ATTENTION
引越しの影響でネットがしばらく使えなかった為、去る5月16日に書いた本記事を今日投稿します。
以下の記述に含まれる情報の中に現在から見て変化しているものがあるかもしれません。
今日、用事で本当に久々に四条大宮へ行った。で、これまた久々に、阪急大宮駅から出てすぐ姿を見せるBook1st.に入った。
以前バイトしていた本屋で、社員(このブログで過去に何度か登場している女性社員。俺がバイトをやめる前に退職)から、いつのことやらまったく覚えてないもののBook1st.のAVセルコーナーがなくなるそうだよという話は聞いていたが、しかしその後何度か足を運んでも一向になくなっていなかったので、ドユコト?と思っていたもんだが、今回わかった、確かにキレイさっぱりなくなっている。ちなみに雑貨コーナーに変化。雑貨コーナー併設の元書店員として一言-最低でもフルタイムで働く2人の専属スタッフ、もしくは専門的知識(研修で身につく程度でよい)のあるスタッフを置けないコーナーはつくるな!客に質問されても非常に困るのだ。
何か表紙買いできるような、主に漫画はないものかと店内をウロウロしていたがめぼしいものが見つからなかったので、結局最後は音楽雑誌を立ち読み。
読んだのは、YOUNG GUITAR、BURRN!、Guitar Player。
最初に手に取ったのはYOUNG GUITARだったけど、BURRN!の方が言及するにネタに乏しいのでこっちについて先に書くことにする。
表紙はAlexi Laiho(Children of Bodom vo. / gt.)。
知らん間にニューアルバムが出るとのことでインタビューだ。
それにしてもBURRN!編集部の日本人従業員は、何時になったらJohn Harrellみたいに文字にすると読み応えのある取材ができるようになるんだ?毎度毎度ホント質問内容がクダらない。新章がどうとか・・・。Alexi Laihoは内心、「こんな質問、なんて答えりゃいいんだ?こいつは何が聞きたいんだ?」とでも思っていたんじゃないか。しかしそこは見た目や有名なヤンチャ行動に反してワリと紳士らしいAlexiさん、バカ相手に無難に応対を続けます。お疲れ様でした。
現在はヨーロッパのメディア相手に、同バンドベーシストのHenkka T. Blacksmithと共に最新アルバムのプロモーションを行なっているのだとか。Janne Warman(key.)とじゃないんだ?
あちらのプレスの今回のアルバムに対する反応は上々らしく、Children of Bodomを語る際に外せない出世作・HatebreederやFollow the Reaperにでも入っていそうな曲があるとか色々、Alexiにとっては「好いこと」を言われてるようで、気分良くプロモーションのために各地を回っているんじゃないでしょうか。正直、ここ最近の数作(Are You Dead Yet?かBlooddrunk以降でしょうね、おそらく)に対する反応には気に入らないものがあったことも事実だったようで、それだけに最新作・Halo of Bloodの出来映えについて語るAlexiの口上は読んでいて同作に対する関心を十分に引き起こさせるものでした。
ただ、他メンバーの働きについては、彼とJanne Warmanとのユニゾンがあることに言及しただけで、Henkka、Roope(Latvala; gt.)、Jaska(W. Raatikainen; ds.)がどんなプレイをしたかについては何もなし。何か一言でもあれば期待度の高まりもより良くなるもんなんだがなあ。
ただ、ジャケがイマイチ・・・実際聴き出したらジャケが云々アートワークがどーたらまったくどうでもよくなるんですが、個人的には、インタビュー抜きの初見じゃ「買ってみようかな」とはなかなか思えなかったでしょうね・・・。もひとついただけないのがこのタイトル。そもそもCoBのフルレンスアルバムに一見で惹かれるタイトルが付いていたためしがないけどね。特にSomething Wild(1stだし仕方ないとも思えるが)、Hate Crew Deathroll(中身は稀なる力作。俺も大好きです)、Are You Dead Yet?、Blooddrunk、Relentless Reckless Foreverはダサいの境地。バンドに対する評価が低迷している(≠売上が良い)時期にリリースされるアルバムは、ジャケとタイトルからしてダメダメな感じが漂ってるものだ。MegadethのRisk、Cryptic Writings、The World Needs a Hero、MetallicaのLoad、Relod(Loadは曲によってはめちゃめちゃ好き)とか・・・。
はいBURRN!に関しては以上。あとは読んでまてん。
で、読んだ順序を遡って、YOUNG GUITAR。なんで手に取ったのかは忘れた。たぶん表紙に関心のあるギタリストが写ってたからなんだろうけど・・・誰だったかさっぱり思い出せん。
最初に見た記事は、OpethのMikael Åkerfeldt(vo. / gt.)とフラワートラベリンバンドって日本のバンドのハゲたオッサンとの対談記事。何故って、開いたらそこだったから。オッサンの名前は全然覚えてない。
フラワートラベリンバンドの名前は知ってる。曲も、1曲だか2曲だかだけYouTubeで聴いた。そのバンドのボーカリスト(なんちゃらテツって人)が死んだことが切欠で。訃報記事で目にしたんだったか、訃報記事を元にした2chでだったか、凄まじい歌唱力の持ち主だったとのことなので、じゃあ聴いてみようと。
感想?・・・ぜんっぜん覚えてないです。曲調がサイケだったな、としか・・・。
今回記事を読んでみて、「そういや俺なんか聴いたな」ってそのときまですっかり忘れてたくらいですから。
Mikael Åkerfeldtにしてみれば、Ritchie BlackmoreとかTony Iommi(だっけ?Jimi Hendrix?・・・は、もう死んでるし)と対談が実現するくらい緊張を伴う出来事だったようで、オッサンを相手にした彼の発言の和訳が丁寧口調で表現されていたのが印象的だった。
一応全部読んだけど、取り立てて面白かったわけでもなく。対談記事は両者の内片方だけをよく知ってても面白くないんだろうね、きっと。
Mikael Åkerfeldtは大好きです。あのキメ細やかな作曲能力と、耳が喜ぶ独特のクセを持つリフ技巧者っぷりには長いことずっと憧れを抱いております。OpethのGhost Reveriesでノックアウトされて以来の縁。最初聴いたときは音の輪郭にエッジが足りないと感じ、また、Mikaelのデスボイスにも小手先でそれらしいものを聞かせているだけという印象がどうしても拭えませんでしたが、曲の構成を覚え、Mikaelの紡ぐ一音一音を耳が拾えるようになり、メタルらしい練られたリフと、妖しくも聴きやすく時に驚くほどブルージーなギターソロの中毒性を吸い込み始め、滴るほどの哀愁を帯びた滑らかな歌声に魅力を覚え、特にMartin Lopez(元ds.)を中心とするリズムセクションの比類なき強力さに気づき、Per Wiberg(元key.)によるオールディーズの香り漂う音色が違和感なく美しくアルバム全体を彩っている様に感動し-と、笑っちゃうほど最初の評価を完膚なきまでに叩きのめして、いつの間にやら所有するCDの内、最も好きな作品のひとつとなっていました。
で、対談記事を読み終えた後は改めて本を最初から読もうとページをめくると、TestamentのEric PetersonとAlex Skolnickが登場!スラッシュメタル関係のフェスで来日してたそうです。俺はフェスには食指がそそられないのでどんなフェスだったかとかはどーでもいいです。ただ2人によると、日本人スタッフに機材の管理を任せたところAlexのギターのチューニングがおかしくなったというハプニングもありつつも、演奏の具合は基本的にはとても良かったそう。喜ばしいですね。
彼らの話で面白かったのが、曲作りをしてもChuck Billyが歌わないと言えばその曲はボツになってしまうということ。和訳の仕方にもよるのだろうが、Alex曰く「検閲」と表現されていた。
確かにChuckは非常に気が強そうで、自尊心も人一倍固いものを持っていそうではありますが、Eric Petersonにボツを言えるほどの存在であるとは思ってもみなかった・・・。元々Steve “Zetro” Souzaの後任だったのに。なんぼほど昔のことなんじゃいって話ではありますが。
あとは、Gene Hoglanのドラミングはやっぱり素晴らしいのだと再認識させられました。ヤツはなんでも叩けるのだと絶賛されてましたね。今までのドラマーは、「これはできるけどこっちはムリ」とのたまうヤツしかいなかったそうです。にわかには信じ難い話ですが・・・。基本的に凄腕ばかりが採用されてましたしね。でもたぶん、Gene Hoglan以前でも少なくともPaul Bostaphはそんなこと言わなかったんじゃないかなって思ってます。
「基本的に凄腕」・・・これに当てはまらないドラマーを挙げるとしたら、いの一番に来てしまうのはどうしてもLouie Clemente(ルイ クレメンテイ; The LegacyからRitualまでのドラマー)になってしまいますよねー・・・。
でも俺、未だに彼のドラミング大好きです。商品化されたLive in Londonでは、間違いなく「凄腕」に分類されるJohn Tempestaと交代でドラマーを務めましたが、そのままTestamentのメンバーとして再び活動できなかった事情として自身が腕の衰えを告白していた(故にJohn Tempestaとセットリストを分け合う必要があった)ことを実に惜しく思ったものです。
前にも書きましたが、Testamentに、たとえばGene Hoglanみたいなドラマーは腕前が強烈すぎるんですヨネ。悪い言い方になりますが、Louie Clementeのような芸の無いドラマーの方がこのバンドにはよく合う、と個人的には思っています。昔から技巧派として鳴らしてきたAlex Skolnickはヘヴィメタル以外での活動を求めて他ジャンルに於いて商業的にもキャリアを積んでTestamentに戻ってきたわけですが、じゃあTestamentがToxikとかWatchtowerとか最近で言うとVektorなんかの特徴である、「アヴァンギャルドなスラッシュ」もやるバンドとしてこれまでとは一線を画す存在になったか?というと、そんなことまったくないじゃないですか。Eric Petersonがリフを書いてChuck Billyが歌えばTestamentであるという基本は現在に至るまでまったくブレておらず、横ノリのグルーヴィーな曲は増えはしましたが、脈々と息づく独特のTestament節は不変です。ここに、メタルという音楽の1ジャンルを代表するほどのマエストロが入ってきても浮くだけなんじゃないかと(Alex Skolnickもそれに該当するかもしれませんが、私見として、彼は手癖が増えすぎていて以前ほどプレイにワクワクさせられません)。実際、Dark Roots of EarthでGene Hoglanはドラミングに少量ながらブラストを織り交ぜています。余所のバンドに於いては幾度となく披露してきた彼のお馴染みのテクニックですね。Ericなどの要求があってのことだったのかどうかはわかりませんが、正直Testamentでブラストを聴いても滾ることはありません(ただGene Hoglanはたまたま身体が空いてただけでPaul Bostaphの後任に一時的に抜擢されたんでしょうし、一例とは言えあんまりGeneがGeneが言っちゃうのはよろしくないですね)。やはり疾走感に溢れ、痛快な曲調を最大の特徴とするスラッシュメタルを標榜するバンドとして現在もTestamentのことは見てますんで、「なんでもできる」マンが入ってきてもあまり喜ばしい気分には、個人的にはなりません。Testamentではそういった人の技量が存分に発揮できないでしょう。ヘタクソが入ってくればいいというわけでも決してありませんが。
だからLouie Clementeはね、いいんですよ。最早Testamentに彼のいない時間の方が、彼がいた時間よりも長くなってしまいましたが、それでもこのバンドがスラッシュメタルの将来を担う一翼として評価が固まるまでTestamentを支え続けた者のひとりだったことには違いありません。Testamentは現在、奇跡的にデビュー当時のメンバーにLouie Clementeひとりを欠いたラインナップで活動していますし、今ここにLouieが帰ってくることになっても十分色んな面でサマになるんじゃないかな、と思うんですけどねえ。後任がスーパーな人たちばっかだったら相対的に評価され辛い地位に陥ってるだけですよ、きっと。そもそもTestamentはEric Petersonが曲作りの舵を取ってる限り、よほど技量に乏しくないのであればなかなかドラマーが務まらないようなバンドじゃないはずです。John TempestaにGene Hoglan(Demonicにも参加経験アリ)、Paul Bostaph、あと俺は好きじゃないけどDave Lombardo・・・知名度や演奏力への評価の質という点に於いては、Louie Clementeは不利すぎですね。
そういえば、今のツアーでGeneが叩いているとEricが言っていましたが、あれ、脱退して今はMark Hernandezが臨時ドラマーやってんじゃなかったっけ?いつインタビューされたものだったのかな・・・。
さてTestamentのドラマーについてはここまでにするとして、他には、2ギタリストによるTestamentでの己の役割を真面目に分析しつつ語っていた件も読み応えがありました。Testamentくらいビッグなバンドのベテランたちでもこんなことを考えつつ演奏しているのかと少々驚きましたが、地位にあぐらをかかないその姿勢は全く以って保ち続けて然りであり、謹んでお手本にしたく思いますね。
実は前出のスラッシュフェスに出演したいくつかのバンド相手に行われたインタビューが記事になっていて、Testamentの他には、Death AngelとDestructionのものを読みました。特に理由もなく先にTestamentのギタリストたちへのインタビューについて書きましたが、次にDeath Angelを話題にしてYOUNG GUITARについては〆たいと思います。DestructionのMike Sifringerのインタビューは、Destructionにあまり思い入れがないこともあるのでスルーします。Schmierの歌はスゲエ好きです。
ビデオ・Truce(Relentless Retribution収録)より
Mark Osegueda - vo.
マーク アセゲーダ
Ted Aguilar - gt.
テド アギラー
Rob Cavestany - gt. / vo.
ラブ カヴェスタニ
Damien Sisson - ba.
デイミーアン スィサン
Will Carroll - ds.
ウィル カラル
俺はねぇ、このバンドのねぇ・・・Mark Oseguedaがちょ~~~~~~~~~~~~~~~~~好きなんだあー!!!
スラッシュメタル界隈で一番好きなボーカリストを挙げよって言われたら、Chuck BillyにするかMark Oseguedaにするか悩みに悩みますね。どちらも最高にカッコイイ・・・けど、Chuck Billyは不摂生がたたったのか癌の影響からなのか明らかに近年パワーが落ちてきているので(そもそももういい年か・・・)、Mark Osegueda、かなぁ・・・。ついでに両者共歌唱スタイルのみならず容姿も凄く好きですが、Mark Oseguedaが今している、激ロングのドレッドヘアをおさげでまとめるという髪型、これが超カッコよくて滅茶苦茶ツボ。珍しいヘアスタイルじゃないんだろうけど、Mark Oseguedaがやって見せてくれたってのが重要なんだろうな、俺にとっちゃ。
コイツはライブでも凄まじいんだ、コレが。録音・録画されたものがどんくらい加工されてるのかはわからんけど、昔よりも遥かに今の方がかっこいいってのは、ホント、それだけで称賛に値することだよね。私は無類のスラッシュメタル好きですが、昔のDeath Angelは軽すぎてちょっと聴けません。今も今で、Testamentと同じく横ノリの曲がかなり増えたこともあって時にはウンザリすることもあるんですが、そういった曲でも第一に聴覚に刺激を与えるMark Oseguedaの山と谷がはっきりしたボーカルラインが堪能できるとなれば、招かれざるリズムのノリには目をつぶろうという気になるもの。
最新作・Relentless Retributionからは、なんと言ってもClaws in So Deepが珠玉のデキ。そもそもDeath Angelとしてどうか、Relentless Retribution収録の1曲としてどうかってよりも、これまでに耳にしたメタルソングの中でも特に離れがたい魅力の強さを感じる曲のひとつです。このアルバムではギタリストのRob Cavestanyもボーカルを取る曲があるのですが、Claws in So Deepは違うらしくて・・・しかしサビがどう聴いてもMark Oseguedaが歌ってるように聞こえない・・・。そんな引っかかる点があることも、入れ込み具合が薄れないための要素のひとつですw
Death Angelが、元はフィリピン系アメリカ人だけで構成されていたことは有名だと思いますが、おそらく、メンバーの内何人かがなんとか系、ではなく、全員の出自がアメリカでないことに特異点があるということでこのバンドの大きな特徴のひとつになったのだろうと思います。現在のベーシストとドラマーは両者共に白人であり、この点をRob Cavestanyと相棒のTed Aguilarが冗談交じりに話題にしていたことが微笑ましかったですね。おどけての発言ではあったものの、人種差別という言葉も飛び出していましたが、System of a Down(メンバー全員がアルメニア系)、Anthrax(Joey Belladonna(vo.)、Frank Bello(ba.)、Charlie Benante(ds.)に加え、Dan Spitz(元gt.)の後任にRob Caggianoが入ったことで、現在はScott Ian Rosenfeld(gt.、ユダヤ系)以外イタリア系)、Bon Jovi(イタリア系のJohn “Jon Bon Jovi” Bongiovi(vo.)、ポーランド系のRichard “Richie” Sambora(gt.)、ユダヤ系のDavid Bryan Rashbaum(key.)、キューバ系のHector “Tico” Torres(ds.))みたいなのもいるんだから、全員が非アングロサクソンでもまったくどうこう言われる筋合いないよね。特にバンドのメンバーが全員ヒスパニックってのはかなりいそうだなと思うんですが、他民族ではアメリカ合衆国との関わりが建国以来最も深い連中なので今更話題にならないだけですかね。いや有名バンドにそういうのがいないだけか、単に俺が知らないだけ?
Death Angelギター隊の話題は主に、昨今のヘヴィメタル界でベテラン勢、若手勢が共に活躍することについてでした。特にTed Aguilarの方が積極的に新参については評価する姿勢を見せていたことが印象的で、Testamentに於けるEric Petersonと言えるRob Cavestany、Chuck BillyにあたるMark OseguedaがDeath Angelの中核を担いつつ、Ted Aguilarの様に新風を呼び込める可能性が見込める人材には今後のDeath Angelの躍進を願いつつ大いに期待したいところですよね(Ted AguilarはMarkやRobと同じく、そのスペイン語由来のような姓もあって一見フィリピン系に思えるが、純サモア人)。また、Rob Cavestanyの発言から察するに、Damien SissonとWill CarrollはDeath Angelとしての参加第一作目となったRelentless Retributionからツアーを経てDeath Angelでの必要性も増し、バンドの一員としてもだいぶ馴染んだようなので、彼らにも色々と面白い要素をDeath Angelに吹き込んでもらえれば言うことなしなんですけどねえ。
で、具体的には、私としてはClaws in So Deepに並ぶ、或いはできるもんなら(笑)超える力作を期待するところのDeath Angelですが、現在新たなアルバム製作に向けて作曲中とのこと!・・・なんですが、なんか非常に重くて暗いものになるそうで、このコメントになんとも言えない不安を感じずにはいられないんですが・・・。
「暗い」ってのはどういう作風を指すのか、捉え方次第でDeath Angelとしては受け入れ難いものになる可能性が無きにしも非ずといったところですが、たとえば私はHelloweenの、メンバーも100%認める暗さが同バンド史上かつてないほど極まったThe Dark Rideに対して、「ダメ」の反応が初めて聴いたときから己の中に一切生じませんでした。今でもかなり好きなアルバムです。Special Thanksの欄に"No Friends, No Thanks..."と書いてしまうほど精神的に参ってしまったAndi Deris(vo.)のアルバム制作時の心境やバンドが置かれた環境に思いを馳せると、諸手を上げてこの暗さを歓迎というわけにもいきませんが、Children of Bodomの件でも書いたように、いざ聴き出したら信じていいのは音だけです。
Helloweenの傑作と言えば、と反応を集めるとMaster of the Ringsを多くの人が挙げるみたいですが、俺はあんま好きじゃないです、このアルバム。これ聴くならThe Dark Ride聴きますね。おまけにMaster of the Ringsに対する完全な上位互換として個人的に認識しているThe Time of the Oathの存在感が無視できません。曲単位だと、Sole Survivor、Where the Rain Grows、Take Me Home、Still We Go、Mr Ego (Take Me Down)なんかがお気に入りとして挙げられるんですが・・・。Mr Egoを気に入っているあたりが、The Dark Rideが琴線に触れることに通じますかね。Better than RawでもHey Lord!、Handful of Painなんか好きな方ですねえ。勿論、Push、Falling Higher、Revelation、Midnight Sun、そしてLavdate Dominvmには敵いませんが。もうホントね、Revelationを聴く度にHelloweenの損失は大きすぎたな、って思いマスヨ・・・嗚呼Uli Kusch(元ds.)。
未だにDani Löbleのドラミングは好きじゃないんですが、以前あるBURRN!のインタビューを読んで、少なくとも彼のプレイスタイルに対する理解はできましたよ。このBURRN!は持ってるので、理解の基になった当該箇所を一字一句そのまま引用致します-
“もしも俺が手の込んだスティックの技や変わったドラム・ロールを披露したりしたら、観客は退屈してしまうだろう?(中略)俺は、ジャズ・ドラマーやプログレッシヴ・ドラマーみたいに変わったドラム・パターンを叩くのは嫌いなんだ。もっとパワフルなサウンドにしたい。俺にとってはそれが一番大切で、ステージでよく響くグルーヴやビートを叩きたい。AC/DCみたいなシンプルなグルーヴを出せば、サウンド・エンジニアがいい音にするのも難しくないだろ。というわけで、観てる人達にパワー、エナジー、そして楽しいひとときを提供するというのが俺のアプローチなんだ。”(2013年2月号25ページ、インタビュアー: 大野奈鷹美)
シビれますね!Ingo SchwichtenbergとかUli Kuschのドラミングの方が俺はやっぱり好きではあるけど、Daniがどういうこだわりを持っているのか、何故あのように叩いているのか、前面に出すべき彼自身の個性はどんなものなのかがこの発言に集約されていて非常にわかりやすく、彼のことは「人」としては間違いなくこれをきっかけに好きになれました。エンジニアへの言及もすごく好感が持てますね。客に届く音を最終的につくるのは彼らですもんね。自分のやりたいことを素直にやり、且つその演奏がいい音として聴き手に届くために必要なものも見据えた上でミュージシャンやってると。当然のことなのかもしれませんが、こういうことを言っているミュージシャンはドラマーでは初めて見たので感嘆の度合いもひとしおです。あと、彼オッサン面だけど古参メンバーよりも結構若かったんですね(笑)。関係ないんだけどSascha Gerstner(gt.)、ヒゲ似合ってないよ・・・Rabbit Don't Come Easyのインナーで見られる短髪の爽やかな青年の頃に戻れとまでは言わないけど、ちょっと外見がモッサリし過ぎだ・・・おまけに右腕刺青だらけになっちゃってるし・・・。
そうそう、このSascha Gerstnerについて、彼自身でなくAndi Derisが面白いことを言ってました。俺が何故Dani Löbleのプレイがあまり好きではないかということに関わるので、これも引用してみたいと思います。Marcus Grosskopf(ba.)、Sascha Gerstner、Michael Weikath(gt.)をHelloweenのソングライターとして評したAndi Derisの発言から-
“サシャは21世紀のテクニカル・ヒーローだ。だから、彼には注意しておかないとね。さもないと物凄く複雑な曲を書いてきて、誰もコピーしてプレイ出来ないようなメガ・スーパー・バンドになってしまうよ。俺達はそんなものになりたいんじゃない。ちょっと練習すれば誰もが弾けるようになる曲をやりたいんだ。だから、常にテクニカルなスーパー・ギタリストのサシャには、HELLOWEENはスーパー・バンドじゃないってことを言い続けないとね。パーティーしてヘッドバンギングして、皆で楽しむほうが大事なんだって。俺としても、ただじっと聴き入るようなバンドよりも、そういうバンドにいるほうがいいし。(中略)さっきも言ったように、彼は21世紀のスーパー・ギタリストだから、4分50秒は弾きまくる。超複雑で、もしかすると超面白いのかもしれない。誰もが感心するかもしれないけど、それはHELLOWEENのコンセプトにはそぐわないだろう。だから彼には「強力なのはこのパートだ。お前の強みはそこにあるから、このパートをプッシュするんだよ。ここのリフレインをもっと磨き上げて、ここのパートはもっとシンプルにすべきだ」と伝えてやらなければならない。”(同上6ページ、同インタビュアー)
やたらめったらテクニカル&プログレッシブなことやってりゃいいんじゃないぞと。そもそもHelloweenはそういうバンドじゃないんだと。
元々ポップなメタルバンド(Pinc Cream 69)でボーカリスト&メインソングライターを務めていたAndi Deris。彼の加入当時にはテクニカル志向のRoland Grapow(元gt.; ヘッコ時代はよくヘタだと言われてますが、そうですかねぇ?良い音でギターソロが録られていたためしがないので、そのせいで余計荒く聞こえていたんじゃないですかね。なんにせよスタジオでも安定しないプレイを披露してあまつさえそのまま録音してしまうMichael Weikathに比べればずっと聴き心地が良いです)とUli Kuschがいたわけですが、Andiのポップスタイルは崩れなかったし、彼の作風はヘッコの新たな「顔」になりました。
Daniのプレイスタイルは、こういうAndiのこだわりに実によく合ってますよね。俺は曲中の濃厚で、かつある程度長く披露されるテクニカル成分に惹かれるタチなのでDani Löbleのスタイルがいまいち合わないわけなんですが、そもそもHelloweenはイントロからアウトロまでフル・テクニカル・マラソンで頑張るバンドじゃないし、期待するだにムダなんですね。他あたれと。それは俺もわかってるんですが、前任が「あの」Uli Kuschでしたからね。やけにシンプル&ヘヴィを身上とするドラマーが入ってきたなと、なんだか未だに場違いなヤツがいる印象が拭えずにいます・・・。
ところでSascha Gerstnerって本当に「21世紀の」って枕詞を付けていいくらいウマいんでしょうか?現代若手ギタリストの代表格のひとり、Gus G.の、あるとするならその凄さってもんが私にはまったくわからないので、俺がSaschaの真の魅力に気づけていないだけなのか。彼がいた時期のFreedom Call聴いた方がいいかな。
恒例の脱線に入ってしまいましたが、Death Angelの新作ですね。元々明るい雰囲気の曲が多くないバンドなのでRob Cavestanyあたりがそういう作風を身上としているのでしょうが、「暗い」とはっきり言われると、ただでさえ暗い曲が多いのに更に陰りが濃くなると最早「不気味」になりそうじゃないですか?ただ、Relentless Retributionの中でも曲調の暗さが目立つClaws in So Deepみたいに、「明るさが微塵もないところがイイ」って場合もあるから・・・方向性や完成品としての質として一概にヤバそうと言い切れない。
次に「重い」ってのも、これ以上のものになると歓迎しかねますねぇ。今が実に丁度いいレベルだと私は思ってます。今のTestamentとかExodusくらいになるといきすぎ、対してDeath Angelは非常に心地良い質感を保っているところが最大の魅力のひとつであると言いたいのです。このおかげで、過剰な何かが音楽の本質的な魅力を厚かれ薄かれ覆っているような感覚を覚えることもなく安心して聴いていられる。おっとそれはのんびり聴く対象になってるとか、頭が振れないってことじゃないゼ。昨日は勉強しながら聴いてる内にテンションがだだ上りしてしまって、首振りまくりで勉強のために利用してたPCのディスプレイがまったく見られない状態のまま、キーボード上の両手の位置だけに気をつけつつポチポチと打ってました。上半身をブルンブルン振り回しつつタンタンタンと滑らかに打つのはさすがにムリで・・・。今日マジで首痛いんです。朝はそんなことなかったんですけど、筋肉痛の如く昼過ぎてからキてビビったわ。
Mark Oseguedaの鋭いボーカルがこのバンドを大衆的なメジャーバンドに脱皮させない要因のひとつだと思いますが、同じくベテランスラッシュメタルバンドであるTestamentやExodusなんかを聴いているときよりもDeath Angelを聴いているときの方が、彼らが名実共にビッグであるかどうか関係なく、もっと直感的に音楽の良さが身に染みる瞬間が矢継ぎ早に生じるんですよねえ。
Mark Oseguedaの年を取ってもキッズじみたパワフルさにベテランの貫禄溢れる安定したインパクトが抜群に心地良い歌唱、どんな曲に於いても独特で印象的なボーカルライン、バックには誰ひとりとして技能についてはメタル界で目立つ立ち位置を確保していない(笑)、故にこれ以上ないほどDeath Angelにピッタリな楽器隊。
Death Angelはイイんだ。
なんだかんだで新作も凄く楽しみです。たぶん今年中には出るでしょう。それからHeathenの新作も早くー!
・・・で、まだGuitar Player誌の話題が残ってることをここに至るまですっかり失念しておりましたが、なんかDeath Angelについて書けたことでブログの内容について満足しちゃったんでもうイイです(笑)。表紙がEddie Van Halenだったから手に取りました。中身は速弾きで有名なギタリスト特集でした。Guthrie Govanがシュレッダーと呼ばれることが大嫌いだと言っていたのが印象的でした。
オシマイ。