いやぁ、遂に出ましたね!白水社のニューエクスプレスシリーズなので、「ニューエクスプレス タミル語」に続いてということで「出ましたね第2弾」だ!
ニューエクスプレス ラトヴィア語!
(発売は先月なので今更感がありますが・・・知ったの今日だから仕方ないね)
俺は個人的に、ラトビアのことは「ラトヴィア」でなく「ラトビア」と言っているので、この書名を除いて以下「ラトビア」で通します。
ラトビア共和国の国語です。原語名はlatviešu valoda。ラトビア語は長音は長音記号によって表され、短母音に見えるところは実際短いので素直にそのまま読んでください。「š」はいわゆるローマ字の「sh」にあたります。もしリトアニア語みたいに声調があるのなら、母音の長さはさだかではなくなりますが・・・そこまでは知らないっす。
リトアニア語と同じくインド・ヨーロッパ語族の「バルト語派」って語派に属する言語ですが、これら2つの言語間での相互理解は適わないそうです。俺はそのことをja.wikipedia.orgで読みましたが、理由までは書いてませんでした。で、何故なのかというと、これは白水社の同書専用ページの紹介文にあったのですが、他の言語からの影響が強いからだそうです。まぁ、たとえば共にイタリック語派に属しているフランス語とスペイン語で会話しても話は通じませんが・・・。バルト語派に属していると判明している言語は数少ないので、勝手に分化の深度が他の語派に比べて大したことがないと勘違いしてしまってるのかもしれませんね。今はなきプロイセンの言語、プロシア語もバルト系の言語だったそうです。ドイツとセットになってるイメージが強いので、ゲルマン系だったのかと早とちりしてしまいそうじゃないですか?実際俺がそうだったからこんなこと言ってるだけなんですが。
ラトビア語には、リトアニア語にはない軟音(字母: ķ, ģ, ļ, ņ)がありますが、これは白水社によるところのロシア語の影響なんですかね。ただリトアニア語もスラヴ系言語の影響を相当受けているはずなので、何故リトアニア語には生じなかったのかが気になりますが。とは言え、リトアニア語には「字母としての軟音」が存在しないだけで、それっぽい音を言語として有さないというわけではありません。
さてこのニューエクスプレス ラトヴィア語、本邦初のラトビア語入門書の筈です。昔、大学書林から「ラトビア語基礎 1500語」って本が刊行されましたが、これは「入門書」ではない。まぁ、内容は見たことないので、ちょっとした文法解説のためにスペースが割かれているようですがその価値の程度は当然よくわからず、何にせよこれはあくまでも「単語帳」です。
先日ニューエクスプレスシリーズのラインナップ入りを果たしたタミル語の方は、南船北馬舎から袋井由布子女史による(実際は共著書で、「カルパナ・ジョイ & 袋井由布子 著」なんだが)「タミル語入門」が先に出ていますが、ラトビア語の入門書は本当にこれが我が国初のものでしょう。
これの刊行を知ったときの衝撃の度合いの大きさは、「ルクセンブルク語入門」のときに比べれば小さいものでしたが、嬉しいことに違いはありません。実はずっと、白水社のニューエクスプレスシリーズのページに「続刊予定」としてラトビア語が挙げられており、しかし一向に出ないので「言ってるだけか?」と思っていただけに、この刊行は諸手を挙げて歓迎したいものです。
内容は勿論、白水社で見られるサンプル以外にはどんなものなのか判りようがないので、実際購入するまでその出来具合については評価できませんが、もし登場する語彙にあまりにも不足があれば、上述の「ラトビア語基礎 1500語」と併用して学習にあたるのがよろしかろうと思われます。まぁ、他のニューエクスプレスシリーズの本を見るに「これ1冊で話せるようになる」代物でないことは確かでしょうが、大抵それは何故かというと、1000にも満たない語彙数に原因があると俺は思ってますので、「ラトビア語基礎 1500語」の真価は、これの刊行から長く経ったまさに今、発揮されるのかもしれませんね。
みなさん、ニューエクスプレス ラトヴィア語、買いましょう!
そしてラトビア(語)市場の価値を出版界に提示するのです!
そんなもん存在しないってんなら、この本を買うことでまずは土壌を作り出しましょう!
ってくらいの熱意を持ってくれる人がいないかな、と。
俺ひとりが買ってもねぇ・・・。
実際どういう人が買うんでしょうね、こういうニッチな言語の本。言語マニア以外で。
バルト三国の求心力って、日本ではどんなもんなんでしょ。
もう今バルト三国なんて社会で習ってすらいない気がしますが・・・今の若い連中でバルト三国を全部言える奴がどれだけいるか・・・。
エストニアはなんかハッカーが多いそうで、そういう悪評が縁でネット上では同国の名前を見る機会があったりするかもしれませんが(しかしこれも過去の話かも)、ラトビア、リトアニアなんて・・・日本にいたら年に1、2回その名を聞くかどうかってレベルで話題にならない国じゃないですかね。少なくともニュースじゃ聞かない。
かく言う俺も国については全然実情は知りませんけどね。言語に興味持ってるだけだし。いや、これを育んだ文化や風土にまったく関心がないってわけじゃあありませんが・・・とにかくまずは言語。すべては言語から!
ところで「ニューエクスプレスシリーズ タミル語」はどれくらい売れたんでしょうかね。俺はまだ買ってません。「タミル語入門」の方まだ読了してませんしね。いや、カネに余裕があればそんなもん関係なく買うところなんですが。
さて次にニューエクスプレスシリーズシリーズに加わる言語は何になるんでしょうかね。
俺としては一刻も早くイディッシュのものが欲しいんですが。「エクスプレスシリーズ」(音声教材がない)にはあったんだから、パンジャーブ語もそうでしたが、これらのニューエクスプレスシリーズ入りの方を優先してやって欲しいわ。この2つなんて「CDエクスプレスシリーズ」からすら出されてないんだぜ。よほど売れ行きが悪かったのか。黒田龍之助氏曰く、エクスプレスシリーズで最も売れなかったのがパンジャーブ語のものだったそうです。泣けるなあ。CDエクスプレスにあったアイスランド語は駐日アイスランド大使館職員に「CDの音声がくぐもってる」とまで言われちゃったんだから、ニューエクスプレスシリーズとして洗練して出し直そうとか、考えられんのかね。
現在「続刊予定」とされているのは、ページがアップデートされてないので「ラトヴィア語」、それと「古典ギリシア語」とあります・・・が、はぁ、古典ギリシャ語ねぇ。
ラテン語もそうだけどさ、「ニューエクスプレスシリーズとして」需要あるの?古典期のギリシャ語とラテン語は既に昔っから名著が幅をきかせてるし、そもそもさわりだけやっても読めるようになる本はないからニューエクスプレスシリーズとして出る意義があるとはまったく思えん。
こんなもんに費やすカネがあるならさ・・・。
って、最後愚痴で終わっちゃったよ・・・。
何はともあれ、「ニューエクスプレス ラトヴィア語」刊行は吉報以外の何物でもありません。
私は買います。