2012年2月1日水曜日

・・・よ?

さあ叩き潰されろ・・・よ?

 Abortedが最新作・Global Flatlineから、Источник Болезни (The Origin of Disease)のビデオを公開!
 ・・・まあ、1月10日なんですけどね、公開日。昨日Century Mediaチャンネル観ようとアクセスした際、遅まきながら知ったわけでして。

現行ラインナップ-ビデオ・Источник Болезни (The Origin of Disease)(Global Flatline収録)より

Sven "Svencho" de Caluwé - Vo.
スヴェン・“スヴェンチョ”・ド・カリュウェ
ערן סגל a.k.a. Eran Segal - Gt.
エラン・セガル
Michael Wilson - Gt.
マイカル・ウィルサン
JB van der Wal - Ba.
イェー・ベー・ヴァン・デル・ワル
Ken Bedene - Ds.
ケン・ビディーン

 ※S
 Sven=オランダ語読み; de Caluwé=フランス語読み。
 で、Svenchoは取りあえず日本人として見たまま。ステージネームの筈なのに、彼をこう呼んでいるインタビュアー皆無だよわけわかんねえ。
 ・・・今更だけど、バンド名からして英語、歌詞も英語で書いてる連中って、名前は機械的に英語読みするべきなのかなあ?
 英語読みだと「スヴェン・“スヴェンチョウ”・ダ・カリューウェイ(sven "sven-choh" də kə-lyoo-way)」などになると思ふ。

 ※E
 ヘブライ語読み。英語読み「エラン・スィーガル(e-rən see-gəl)」。

 ※M
 meye-kəl wil-sən

 ※JB
 オランダ語読み。英語読み「ジェイ・ビー・ヴァン・ダー・ワール(jay bee van der wahl)」。

 ※K
 ken bi-deen

 以前Abortedが新作出すぞってので話題にした際紹介したビデオではベーシストの出演が認められなかったんですが、ちゃんと写ってたんですね。なかなかキレてる感じでかっこいいじゃないですか~。
 あとKen Bedeneの苗字の読みは今に至るまで結局わからずじまいなんですが、まぁたぶんこれで合ってるでしょう。英語読みなら。たしかイギリス人です、この人。というかベルギーのバンドだけどベルギー人はSvenchoだけなんですよね。Eran Segalはイスラエル人、Michael Wilsonはアメリカ人、JB van der Walはオランダ人です。欧米に於ける多国籍・多民族混合バンドは珍しくありませんが、ここまでバラバラなのは稀なんじゃないでしょうか。
 さてさてEuropean Leaders of Gore”ことAbortedの待望の最新作から、アルバムの全体像に思いを馳せるためのコマーシャルトラック・・・。
 かっこいい・・・ね、相変わらず。
 しかし・・・気づいた?
 ギターの音ちっちぇえ~!
 個人的に、元々ゴアってよりは普通のデスメタルに近かった印象のあるバンドでしたが(というかMetallumでもWikipediaでもデスメタルバンドとして紹介されている)、それはまあ別にいいとして、ミックスを担当した奴の頭大丈夫か?ってくらいゴリンゴリンに弾いて掻いて刻んでグチャグチャの爆音を響かせるギターの存在感の強烈さが好きで、そこに惚れ込んだのになんかスゴイこじんまりとしちゃってますよね。
 楽器ごとのその鳴りにはムダがなく、特別耳に残りやすいかっこいいものもそうでないものも、あらゆるフレーズが聞き取りやすいことは、大人しく堪能するにはもってこい・・・しかしそうやって楽しむことのできるバンドはもう既にゴマンといます。
 Century Mediaという一流メジャーレーベルに籍を置きながらも超グチャグチャで、アンダーグラウンドとオーバーグラウンドという二界いずれにも顔のきく数少ない王者のひとりだったのが、これじゃずっと昔からメジャーだったCannibal Corpseなんかの方がまだエグイ。
 各人のフレーズの紡ぎ方というか、かっこいいと思える音の並べ方を思えば、相変わらず凡人には考えつけないような非凡なセンスが発揮されていますが、そういったことをやる連中が出す音を爆音基調にヘンテコなバランスで聞かせてくれるところが俺は好きだったのに。
 かっこいいのはわかる!色んなスゲエフレーズがてんこ盛りだ!・・・でも・・・でも・・・グチャグチャでちゃんと聞き取れん!
 ゴアの要素があるバンドの魅力はこれなんだよね。得体は知れないけどかっこいいものが集積しているのはなんとなく察せられる、だからクセになる。何度も聴きたくなる。
 いや、このИсточник Болезниだって、何十回ものプレイに耐えられる、衰えがたい輝きのある曲だと思うよ。
 だけど上で言った通り、お、かっこいいことやってんな、じっくり聴こう・・・と、落ち着きを以ってそのかっこよさの正体がすぐに知れて、まるでその魅力を研究するかのごとく大人しく聴きたくなるようなバンドはもう他にたくさんいる。
 音作りの上でのこの路線はレーベルの意向によるものなのか?Abortedのメインメンバーたちの好みの変化が原因なのか?それともプロデューサーの所為?
 こういう曲をアルバム単位で聴くなら、若いテクデスバンド聴くかな、俺だったら・・・。
 なんだかちょっとガッカリしたというお話でした。

以下、言語的な余談。

 何故かロシア語でタイトルが付いてるИсточник Болезни、意味は括弧内にあるように「(the) origin of disease」なんでしょう。俺はロシア語によるこの2語、どちらも知らない言葉なので自力では訳できませんが。
 むしろ意味よりもロシア語話者以外にとってはなんと読むかの方が問題なんじゃないかなと思います。
 「イストーチュニク・ボーリャズニ」・・・と仮名表記できるんですが(太字を強く)、ロシア語の転写は悩みます。日本語の音に則ってるとムリかなと思います。
 しかしどんな文字で表記してあっても、元の音がわかる人はそれで読むもんだと何かに書いてありましたが、確かにそうですね。
 だから元の音を知っている者は、多様な伝え方があることを踏まえつつも「これで通じるだろう」と多少なりとも思ってしまうものなんじゃないでしょうか。
 たとえば、

 英語話者にはis-'tawch-nyik 'baw-lyəz-nyi

 ハンガリー語話者にはisz-'tócs-nyik 'bó-ljaz-nyi

 フランス語話者にはis-'totch-nic 'bo-liaz-gni

 ドイツ語話者にはis-'tohtsch-njik 'boh-ljaz-nji

 スペイン語話者にはis-'toch-ñic 'bo-llaz-ñi

 アルメニア語話者にはիս-'դոչ-նիգ 'պո-լիըզ-նի(is-toch-nik bo-liəz-ni; 西アルメニア語準拠; 東(本国)だとt > d、k > g、b > p)、

 ペルシャ語話者にはايستوچنيک بوليازنی(istochnik bolyāzni)、

 ヘブライ語話者にはאיסטוֹצ'ניק בוֹליאזני(istochnik bolyazni)

 ・・・などとなるでしょうか。
 しかし他言語の表記システムやその音を用いては、どう書いても言っても元の音の再現とはならない。
 というのも、硬音 / 軟音の違いがなかなか表現できないからなんですよね。
 ならば、アイルランド語の表記システムで、

 is-'tói-tsnic 'bói-liaiz-ni

 とか、ロシア語と同じスラヴ系のチェコ語やセルビア語の正書法で

 is-'tóč-ňik 'bó-ľaz-ňi

 ис-'точ-њик 'бо-љаз-њи(istočnjik boljaznji)

 などと書けば、上の英語~ヘブライ語よりも元の音に近いかもしれません。
 ただし、アイルランド語には/ʧ/や/z/が元来存在しないという欠点が・・・。/ʧ/はフランス語やヘブライ語にもないが表記法は確立されています。アイルランド語で「ch」と書くと/x/を示します。
 すべての表記で/ə/を表現できればよかったんですけど、英語、アルメニア語(-ը-)、アイルランド語(-iai-)でのみ可能でした。アイルランド語の場合、実はここはe、o、uでもいいです。アクセントのある母音よりも後にある母音は大抵シュワーになるので。
 長母音も明示できると良かったんですけどねー。フランス語、アルメニア語、ヘブライ語、セルビア語に於いて、そしてペルシャ語のoならびにeの長音に関しては不可能です。かつてのヘブライ語では、oをホラム(וֹに於ける、ו(vav)の上の点の名称)で示す場合は長音になっていたそうですが、現代だと、人による母音の発音の仕方やアクセントによって長音・短音の違いが認められる場合は別として、基本的に母音はすべて短い(はず)です。
 しかしそもそもロシア語は自分で読み方を調べてもそう苦労はないと思います。
 ロシア語は、それを他言語として話す者の母語に因る訛りに影響された、ロシア語の本来的な音との多少の違いなどを除けば、方言らしい方言もないそうなので 英語などに比べればずっと多くの人に通じ易いんだとか。驚異的ですよね、ロシア本国の国土はあんなに広いのに。旧ソヴィエト政府の強大であった権力の賜物なんでしょうか?
 力点(母音に付き、その母音が強く長く読まれることを示すもの)の位置は言葉を知らないとわかりませんが、語形の複雑さに反し、音読だけなら初見でも十分平易に可能である点がロシア語の特徴のひとつだと思います。
 キリル文字なので読めそうもない印象を受けるかもしれませんが、この辺、アラビア文字に通じるものがありますね。
 アラビア文字は、話者数の多い言語の内では、初めて目にする人にとっては最も書けそうもない読めそうもない気がする文字じゃないでしょうか。 
 しかし、一文字単位だと発音がすぐモノにならない字母がいくつかありますが、全体的に読み易い文字です。ただ、ロシア語の音読の際には力点の位置を見極める必要があるように、単語毎のどの文字にどんな母音が含まれているかを知っていなければなりませんが。

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