2010年11月19日金曜日

数字 I

♪WPCR-13880

 今日は余裕以っての更新。
 ヘブライ語の勉強は勿論続けますが、語学書がひとつ終わったということで他の言語に浮気。・・・まぁ、浮気ってわけでもないか。だってあの本の中にはもうやること残ってないもんな。
 昨日今日は同じくセム系のアラビア語をやってます。ヘブライ語をある程度知った今なら、ややこしい理屈を一から覚えるよりも直感的に解決できる文法的な問題や、ヘブライ語の語根や語感に照らし合わせてすぐに頭に入る言葉が増えてるんじゃないかと思ってね。
 でもそんなことありませんでしたー!מסכן לעצמי!
 まぁ、共通の要素が多数見受けられる他言語間で役に立つ知識は、学習が高度になったとき効果を発揮するのが当たり前ですしね。
 たとえば英語のeatはフランス語ではmanger。フランス語の語彙の80%が英語で流用されていると言われていますが、実際の数字がどうあれ、英語に於けるフランス語からの影響は絶大です。しかしこの2語は互いに全然似ていない。eatは同じくゲルマン系のドイツ語のessenや、関係あるのかはわかりませんが一応挙げるとスラヴ系のロシア語のесть(jēst’)等と似ており、ロマンス系では違った言葉を使用してるんですねえ。
 しかし英: government, appetite, university, immortality, confidence, prince / princesseなどは仏: gouvernement, appétit, université, immortalité, confidence, prince / princesse(king / queenはroi / reineで全く別モノ)であり、よく似ています。
 反面、英: give, out, there is(副詞+be), desk, hot, wall, book, readなどは仏: donner, dehors, il y a(人称代名詞+副詞+英語でいうhave), bureau, chaud, mûr, livre, lireで、全く以って近似点がない。
 勿論、後者のような日常的によく口にされる言葉でも、flower < fleur、brother < frère(あんま似てないと思う人もいるかも。ドイツ語ではBruder。ラテン語fraterから)、color (colour) < couleur、paper < papier、dictionary < dictionnaire、personal < personelなど、互いに似ている言葉は多数あります。ただ、綴りの上では似通ったもの同士を順に発音していくと、近似の印象が薄れるものも多くありますが。たとえばpaper / papierは「ペイパー / パピエ」です。英語がおかしいんですけどね。ガッデムイングリッシュ。
 ただ、動詞に於いては、よく用いられるものでもあまり用いられないものでもこういう例は少ない。というより絶無に近いと思う。上でread / lireを挙げていますが、lireの元になったラテン語動詞: legoから転じて英: legible / 仏: légibleという動詞でない品詞同士は似ているというものしか思い当たらず、まったく同じ由来のものから動詞を両言語が取っているというのはちょっとすぐにはわからんなあ。
 勿論、俺が未熟であるだけであると思う。精進の余地が存分にあるとわかって嬉しい限りだ。
 さて、アラビア語でもヘブライ語でも、やや時間をかけて理解に励まねばならない、ある要素を紹介しましょう。
 「数字」です。
 たとえばフランス語で「3人の男(達)」はtrois hommes。この構成は「基数詞+男性名詞複数」です。英語だとthree men。直感的で単純、非常によろしいことです。まぁこういう印象は英語教育の賜物なのかもしれませんが。
 ヘブライ語だとשלושה אנשים(shloshah ’anashim)。「基数詞男性形+男性名詞複数」。
 男性って?まあ次見てみましょうか。
 アラビア語だとثلاثة رجال(thalāthatu rijālin)。「基数詞女性形+男性名詞複数属格」。
 男性名詞を修飾してんのに女性形の基数詞を使うの???
 下にいくにつれ見事に複雑になっていっています。
 実はアラビア語の表現の場合、文法的には修飾されているのは基数詞の方です。
 では次、これらに定冠詞が付いた場合。

 仏: les trois hommes
 ヘブ: שלושת האנשים(shloshet ha’anashim) ・・・数詞の語形が変わりましたね。
 アラ: ثلاثة الرجال(thalāthatu a-rrijāli)

 アラビア語を見てみましょう。基数詞は名詞扱いです。厳密には2つ以上の名詞をくっつける行為のことか、くっつけた後の複合語のを指すのかわかりませんが、複合語のことをイダーファと言います。イダーファでは最後に来た名詞のみに定冠詞(ال)が付きます。なので「男達」のرجالに付いているわけですね。
 ヘブライ語の場合は変です。ヘブライ語には名詞を主として幾つかの言葉に「連語形」というものがありまして、物凄く簡単に言うとアラビア語のイダーファに似たことをヘブライ語に於いてするにあたって、先に来る言葉が取る形のことです。

 
名詞 1: עוגה(f. ‘ugah) > עוגת השוקולד שמרים עשתה
(‘ugat hashoqolad shemiryam ‘astah=ミリヤムのつくったチョコレートケーキ)

名詞 2: מפלגה(f. miflagah) > מפלגת העבודה
(mifleget ha‘avodah=(イスラエルの)労働党) 

複数名詞: מורה(m.s. moreh) > מורים(pl. morim) > מורי בית הספר
(morey beyt hasefer=その学校の教師たち)
また、このביתも連語形であり、原形は同じくביתで音はbayit。
女性複数に連語形はなし。
cf. קנייה(qniyah) > קניות(qniyot) > קניות אימא(qniyot ’ima’=母の買物)

双数名詞: רגל(f.s. regel) > רגליים(d. raglayim) > רגלי האישה היפות
(ragley ha’ishah hayafot=その女性のきれいな両足)
יפותは複数形でもある(原形(男性単数): יפה(yafeh))。双数は文法的には複数扱い。

副詞: די(day) > הצמיד הוא די יקר
(hatsamid hu’ dey yaqar=そのブレスレットはかなり高い; 音が変わっている)

数詞: 男性基数の3~10、女性基数の3, 7, 9が、定冠詞の付いた名詞の直前でのみ連語形を取る。
2は男性、女性共に修飾する名詞の前で常に連語形。 

男性
שניים(shnayim) > שני קילו(shney qilo=2kg)
שלושה(shloshah) > שלושת האנשים(shloshet ha’anashim=男3人)
ארבעה(’arba‘ah) > ארבעת הבתים(’arba‘at habatim=家4軒)
חמישה(khamishah) > חמשת השולחנות(khameshet hashulkhanot=テーブル5つ)
שישה(shishah) > ששת הבנים(sheshet habanim=息子6人)
שבעה(shiv‘ah) > שבעת הבניינים(shiv‘at habinyanim=建物7軒)
שמונה(shmonah) > שמונת הספרים(shmonat hasfarim=本8冊)
תשעה(tish‘ah) > תשעת השמות(tish‘at hashemot=9つの名前)
עשרה(‘asarah) > עשרת הכוכבים(‘aseret hakokhavim=10の星)

女性
שתיים(shtayim) > שתי חנויות(shtey khanuyot=店2軒)
שלוש(shalosh) > שלוש העגבניות(shlosh ha‘agvaniyot=トマト3つ)
שבע(sheva‘) > שבע המפלגות(shva‘ hamiflagot=7つの政党)
תשע(tesha‘) > תשע הערים(tsha‘ ha‘arim=9つの街)

 あっと・・・バイト出勤の時間きちゃったのでまた明日。Viszontlátásra !

過去の記事(アーカイブの頻度: 週毎)