルバムを順調に発表中・・・だからこそ、これにMark Hernandezのようなスラッシュメタルバンドのドラマーらしいドラマーが入ってくると更にどんなパワーアップを遂げるのか!?すごい体験してみたいわけです。ま、Gene Hoglanも、元はSlayerのローディー、そしてスラッシーがいき過ぎていまだに時代が追いついてない感のあるDark Angel結成と、この上なくスラッシュメタルな人間ではあるんですけどね・・・。
 え、Paul Bostaph?彼はもっと凄いことができるぞってな印象だけは受け続けてるんだけど、毎度そのプレイに満足させられないので、いつの間にか好きじゃないドラマーになってました・・・。そんなことより今はゆっくり休養して欲しいです。引く手は数多のはずですからね。Slayerの次回のツアーからDave Lombardoが外されるそうで、その原因となった問題はかなり深刻なものだそうですし、ひょっとしたらPaul BostaphのSlayer復帰とか、有り得るんじゃないですか?ちなみにDave Lombardoもあんまし好きじゃないです。昔から今まで凄いと思ったことがまったくない・・・。Dave Lombardoの現在の代役はJon Detteだそうです。昔一度Slayerに参加したことがあり、元Testamentでもありますね。
 そんで最後にSadus!次はもっとスラッシーなの頼むわ・・・。

Sadus, Certain Death [Live]; Darren Travis, Steve DiGiorgio, Jon Allen
現行ラインナップ(非公式のライブ映像・Certain Death-一応プロショット-から)
※原則的にバンドやレーベル自身が制作、アップした公式映像からしかつくらないでおこうとは思ってるんですが、そうすると彼らだけ今回画像なしに・・・。Lääz Rockitと似たようなジレンマ。

Darren Travis - vo. & gt.
'daruhn 'travis
Steve DiGiorgio - ba.
steev di'jorjoh
Jon Allen - ds.
jon 'aluhn

 Out for Blood、スラッシーじゃなくてもクセになった曲もいくつかあったけどさ・・・。全体的にスラッシュから大きく逸脱した出来になったのはSteve DiGiorgioが他所で色々し過ぎちゃった結果かな。ただ、DeathThe Philosopherのビデオのワンシーンとか、フレットレスベース主体で活動してるところを見るに、Jaco Pastriusに影響受けてることは明らかだし、元々スラッシュ / デスの枠に収まる逸材でなかったことは確か。
 面白いならスラッシュである必要は正直ないんだけど、それにしたってグルーヴメタル寄り過ぎだろうと言いたいんですよ、俺はね。
 ベース1本で、特にエクストリームなメタルシーンに於けるベーシストのヒーロー像確立に凄まじい影響を与えたこの天才が、Sadusの外でスラッシュ以外のメタルの多様なサブジャンルを基軸にする連中と時には一作限りの客演をこなし、時にはある程度の期間行動を共にしてきて、その結果己のバンドに持って帰って来たものがこれだと、やっぱ「あれっ?」となっちゃうのは致し方ない。#1のIn the Name Of...聴いて狂喜したスラッシュファンの、アルバム聴き終えた後のテンションの下がりようったら半端なかっただろうねw ただ、アルバム全体の雰囲気としてアグレッションがなくなったわけじゃないし、横ノリ系の曲であってもプログレッシブ・グルーブ・メタルとでも形容するのが適当なような、一筋縄でいかない構成を特徴にしいている作品が揃ってるところは絶対に見逃せない点ですね。Steve DiGiorgioによる怪しいシンセのフレーズなんか、無視しようと思っても耳に突き刺さってしゃーないぜ。
 それに個人的に、俺はDarren Travisのボーカルがすげぇ好きで、彼のおかげもあって1回聴いてもういらない、には決してなりませんでした。ついでにDarren Travisに限らず、AtheistKelly Shaeferや元ArtilleryFlemming Rönsdorf、元AnnihilatorRandy Rampageみたいなメタルシーン特有の、「ウマい」「ヘタ」といった評価の下しようがない超個性派ボーカリストが私は大好きです。特にFlemming Rönsdorfを初めて聴いたときの衝撃の大きさたるや、未だに形容しようがないね。今こういう人たちまったく見なくなってるから残念だ。バンド結成時らへんにはいたとしても、その内メジャーディールを目指したがる人たちに追ん出されちゃってるのかねぇ。
 記事内で滅多に草生やさないワタシですが、今回はちょっとこの動画が面白すぎたのでノリで草生やしつつ書いてみました。いまだに(笑)を使う化石みたいな人間(そうでもないか?)ではありますが、(笑)だとなんか違うかなと思ったんで。途中からそういえば、にかこつけてExodusまったく関係なくなってますけどねw
 記事名は、動画のタイトルから拝借!うんうん、大文字交えて書きたくなるよねぇ、これは。


 余談1 - Exodusの画像について:

 元々Rick Hunoltが映っているビデオを使うつもりでした。そういうビデオ自体は複数あるんですけど・・・

 古さ故か全体的に映りが悪かった:
 Objection Overruled - Impact Is Imminent収録
 めちゃめちゃアクティブでカッチョエエRick Hunoltが観られるので最高にオススメ。John Tempestaもビデオに映えますね。ヤンチャが演技に見えないSteve Souzaも見ドコロ!

  • Steven Souza a.k.a. Steve “Zetro” Souza - vo.
    'steevuhn 'soozuh = steev "'zetroh" 'soozuh
  • Gary Holt - gt.
  • Richard “Rick” Hunolt - gt.
    'richerd "rik" 'hyoonuhlt
  • Rob McKillop - ba.
    rob muh'kiluhp
  • John Tempesta - ds.
    jon tem'pestuh

 メンバーの誰かしらの顔が髪で見えてない、もしくは非常に見辛い:
 Thorn in My SideGood Day to Die - Force of Habit収録
 主に顔が見えないのはMike ButlerとJohn Tempesta。特に前者はまったく。アクションは悪くないので惜しい。Good Day to DieでJohn Tempestaは上半身裸(ついでにMike Butlerはどっちのビデオでも上半身裸)ですが、彼は刺青だらけの両腕が個人的に印象的なので、最初観たときは別の人が映ってるのかと思いました。

  • Michael “Mike” Butler - ba.
    'mahykuhl "mahyk" 'butler 
  • 他、同上

 理由同上:
 War Is My ShepherdThrowing Down - Tempo of the Damned収録
 ExodusでZetroとRick Hunoltが参加した現時点最後のアルバムにして、Tom Hunting復帰作、そしてJack Gibson初参加作。後者2人の映りに難あり。特にJack Gibson。またベーシストかよ。

  • Jack Gibson - ba.
  • Tom Hunting - ds.
  • 他、同上

 そんなわけで、すっごい前に作ったはいいが使う機会のなかった上の画像を持ってきましたとさ。
 それにしてもSteve Souzaはどのビデオでもひとりだけやたらかっこよく撮られてますね。フロントマンの鑑だなぁ。自分の役割をしっかりわかって行動に移せてることが素晴らしいし、且つ単なる薄っぺらなかっこつけに終わってないのは誰の目からも明らかですよね。特にWar Is My Shepherdでの彼にはゾクゾクきます。
 あとこれは上の話題と全然関係ないんだけど、Lee Altusの本名って誰か知らんかねぇ・・・ウクライナ人なんだからこれが出生名って有り得んよなぁ・・・?

 余談2 - Forbiddenの画像について:

 バンド画像作成に利用したOmega Waveのビデオは非常に扱いづらい素材でした。2人一緒に映ってるとかさー・・・。初の失敗バージョンが存在します。

Forbidden -, Omega Wave; Russ Anderson, Craig Locicero, Steve Smyth, Matt Camacho, Mark Hernandez
 作ったのはこれもやっぱり大分前。そんときからもうちょっとマシに作れんもんかなと思ってました。
 今回使おうってんで記事内に貼ってみたはいいものの、改めて見てみるとこりゃダメだと思い作り直したわけです。まぁ、さほど改善されてない気は自分でもしてるけど・・・。少なくともMark Hernandezは確実に前の方がいいんですが、どっちのカットもビデオ内のどこにあるのかわからなくなってしまってイチから採集し直す羽目に。コピペは劣化してたらイヤだから避けた。

 余談3 - SYLの画像について:

 記事中に載せて見映えの良さそうなものということでWrong Sideからバンド画像を作りましたが、ついでに、ミュージックビデオが存在する曲では最も好きな作品からも作りました。

Strapping Young Lad, Detox; Devin Townsend, Jed Simon, Byron Stroud, Eugene Hoglan
 メンバーはWrong Sideのものと同じ。というかデビュー作のHeavy as a Really Heavy Thingだけでしたしね、この4人でないラインナップで制作されたやつって。
 SYLといえば!という不動のカルテットで録音された記念すべき最初の1枚が、この画像作成に利用したDetoxが収録されている2ndフルレンス・City。現在にして尚代替のないエクストリームメタル屈指の大名盤ですね。今初めて聴く人は、これ1997年の作かよマジでと思わずにはいられないことウケアイじゃないでしょうか。
 Jed Simonは1stにゲスト参加しており、同作収録の曲で、バンド初のミュージックビデオ・SYLにも登場しています。但し実際にはこの曲では弾いてませんが。
 Byron StroudとGene Hoglanが両人の活動歴に於いてリズム隊を組んだのはこのアルバムが初めてだと思いますが、SYL解散後も他のバンドで一緒に活動しているところを見ると、この2人を同時に己のバンドに採用したDevin Townsendのセンスの素晴らしさを讃えずにはいられませんね。おそらく2人一緒に声が掛かってるんでしょうが、ウマが合ってないならどちらかはオファーを受けないはずでしょう。もはや俺は、あるバンドにどちらか片方しかいなかったら、「あれっ、Gene Hoglanは?」「Byron Stroudは今回一緒じゃないんだ?」って思っちゃいますねw 音も見た目も共にスーパーヘヴィ級、バッテリーとしてこれほど似合いの組み合わせもそうそうないでしょう。Fear Factoryとか、Burton C. Bell、Dino Cazares、そしてこの2人って体制のとき、バンドの総重量なんぼだったんですかねw
 SYL、またやってくれないかな・・・。

2013年2月23日土曜日

ディルとけいおんとルクセンブルク語

 これは・・・これはないわー。
 DIR EN GREYの新譜、ミニアルバム・THE UNRAVELINGはセルフカバー集ですってよ。
 うーん・・・。
 いやまったく聴いてみたいとは思わないってわけじゃないんだけど・・・ぜんっぜん予想してなかったわ、この可能性は。てっきり新曲で占められてるもんだと・・・はっ!
 そういや前回(といっても10年も前だが)のミニアルバム・six Uglyも、全6曲中children秒「」深の2曲がセルフカバーとして収録されていたじゃないか・・・この事実から今回の内容の推測はできてたはずだろうってか・・・。
 主にコマーシャル目的のリリースなんかなぁ。
 ところで収録曲中、唯一の新曲である#1のUnravelingってのはバンドとして演奏して歌も入れた新曲?インスト?DIR EN GREYのインスト好きじゃないんだよな、つまらないもの多くて。
 ダイハードなファンとしては、#2の(カルマ)が、ようやくの初CD音源化ってところが注目ポイント?俺はこの曲、映像作に収録されてるのは知ってるけど、聴いたことないんで楽しみ・・・と言いたいところなんですが、蜜と唾のリアレンジみたいに原型留めてないグチャグチャバージョンになってたらと思うと素直に喜べない。メロディ主体だった頃の楽曲のリレコバージョンはみんなああいう風に演奏され直す傾向にあるんだとしたらねぇ。
 メロディアスな曲じゃないやつでは、残 -ZAN-のリレコも良くなかったよね。たぶん最近はずっとああいう形でライブでやってたんだろうし、CDかDVDかネットにアップされてる非公式なライブ映像でしか彼らを知らない俺が後から言うのも滑稽なんだろうけど。
 もともとヘンで暴力的な曲ではあったけど、あれはあれで完成してたんだな、今のDIR EN GREYのメンバーたち本人にも太刀打ちできない魅力があったんだなってのが皮肉ながらよくわかったね。曲名がさっぱり変わってりゃこの変化っぷりに多少は抵抗がなくなりそうなもんだが。
 シングル曲であるかすみTHE FINALの内、THE FINALは暴虐アレンジになってなさそうな気がする。根拠はないけど。UROBOROS -with the proof in the name of living...-でも普通に演奏されてたし。かすみは・・・元が死体の出てくるような曲だからどうなってるかわかんないし、どんなのが出てきても大丈夫。それに最近DIR EN GREYってこういう日本的情景の浮かぶ曲やんなくなってるから、普通に演奏してるとはどうしても思えないんだよね。俺、彼らのああいう曲すごい好きだったんだけどなあ。今の路線を支持してはいるけど、またああいうのもちょいちょいでいいからやって欲しいね。紙風船を~♪ 空へたーかく~♪
 鬼葬に収録されてたBottom of the death valleyは、まぁ前者は言うまでもなくグチャグチャにされてそうだよね。
 薫はテクニカルに演奏したい欲求をタッピングで発散させてる感が無きにしも非ずなので、同テクニックでメロのバッキングやってるこの曲は丁度いいのかも?w まぁタッピングも、サビとは対照的に静かなメロパートもなくなっててもいいけど、最後のサビだけは残しといて欲しいな~。あのパート好きなんだよ。
 Bottom of the death valleyは・・・元はメロディアスなロックナンバーだったけど、果たしてどうなってることやら。ていうか意外なもん持ってきたね。これはギターパートをよくコピーして弾いてたから、原型に思い入れが結構あるんだよな~。蜜と唾のグチャグチャバージョンは、元々が持つエログロな雰囲気からしてこう解釈されても仕方がないとも言えるけど、この曲はホント、どういじくり回されるのかわかんないね。今回の収録曲中、リレコ形に一番興味あるな。
 さて次は彼らの真の1stシングル、JEALOUSからカップリングのUnknown...Despair...a Lostですね。表記がUnknown.Despair.a Lostになってますが、これは意図的に変えたのかな?
 余談ですがこのJEALOUS、友達が持ってたので借りてよく聴いてました&歌ってました、カップリング共々。返した覚えがないんだけど、今家の中にないし、返したんだな、きっと。うん。いまだに色々CD借りっぱなしなんだけど、これは返せって言われたんだと思います。リミックスアルバムのもあります。あとはXJealousy破滅に向かってLIVE LIVE LIVE TOKYO DOME 1993 - 1996、それからビデオ(懐かしきVHS!)でVISUAL SHOCK Vol. 2.5 CELEBRATIONVISUAL SHOCK Vol. 3 刺激² -夢の中にだけ生きて-DAHLIA THE VIDEO VISUAL SHOCK #5 PART I・・・そう、俺Xの大ファンだけど、持ってる作品はVANISHING VISIONBLUE BLOODX SinglesArt of LifeDAHLIAだけ。映像作一切なし。CDなんてポンポン買えなかった頃に一番ハマってたからね~周りが持ってりゃそれを聴かせてもらう、で事足りてたんだよな。破滅に向かってのビデオも借りて観てたなぁ・・・ああ彼は今何してるんだろう、ズッキー君。そういや今手元にあるX JAPANのPerfect Bestも他人(ひと)のだよ・・・彼女も元気かな、エリカさん。
 さて話を戻して。Unknown...もメロディアスロックでしたね。まぁこのメロディを今の京が歌うわけないんで、さてこれもどうなってることやら・・・古すぎる曲は押し並べてどんなアレンジが加えられてるかわかったもんじゃないっすね。ある意味面白そうとも言える。
 本編は以上、で、完全受注限定生産盤の2枚目はすごいオマケ的雰囲気漂うたった3曲入りのボーナスCDっすか・・・。アンプラグドバージョンって、前にUROBOROSの初回限定盤でもやってたんだっけか?俺はこのアルバムは通常盤でしか持ってないからうろ覚えだけど。というかUnravelingが早速ながらアンプラグドで入ってるってことは、これは打ち込みのインストじゃなくてバンドとしての新曲の可能性が高いと解釈していいんですかね。
 まぁ、他のバンドのものでもアンプラグドバージョンに満足できたためしがないからこれは別にどうでもいいんだけど、もしかしてこれは海外ファンのウケを狙ってんのかな。あっちやたらとアンプラグド好きだもんね~。全然理解できないんだが。
 で、MACABRE1曲をDisc Iに収めなかったのはなんでなんだ。ここは100%コマーシャル。これを買えよ!と。
 これもまあどうなってるかわかったもんじゃないすね!メロディアスな曲はベタベタにメロディアス、ヘンな曲はとことんヘンという両極端な曲が多く楽しめた2nd・MACABREでしたが、このMACABREは明らかに後者。長い割にあまり面白い曲構成をしてなかったのでよくは聴いてませんでした。ていうか飛ばしてたかも。確かこれの後はStrawberry(だっけ?曲名・・・)、audreyと続いてたはずだし。そりゃそっちさっさと聴きたくなるよね!長いってことと、よくわからん歌詞以外には、今でも印象的なのはイントロのドラミングくらい。あれはカッコよかったから再現してて欲しいな、他はどうなってようが別にいいが。DUM SPIRO SPEROの延長でプログレになってるかもね。
 最後にDVDですが、これには、これも懐かしき、1stミニアルバムのMISSAから霧と繭が収録されてますね。この曲も好きでよく歌ってたな~。原曲は速いテンポに小気味良いバッキングが印象的でしたが・・・まぁ、あのバックのままやってるわけはないけど・・・うーん、でもなんでもかんでもコアっぽいバックにするってのもどうなんかなぁ。個人的には、変にアレンジ加えるよりも、今の演奏力で完コピっての方が観てて&聴いてて面白い気がするんだよなぁ。いやまあ、どんな風に演奏されてるかなんてさっぱりわかりませんけどね。でもどうせズドーーーーーン・・・って感じの音になってるんでしょ?ね。
 で、あとはDUM SPIRO SPEROから滴る朦朧獣慾のライブ映像と、レコーディング風景、インタビュー、ドキュメンタリー、か。
 なんだかんだ言ってきましたが、やっぱり楽しみではあります、このリリース。完全な新作ではないけど、厳密な意味で既にリリースしたことのあるものを収録しているわけではありませんからね。そこには言わずもがな新しいDIR EN GREYの姿があるわけで。アンプラグドだけはホントにどうでもいいんだけどね・・・。
 さてちょっと今回話題が複数に亘ってますよ。
 お次はアニメ・けいおん!から、K-ON! MUSIC HISTORY'S BOXなるCD12枚組(!?)のボックスセットリリースについて。
 これ、すごく欲しいです。
 TV版のOP曲は全曲、ED曲は一番最初のやつ、それから放課後ティータイムIIIは持ってるんですが、キャラソンはイッコも持ってないんですよね。そう、お目当てはキャラソンです。評価のすごく良いものも多数あったみたいなんで、一度聴いてみたかったんですよねえ。
 で、価格は19,800円だそうで。
 安い!でしょ?
 いやこれかなり安いですよ。258曲入りで安いと思ってしまった俺は病んでる的なツイートを目にしましたが、何曲入りか、ってことより、CD12枚組で2万でなんて普通売り出されませんよ。むしろ例皆無なんじゃないですか?まぁ、歌い手たちの本職が歌手じゃないから、とか、アニメを介してリリースされるものだから、とか、その辺が安く売り出せることに絡んでるんでしょうけど。
 秀逸なBGMを多数揃えていた同アニメでしたから、サントラの曲が収録されるってのも嬉しいですね。こんな機会でもなければ、やっぱ歌の入ってないCDを買おうとはなかなか思えませんし、丁度イイ。アニメのサントラはAvenger O.S.T.を一枚持ってるだけなんですが、これはOP&ED曲が入ってたからですしね。とは言えトラックの大多数を占めるインストもなかなか良くて、一時ずっと聴いてましたねぇ。あと、まさかOP&ED曲以外に歌が入ってるとは思ってなかったので、少女殉血、それからサントラで先に知りましたが、最終話で流れたED曲・地獄の季節もよかったですし、これは嬉しい驚きでした。アニメの出来はマジでクソでしたが・・・。今でも覚えとるんですが、uchiで購読してた新聞の番組欄には、最終回なのに(終)と併記されてなかったんですよ!クソすぎてすさまじく突然に打ち切りになったのかと思っちゃいましたね。豊口めぐみの無駄づかい!
 さてボックスに話を戻して・・・で、すごく欲しい、だけじゃなくて、勿論買うよ!・・・と声を大にして言いたいところなんですが・・・ちょっと事情あって二の足踏んでます。でもなぁ、公式には何故か載ってないけど、シリアルナンバー入りらしいし、どう考えても受注限定生産商品でしょ、これ・・・。予約だけでも今しとかないといけないんだけど・・・あぁ~ヤバイヤバイ。でもダメなんだよちょっと・・・。うーん・・・うーん!
 とまあこれ以上は話広がらないしここでヤメにしといて、最後に・・・超驚きの話題が!

ル ク セ ン ブ ル ク 語 入 門

刊 行

 凄い!凄いぞ!凄いぞ大学書林!やっぱり俺の最強の味方はあなたたちでした!
 そして田原憲和氏とやら!素晴らしい!永遠にこの業績を讃えたく思います!
 とあるサイトで、新しく語学書が出版されたらメールで知らせてもらうよう登録しとるんですが、語学書って思ってたよりもすごいポンポン出る(まぁ、大抵は英語、中国語、朝鮮語の本なんだけど・・・)んで、最近もう確認が億劫になってろくにチェックしてなかったんですよね。
 でも今日、メールじゃなくて、サイトで直接新刊のお知らせを見てみたら・・・!
 あったわけですよ!この本が!!!
 いやー素晴らしい。ホントに素晴らしい。ま・さ・か出るとは!ルクセンブルク語の語学書が!
 いやだってこれ、「語」って付けていいのかどうかわからない言語なんですよ、ホントは。
 ドイツ語ルクセンブルク方言と言ってもいいような言語ですからね、実態としては。
 ルクセンブルク大公国が国家的に公用語・ルクセンブルク語として言語の形を整理したり、新たな法律を作ったりしたんですから「○○語」と呼ばれるに足る根拠はあるんですが、元はといえば方言です。まぁ、そんなこと言ったらフランス語、イタリア語、スペイン語諸々なんかもラテン語の方言ですが。
 国際的に影響力のある国の言語は、元がなんらかの言語の方言だろうが、語学書として紹介されます。
 だからマルタ語とかはダメなんだよ。望み薄なんだよ。アラビア語のアーンミーヤのひとつだから。単語集ならあるんだけどね・・・でもあれは語学書じゃないし、入門書ですらない。ベラルーシ語、マケドニア語なんかも同じく。ブルトン語は単語集すらないけどな!あ、でも俺ブルトン語で挨拶だけはできるようになったんだよ。

Demat deoc'h! Mont a ra mat ganeoc'h? Mat a-walc'h ganin.
こんにちは!お元気ですか?私はとても元気です。

 とね(最後の元気ですはウソだけど)。ネットで覚えた。「c'h」って綴りがあるのは知ってたんだけど、てっきり何か2つの要素が縮約されたもんだと思ってたから、これでひとつの音素(無声軟口蓋摩擦音)を示すってのは意外だったなぁ。ブルトン語の勉強ができるサイトがあってね。2個は見つけた。ネットなら無料で多言語の勉強ができるってのは前々から知ってんだけどさー・・・性に合わないんだよね。だから利用してこなかった。でも少なくとも日本では語学書のない言語を勉強しようと思ったら、もうそんなこと言ってられないかもね。
 旅行会話ハンドブックみたいな形でもブルトン語のものは刊行なしのはず。まぁ当たり前だろうけどね、別に納得いかないってこともない。ブルターニュ地方っつってもブルトン語で日常生活送ってる連中なんて、アイルランドに於けるアイルランド語話者と同じで少数派なんだろうしな。そういえばウェールズはどうなのかしら?
 そういえば旅行会話の本ってね、シンハラ語(සිංහල; スリランカの公用語)、ディベヒ語(ދިވެހި; モルディブの公用語)なんかのものもあるんですよ。俺が見たものは、それぞれちゃんとシンハラ文字、ターナ文字で原語が表記されてました。まぁ、喋れなかったら本の中身を指でさして理解してもらうって使い方も推奨してるから、そういうつくりになってるのは当然なんだが。タミル語のものもありましたね。我が国最初(たぶん)のタミル語学習書の共著者のひとり、袋井由布子女史によるものでした。拍手!
 俺烏丸でのアルバイトはもうやめちゃったんだけど、そこでの休憩時間によく近くの本屋に行ってて、そのとき初めて旅行会話の本に、日本ではほぼ無名の言語のものもあると知りました。丸暗記して各文を注視していけば、いつか様々な文法規則が自ずと見えてくる・・・かも?値段は大抵2000円もしないので、買おうかなと何度思ったことか。で、そんな考えを持ちつつもその店ではそれより高価な他の語学書を何冊か買っていったんですけどね・・・。
 ところこのルクセンブルク語入門の著者、田原憲和氏は立命館大学の准教授だそうです。
 やー、すごいですね。准のつかない教授陣は無能ばっかりですか?俺が既に持ってる希少な言語の語学書、或いはよくできた語学書の著者を見てみても、教授って滅多にいないです。講師、或いは何やってるかわからないけど教授ではないのが殆どですね。もっと広く人のためになることしてみたらどうだキョージュ・サ・マは。読み辛いクソ論文書いてるだけじゃなくてよぉー(前のアルバイトの職務柄、そういう論文いっぱい見てきたもんで。言語学の人がいたわけではないけど)。
 是非この方にルクセンブルク語のお話を直接伺ってみたいものです。
 立命館大学かぁー・・・専ら語学学校の人が語学書を書いてるわけじゃないってのはわかってたけど、これは盲点だったなぁ。

 ハイそんなわけで今回の更新でしたー。
 ちなみに今はグルジア語とタイ語の勉強に時間を割いてます。久々に、専らペンと紙を使って勉強してます。楽しい。うん、キーボードのレイアウトが覚えられないからね・・・。グルジア語の方はすご~く時間をかけてポチポチ打てるようにはなってるんですが、やっぱタタタタン!といきたいですからね。じゃあ練習あるのみだろ?ってね・・・うん、知ってる、知ってるよ!
 最近のマイブームな綴り方は、グルジア文字、タイ文字、日本語の仮名であろうとも、ラテン文字を書くときと同じくらいにその大きさを小さくすることです。元々は、グルジア文字は全体的に曲線が非常に多いつくりをしているので、大きく書くとすぐにバランス悪く綴ってしまっているのがありありとわかっちゃうから誤魔化しのために、でしたがw それに、これなら上下に色々記号のつく文字でもダイジョーブなんだな。デーヴァナーガリーとかもいい感じです。
 それでは長々とここまでtrugarez。Kenavo!

ქართული ენა(カルトゥリ エナ=グルジア語)
グルジア文字 20130223

ภาษาไทย(パーサータイ=タイ語)
タイ文字 20130223

こっちにはタミル文字、デーヴァナーガリー、アルメニア文字、アラビア文字、グルジア文字が含まれてますね。飽きっぽさが垣間見れます^^;

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