2012年6月4日月曜日

=「мой отец—учитель」 ~リトアニア語第3課

カイープ・ギーヴーオヤテ
Kaip gyvuojate?
お元気ですか。

 俺?俺は元気じゃないです(´・ω・`)

クラーセーィエ
第三課: KLASĖJE
教室で

 今回もひとつのまとまった会話文にはなっておらず、色んな表現の寄せ集めで構成されているので、全文書き出しは省きます。

プラシャウー・スカイティーティ
Prašau skaityti.
読んでください。

※skaitýti: 読む(不定形)

 というわけで、今回から本格的に動詞が登場します。この課に出てくるものはほぼ全てが不定詞で用いられています。

スカイティーキテ
Skaitykite!
読みなさい。

※skaitýkite: skaityti命令形2人称複数

 「命令形」が出てきましたね。「命令」はないんでしょうか?

プラシャウー・イシュヴェルースティ
Prašau išversti.
翻訳してください。

※išver̃sti: 翻訳する(不定形)

 「skaityti」、「išversti」と、-tiを語尾に持つ動詞が続きましたが、これは当然のことで、リトアニア語の不定詞は-tiを語尾に持つのが特徴です。第2課で書いたbūti、gyventiの語末も、勿論この特徴が表れたものです。

プラシャウー・ラシーティ
Prašau rašyti.
書いてください。

※rašýti: 書く(不定形)

 不定形末尾の-tiの直前にyを持つ動詞は、そこに必ずアクセント(下降アクセント)があるのでしょうか?少なくとも今までに見てきたものはみんなそうです。

プラシャウー・デーメシオ
Prašau dėmesio!
聞いてください。

※dė̃mesio < dėmesỹs(デーメスィース; m.) s.gen.: 注目、注意

 和訳だと「Écoutez bien!(エクテ・ビヤン」と書かれているかの如しですが、dėmesysは注釈の通り、「注目」という意味を持つ言葉なので、直訳だと「どうか注目(してください)」ですね。言わずもがな、「聞いてください」とは本に従ったものです。和訳通りの「聞く」という動詞を用いなかったのは、「教室に於いては」こう言う方が自然ってことなんでしょうか?
 ところで、主格・dėmesysと属格・dėmesioとでは、アクセントの位置に違いがありますね。地獄の扉が開く音がするぜ・・・。

プラシャウー・パカルトーティ
Prašau pakartoti.
繰り返してください。

※pakartóti: 繰り返す(不定形)

 -tiの直前に、これまでとは別の字母が来ましたね。X-ytiという不定形に於いてyがアクセントを持つというより、-tiの直前の母音がアクセントを持つのではないかと推測する方が適切みたいですね。išverstiに於ける-tiの直前の母音字はeですが、子音字であるrと二重母音を形成してますんでrに付いていてもおかしくない。

ダール・カルーター
Dár kar̃tą.
もう一度。

 これの表現について、単語毎の意味が記載されていないので、このまま覚えよってことなんでしょうね。
 字母「ą」は初めて登場しましたね。かつてはaの鼻母音を示していたものが、現代ではaの長音になっているというものです。ę、į、ųも同じ変遷を辿った字母です。なんで鼻母音は廃れちゃったんでしょうね。ある音がなくなったのなら、それを示していた字も共に廃止するとか他の字に置き換えればいいのに、なんの働きがあってこういうのって残存するんだろうね(英語の母音の表記とかね!)。このせいでįとy, ųとūで同じ音を共有するようになっちゃったんだから。ęとėは、カナで音写するとどちらも「エー」ですが、正確には前者は広いe、後者は狭いeです。ちなみにąとęはポーランド語にもあり、これらは鼻母音です。
 それにしてもまたもやの現象だが、「r+アクセント」の表記がヒドいことになってんなぁ・・・。
 「母音字+子音字」という結合でのアクセントは、母音に付く方は下降アクセント、子音に付く方は上昇アクセントと必ず決まっているのなら、ある「VC」という二重母音に於いて、Vの方に上昇アクセントを付記することによって直後のCのアクセントを示すってやり方をしても、無理はない・・・よな?カナによる読みは必ず付けるし、たとえば上の「kartą」なら、

 カルーター
 kãrtą

 と書くわけだから、「カールター」と誤読される可能性はなくなる。
 ただ、俺個人が自由に書いている場所限定であるとはいえ、勝手にそういうことをしていいものかどうか・・・。誰に責められるわけではなくとも、最終的に最も説得に心を砕く相手って、自分自身なんだよね。いわゆる葛藤ってやつか?この言葉人生で初めて使ったかも。
 ベトナム語キーボードを使ってアクセントを付けると頭で決めてそれを実践する前からこうなることはこれまでの経験上わかってたんだよ。アクセント付きの「jūs」がキレイに表示できる例を示したけど、このフォントあのサイズで偶然うまくいっただけであって、デカくしてフォントをPalatino Linotypeにしたら第2課で見た通りの有様だよ。
 文章の後に「※」で導かれる注釈で単語毎の意味をアクセントの位置と共に見る際に、字母に直接アクセント記号を乗せないで、「rに上昇アクセント」とか書こうかなとも思ったんだけど、いまだ自分を納得させられる方式を決めかねています。

ヴィスィ・カルトゥ
Visi kartu.
みんな一緒に。

※visì: みんな、kartù: 一緒に

 kartąは注釈がないのにkartuにはあるっていう。いや、kartąとkartuが同一の語である証拠が第3課のどこかにあるわけじゃないんですけど、・・・まぁ、十中八九同じ言葉でしょ。「dar」が「更に」、「kartą」が「一度」であると仮定できんこともないし、となると「kartu」は「一度」から類推して「一纏め」のような意味があるんじゃないかと。

タイー・ヴィスカス
Tai viskas.
それだけです。

※taĩ: それ、vìskas: すべて

 フランス語で言う「c'est tout(セ・トゥ)」に完全に対応する表現でしょうね。この「viskas」と上の「visi」は、それぞれの意味や語形上から察するに、互いに関係の深い言葉であることがわかります。
 これが成句であるとして、ならば文法的にあまり細かいことが気にされず用いられている可能性もありますが、「それが」+「すべて」という表現にbūtiが伴われていないことには説明がつきます。リトアニア語では、「...は...である」という表現に於いて、繁辞の省略が許されるのです。

マノ・テーヴァス・(イーラ・)モーキートヤス
Mano tėvas (yra) mokytojas.
私の父は教師です。

※màno: 私の、tė́vas: 父、mókytojas: 教師

 また、名詞と名詞の間をハイフン(よりも長い線、が正しいのかな?ダッシュ?)で繋ぐこともあります。昨日の「labai malonu susipažinti su Jumis=очень приятно с вами познакомиться」に続き、これもロシア語的です。となると想像がつくでしょうが、上記リトアニア語文と同じ構文、時制に於いては繁辞が不要であるという点も共通です。というより、ロシア語の場合はリトアニア語と違い、「繁辞がなくてもいい」のではなく、「使わないのが正しい」のです。たとえば上の「Mano tėvas...」をそっくりロシア語に訳すると、

mój oťéc učíťeľ / モーィ・アチェーツ・ウチーチャリ
Мой отец—учитель.

 となります。リトアニア語・būtiにあたるロシア語はбыть(býť / ビーチ)、そしてその直説法現在3人称単数はбудет(búďet / ブーヂャト)ですが、「мой отец будет учитель」とは決して言いません。

カス・ノーリ・スカイティーティ
Kas nori skaityti?
誰が読みたいですか。

※kàs: 誰(が)、nóri < norė́ti(ノレーティ)直説法現在3人称単数: 望む

 色んな言語で見てきましたからね、完全に注釈抜きで“「望む」を示す動詞と不定詞を組み合わせて「不定詞が表現する動作を行うことを欲する」という意味になる”と即座に理解できますね。
 さてでは最後に、本が言うところの動詞の3種の分類とやらを見てみましょう。

第一種
例: eĩti(エイーティ)=行く

s. / pl.
aš einù(エイヌ) / mes eĩname(エイーナメ)
tu einì(エイニ) / jūs eĩnate(エイーナテ)
jis eĩna(エイーナ) / jie eĩna(エイーナ)

 このように、単数が-u, -i, -a、複数が-ame, -ate, -aに終わるのが特徴です。「3人称単数と複数の活用は同じ」でしたね。また、3人称単数と複数すべてに於けるアクセントは、人称と数を示す部分には付かないそうです。1人称と2人称の単数の場合は、付いたり付かなかったりです。eitiの場合は上で見られるように、前者ですね。
 そしてこの第一種には「亜種」があります。ここで示した人称の指標に+αで・・・

第一種・亜種
例: ruõšti(ルオーシュティ)=準備する

s. / pl.
aš ruoš(ルオシウ) / mes ruõšiame(ルオーシェメ)
tu ruõši(ルオーシ) / jūs ruõšiate(ルオーシェテ)
jis ruõšia(ルオーシェ) / jie ruõšia(ルオーシェ)

 と、このように、動詞語幹と第一種の人称語尾の間に-i-が挿入されるのです。おそらくですが、第一種・亜種に属する動詞は、-tiの直前の子音になんらかの共通点があるのではないかと思っています。歯擦音、若しくはこれと同類の音とか、ね・・・。狭い前舌母音と相性の良い子音、とも言えます。

第二種
例: mylė́ti(ミーレーティ)=好む

s. / pl.
aš mýliu(ミーリウ) / mes mýlime(ミーリメ)
tu mýli(ミーリ) / јūs mýlite(ミーリテ)
jis mýli(ミーリ) / jie mýli(ミーリ)

 さてこちらは動詞語幹にプラスiです。また、すべての人称と数に於いて語幹にアクセントがあること、加えて、3人称の単数形がその複数形のみならず、2人称単数との間とでも同一の語形を持っていることが特徴ですね。
 mylėtiを見るに、-tiの直前に狭い前舌母音、即ち/i/か/e/かこれらの類音のある動詞が属するのかなと思ったんですが、そう単純なものではないっぽいですね。というのも・・・

第三種
例: skaitýti=読む

aš skait(スカイタウー) / mes skaĩtome(スカイートメ)
tu skait(スカイタイー) / jūs skaĩtote(スカイートテ)
jis skaĩto(スカイート) / jie skaĩto(スカイート)

 この第三種があるからなんですね。動詞語幹の直後に硬母音(ここではaとo)が続いているのが特徴で、第一種に似ていますね。
 と、いうわけで、動詞の活用が示された第3課ですが、本文にはnorėti > noriしか直説法現在形として活用されている動詞が出てこないっていう・・・スペースもったいねぇ。
 うーん、そろそろタミル語についてまた書きたいんだけどなあ・・・。これまでのリトアニア語以上に例文が場面を同一にしてひとまとまりの体を成しているわけじゃないから、複数のページに亘って相互に関連のない文章を暗記しておかないと書けないっていう・・・骨折れるよこれは。
 まあ、頑張ります。

 イキ・パスィマーティーモ
 Iki pasimatymo!

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