3日に分けて書く3言語学習成果。
初日はタミル語(தமிழ்(タミル))です。
遂にタミル文字も使って記事が書ける日が来た!
1. タミル語
1.1. 命令の表現
1.1.1. 肯定命令
動詞の語幹を用いる。タミル語の2人称には近称と敬称があるので、命令の方法にも2通りある。
尚、動詞命令法(「法」じゃないかも?フランス語とかで習った言い方なんだよねえ・・・)敬称形は語形上からは対象が単数であるか複数であるかが判別できない(フランス語などと同じ)。また、タミル語での動詞・2人称近称形は、大分年下の相手か、こと親しい友人に対してしか使わないそうだ(タミル語は、ってのもおかしいか。タミル語に反映されているタミル文化に於ける伝統的に正しい対人関係の為し方に因っているんだろうし)。
நீ வா(<不定形: வர(ヴァラ)).(ニー・ヴァー)=きみ、来なさい。
நீங்கள் வாருங்கள்.(ニーンガ・ヴァーンガ)=あなた、来て下さい。(若しくは「あなた方、来て下さい。」)
நீとநீங்கள்は人称代名詞だが、動詞を用いての命令を口にする際、逐一人称代名詞が必要であるかどうかは(まだ)言及されていない。本での和訳は「きみは来い」という不自然なものになっているので(状況に依っては不自然とも言えないが、本での例文の表記の仕方に、特殊な状況下での発言であるという印象はさっぱりない)、おそらく不要。人称代名詞நீங்கள்はநீにங்கள்を追加したもので、肯定命令敬称形の指標も同じく-ங்கள்であることから、敬称形-ங்கள்の根拠を示し、語形に説得力を持たせる意図があって併記したのかもしれない。
敬称を用いるべき相手に対しては、動詞に付く語尾に-ருங்கள்以外のものがある。尚、上記の-ருங்கள்は語末がஆ(வと合わさってவா)である場合に付随されるものである。
語末に子音: உட்கார்(オッカール) > உட்காருங்கள்(உட்கார்+உங்கள்)(オッカールンガ)
語末に母音: சாப்பிடு(サーピドゥ) > சாப்பிடுங்கள்(சாப்பிடு+ங்கள்)(サーピドゥンガ)
語末に「イ」系の音: Xஇ > Xஇயுங்கள்(-ユンガ)(これを語末に持つ動詞がまだ本に出てきていない)
1.1.2. 否定命令
動詞の不定形を用いる。方法に2通りあるのは1.1.1.と同様。
இங்கே வராதே(வர+ஆதே).(インガ・ヴァラーダ)=ここへ来るな。
இங்கே வராதீற்கள்(வர+ஆதீற்கள்).(インガ・ヴァラーディーンガ)=ここへ来ないで下さい。
1.1.1.とは違い、敬称形に付随される語尾は1種類のみのようだ。不定形は、-ஆதீற்கள்が付くに不都合のない形をした語末をしているものばかりなのだろうか?
1.1.3. 禁止を指示する表現
厳密には命令ではないと思うが、本には「命令」の項目に挙げられているのでそれに準ずる。動詞の不定形の後に分かち書きでகூடாதுを置くことによって表現する。
இங்கே வர கூடாது.(インガ・ヴァラ・クーダードゥ)=ここに来てはいけません。
1.2. 疑問の表現
1.2.1. -ஆで示される肯定疑問
-இங்கே நல்ல ஹோட்டல் இருக்கிறதா(இருக்கிறது+ஆ)?(インガ・ナッラ・ホータル・イルッカー)=ここに良いホテルはありますか?
-இங்கே நல்ல ஹோட்டல் ஒன்றும் இல்லை.(インガ・ナッラ・ホータル・オンヌン・イッラ)=ここに良いホテルはひとつもありません。
文末の語の末尾にaを追加するだけで肯定疑問文が形成される。その際、その語が既にஆ(アー)で終わっている場合には-ஆは-வா(ヴァー)、「イ」系の音で終わっている場合には-யா(ヤー)になる。
1.2.2. -ஓで示される肯定疑問
-இந்த உணவு காரமாக இருக்குமொ(இருக்கும்+ஓ)?(インダ・オナヴ・カーラマー・イルックモー)=この食事は辛いのですか?
-இல்லை, அவ்வளவு காரமாக இருக்காது.(イッラ、アヴァラヴ・カーラマー・イルッカードゥ)=いいえ、それほど辛くありません。
この疑問の表現は、日本語で言うと「~のですか?」という言い回しに相当すると本には書いてあるが、非常に漠然とした説明だと思う。俺は勿論日本人だが、「~ですか?」と「~のですか?」という2通りの言い回しにある相互的に小さな違いはどういうものかと問われると長考、閉口せざるを得ないと思う。
敢えて言うなら、「~のですか?」の方には、「~ですか?」に比べ、話者の返答を急く、或いはそれを強く欲する意思が反映されているような気がせんでもない。
1.2.3. 名詞+இல்லையாで示される否定疑問
否定疑問であっても、文末の語の末尾にஆが置かれるのは同じ。否定の指標இல்லைにஆが付き、前者の末尾にある「イ」の音と、次に来る「アー」の音の緩衝のためにய்(y)が挿入されているものである。
இங்கே நல்ல ஹோட்டல் இல்லையா?(インガ・ナッラ・ホータル・イッラヤー)=ここに良いホテルはありませんか?
尚、これを肯定するにはஇல்லைと、否定するにはஇருக்கிறதுと答える: இல்லை, இங்கே நல்ல ஹோட்டல் ஒன்றும் இல்லை.(イッラ、インガ・ナッラ・ホータル・オンヌン・イッラ)=はい、ひとつもありません。 / இருக்கிறது.(イルック)=いいえ(、ありますよ)。
1.2.4. 動詞不定形+வில்லையாで示される否定疑問
動詞を含む否定疑問文には-வில்லையாが用いられる。動詞のない、名詞を使った否定疑問文との違いは、இல்லையாは名詞と分かち書きされたものが、こちらは動詞不定形に直接付加されることである。
-பஸ் இன்னும் வரவில்லையா?(バス・インヌン・ヴァララヤー)=バスはまだ来ませんか?
-இப்போது வந்துவிடும்.(イッポー・ヴァンドゥルン)=今来ます。
ちなみに逐一併記したカナによる口語的な読み方についてだが、綴りと実際的な音の乖離を見極めるにあたっての法則がまだ完全に把握できていないので、これらの発音例の根拠についての説明は割愛する。
ちなみに逐一併記したカナによる口語的な読み方についてだが、綴りと実際的な音の乖離を見極めるにあたっての法則がまだ完全に把握できていないので、これらの発音例の根拠についての説明は割愛する。
実は、タミル語の本を買ったぞ!って記事から、学習はページ上進んでないんだよね。
なんか、まだ進んじゃダメな気がしてさ。学習内容が身に染みてない実感があるというか。「ない」のに「実感がある」ってのもヘンだが。
それに、タミル語を使いこなせるようになるぞ!って意気込みがあって勉強してるワケじゃなくて、ただ「書きたい!」って願望から始まってるこの学習だし、同じページに亘って見い出せる同じ文章群を何度も書いてるだけでも楽しいんだよね。実際、上の文法事項とか本にある例文、語彙なんかはしつこく同じこと模写してるウチに身についたものだし。なので、上に書いたことには、ある間違いは本に準拠していることが言い訳にできても、そのこととは関係なく覚え違いをしている点があるかもしれない。そんなわけで実際あっても大目に見てくだちゃーい。
ちなみに今回遂にラテン文字に頼らない、タミル語(と、カナでの擬似発音例)を混ぜての記述が適ったわけだが(やはりLexilogosではタミル語入力ができた!)、綴りの間違いがどこかに紛れ込んでるかも・・・。
本当は、カナじゃなくていつも通り、ラテン文字を併記させ読みを示そうかと思ったんだけど、結局口語上の発音がそれからじゃわからないとあっては、「タミル語 / ラテン文字 / カナ」という表記になってしまって、メンドk・・・煩雑この上ないからね。
ただ、ラテン文字とカナを同時に綴ると、(日本人読者相手には、だが、)タミル語の文語と口語での発音の違いが実に効果的に演出できるのが良いのだが。
以前も書いたが、இருக்கிறது(...がある)は「irukkiṟadu(イルッキラドゥ)」と転写でき、その口語上の発音をカナで表現すると「イルック」である。
「ヴァララヤー」とした「வரவில்லையா」も、転写では「varavillaiyā」であり、その音は読んで字の如く「ヴァラヴィッライヤー」の様である。そう、動詞の不定形(வர(vara)=来る)の語尾と、追加されるஇல்லையா(illaiyā=...ないか?)との間に口調の緩衝としてவ்(v)が挿入されているのに、実際の発音ではまるでムシ。俺は慣れてしまって、もはや「そんなもんか」としか思えなくなっているが。
「ヴァラヴィッライヤー」よりは、「ヴァララヤー」の方が言い易い・・・これは否定するべくもない。しかし、綴り通り読めないと困惑するものである。この考え方は、言語の魅力を文字に見出してきたことの弊害なんだろうか?いや、特別なことではないとは思っているが・・・。
t / dに2種類(த்、ட்)、rに2種類(ர்、ற்)、lは3種類(ல்、ள்、ழ்)など、タミル語はまさに、その学習に於いて音声教材が必須である言語だと言わざるを得ないね。一応本に於いて文字で説明されてはいるし、これらの示す音のどれもが他の言語経由で既に知っていたものなので、それぞれ別個のものであると区別がついてはいるんだが・・・うまく発音できるかっつーと別なんだよね。
机上の学習に専心し、音声面の追求を疎かにしてきたツケがこんなところに!
第2弾はアルバニア語、第3弾はバスク語の予定です。