2011年8月8日月曜日

昨日今日と古典ギリシャ語

 古典ラテン語で以って言語の勉強を再開し、昨日今日と古典ギリシャ語をやっておりました。当然乍ら、語学書の最初から・・・。


 ちなみに現代ギリシャ語もやったことありますが・・・

 ①語頭の気音がなくなった

 ②曲用の形態は単純化

 ③アクセント記号は鋭アクセント=παιδυω(paideuō / 私は教育する)のみになった。古典期には更に2つあった: 曲アクセント=οἱ τν ἀνθρώπων τρόποι(hoi tōn anthrōpōn tropoi / 人間の性格)、重アクセント=ἐν τν συναγωγῄ(en tēn synagōgē / その会堂で)。

 ④いくつかの字母は古典期とは違った音を持つに至っており、
  1. たとえばβ(古典期/b/)は現代では/v/になっているので/b/の音を表したい場合にはμπ(mp)と書かねばならない。但し古典期にはなかった/ts/をτσの組み合わせで表現できるなど、綴りの総合的な柔軟性は増した
  2. θ, χ, φという古典時代にはt, k, pに気音がついた音を持つと思われていたものがそれぞれthink(英語)のth、خَمْسَة(khamsa、アラビア語で「5」)のkh、philosophe(filozof、フランス語で「哲学者」)のphという軟弱な音になっている
  3. 長母音の消失
  4. 1つの母音を示すのにいくつも方法がある(たとえば/i/はιの他に、η(ē), υ(y), ει(ei), οι(oi)がその音を持つ。括弧内は古典期の読み)

 と、性質が大きく変わっています。
 この歴史の流れの強さには驚嘆を覚える一方で、なんだか絶望にも似た気持ちを抱かされますな。
 Esperantoの創作者・Ludoviko Zamenhofは、はじめ、ラテン語に影響を受けた複雑なつくりの人工言語の創造を図っていたらしいですが、英語を知って「ある言語の豊かさの実現に、必ずしも構造的な複雑さは要求されない」と悟ったそうで、それがEsperantoの簡素なつくりの原因になっているとのことです。
 まぁその通りだとは思いますが、英語を基にした思想ってのがちょっとな。
 でも古典的な言語は複雑であるほど「らしい」し、その方がその言語を学習することによって得られる快感が非現実的で楽しいと思うのは、俺だけでしょうか?

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