2012年11月27日火曜日

「ニューエクスプレス タミル語」!

 遂に出ます!待・待・待・待・待望の言語学習書!

 ニューエクスプレス タミル語だぁ~!宮本城 著、3,150円!

 ・・・いや、この著者のことは全然知らんけどね。初めて名前聞いた。まぁ、名前を覚えている言語学者なんてそもそも殆どいないんだけど・・・。小泉保黒田龍之助くらいかなぁ。デュメジル(Georges Dumézil)、ソシュール(Ferdinand de Saussure)、グリム(Jacob & Wilhelm Grimm)、シャンポリオン(Jean-François Champollion)とか常識的な連中は別でね。
 来月発売ですが、白水社ホームページではもう情報が掲載されており、シリーズの他の書籍と同じくちょっとだけ中身も見られます。
 う~む・・・とりあえず目を引いたのは、タミル語に付記されている仮名表記は文語読みだって点だな。文語読みとゆうか、文字を書いてある通りに読む。即ち文語調。
 たとえばஇலலைはラテン文字のILLAIに相当しますが、口語では「イッライ」でなく「イッラ」となる・・・前に何度も書きましたね、こういうこと。இருககிறதுIRUKKIṞADU、しかし「イルック」-綴られている文字と、実際口にされたときの発音との乖離が激しくて、文語読みに準じて言葉を発していると全然通じないほどなんだとか。
 アラビア語とは大違いだよね。たとえば日本でも有名なアル・ジャズィーラってあるじゃないですか、ああいうニュース番組なんかでは、地方毎の特色が強く出た方言「アーンミーヤ」ではなく、「フスハー」(正則アラビア語)でキャスターは喋りますし、討論の出演者たちもやっぱりフスハーを口にします。
 アーンミーヤは、それが内包する多様性を文字として表現するには十分な調整がなされていないものばかりなので普通文章化はされないんですが、それでもエジプト方言、マグリブ(モロッコ)方言、チュニジア方言の文は読んだことがあります。・・・わけわかんないですよ、本当に。これホントにアラビア語なの?って思いますから、フスハーしかやったことないと。たとえばアラビア語の標準的な語順はVSO(يدرس الطالب العربية(yadrusu ṭṭālibu l-‘arabīyata=学んでいる・その学生は・アラビア語を))なんですが、エジプト方言だとSVOですからね(他の2つの方言についてはそこまでは知らん)。つまり英語とかと一緒。俺なんてこれだけで別言語であるかのような印象を受けるわ。
 ま、もしかすると、タミル語も、電波に言葉を乗せる際には文語読みが為されているのかもしれないですけどね。全然知る機会ないですね、そんなのは。
 とにもかくにも、これは素晴らしい出版と言わざるを得ないでしょう!
 タミル語に興味ない奴すら買え!
 そして白水社に「タミル語は売れるのかっ?」と勘違いさせて、タミル語関連出版物のための予算が出るように導いてゆく、と・・・。
 いや、俺白水社って実はあんまり肌に合うところじゃなくて、大学書林の方がずっと好みなんだけどね。
 なんで大学書林、タミル語の本出してくんないのかな。ゴート語とかサーミ語パンジャービー語その他、タミル語以上に超絶マニアックな言語の語学書はあるのに・・・。

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